テラーノベル
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こ ぁ 🍍
二学期。
教室の空気は、相変わらずだった。
急に世界が優しくなることはなかった。
でも、美咲は違った。
笑い声の輪に入れなくても、
一人で本を読んでいても、
「私はここにいる」と、心の中で言えるようになった。
昼休み、窓の外の花壇を見ると、
小さな白い花が一輪だけ、咲いていた。
風に揺れるその花を見て、美咲は小さく笑った。
「……またね、華」
その声は、ちゃんと自分の耳に届いていた。
世界はまだ少し冷たいけれど、
美咲はもう、透明ではなかった。
そしてその夏の記憶は、
彼女の中でずっと、静かに咲き続けていた。
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