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pixivでマキマさんと五条がであって
マキマ&五条「関わらない方がいいかもね…」
っていうすんばらしいイラストを見つけたのでマキマさんと五条を戦わせてみようとおもいました~
本編どぞ
東京、夕暮れの大手町。オフィス街の喧騒が不自然に消え、静寂がアスファルトを支配していた。
ビルの屋上、夕日に照らされた長い影の中にマキマは立っていた。その正面、数メートルの距離には、目隠しを外した五条悟が浮世離れした余裕を浮かべて立っている。
「君が噂の……『支配』の悪魔かい? 思ったより普通のお姉さんだね」
五条が軽く手を振る。だが、その瞳――六眼は、マキマの背後に渦巻く数多の「不可視の糸」を捉えていた。
「五条悟。あなたを支配できれば、この世から争いはなくなります。私に従ってくれますか?」
マキマの声はどこまでも穏やかだ。だが、その言葉と同時に、空気が重低音を響かせて軋んだ。
マキマが静かに人差し指を五条に向けた。
「ぱん」
乾いた音と共に、不可視の衝撃波が五条を襲う。建物の壁を抉り、大気を引き裂く一撃。しかし、その衝撃は五条の数センチ手前で、まるで時間が止まったかのように静止した。
「『無限』だよ。僕に近づくほど、君の攻撃は遅くなる。一生届かない」
五条は笑いながら指先で小さな「蒼」を練り上げる。マキマの表情は変わらない。彼女は知っている。自分へのダメージは、日本国民の誰かの病死や事故に変換されることを。
五条が踏み込む。
「術式反転、『赫』」
弾き飛ばす力がマキマを直撃する。彼女の身体は一瞬で崩れ去った……はずだった。だが、次の瞬間には、血の一滴も残さず彼女は元の位置に立っていた。
マキマが静かに手を合わせる。
「私の下にある者は、私に逆らえません。五条悟、あなたは自分を『人間』だと思っていますか? それとも『最強』という概念ですか?」
――無量空処
五条悟の領域に囚われたマキマは、情報の奔流に晒されていた。通常の人間ならば即座に廃人となるこの空間で、しかし彼女は、静かに瞼の裏で数えきれない「目」を開いていた。
「……流石ですね、五条悟。これがあなたにとっての『無限』ですか」
マキマの声は、何の情報も持たない虚空の中で、クリアに響く。彼女は領域内の情報負荷を、支配下の何万もの「目」――各地の鳥、犬、そして何万人もの人間の脳へと分散させていた。膨大な情報が、連鎖的に、瞬時に、世界中に散らばっていく。
「ふーん、僕の領域に耐えるなんて、君は本当に面白いね」
五条は余裕の笑みを浮かべるが、六眼はマキマの背後に蠢く無数の鎖を見据えていた。それは、日本国民と結ばれたマキマの契約、そして彼女が支配する悪魔たちの存在を示唆している。
マキマはゆっくりと右手を掲げた。
「五条悟。あなたは、私より強いと、そう思っていますか?」
その言葉は、領域全体に疑問符を投げかける。これは問いかけではない。五条の「思考」に、直接干渉を試みる、支配の根源的な一歩だった。五条の脳内に、一瞬の戸惑いがよぎる。しかし、次の瞬間には、持ち前の傲岸不遜な笑みがその疑念をかき消した。
「ハッ! 質問の意図は分かるけど、残念ながら僕はいつでも最強だよ。君のそのショボいマインドコントロールみたいなやつ、僕には効かないね」
五条は余裕綽々で指を鳴らす。彼の無限が、マキマからの概念的な侵食すらも弾き返すかのように。
「そうですか……」
マキマは、感情の読めない瞳で五条を見つめる。そして、次の瞬間、彼女は大きく息を吸い込んだ。
「では、確認します」
パチン!
乾いた指鉄砲の音が、領域内で弾ける。しかし、これは単なる指鉄砲ではない。マキマがその「支配」の権能を乗せた、概念を貫く一撃。
五条の「無限」が、一瞬だけ揺らぐ。物理的な攻撃ではない。これは、五条という存在そのものに「下等」の烙印を押し付け、強制的に支配下の存在へと引きずり込もうとする、マキマの『支配』の概念そのものを撃ち込む攻撃だった。
「……ッ!」
五条の表情が初めて険しくなる。頭の中に、一瞬だけ他者の声が響いた。それは「従え」という、抗いようのない命令。しかし、その声は、五条の「生得領域」の深淵で、無限の情報量を持つ六眼の光によってかき消された。
「やっぱ厄介だね、君」
五条は領域を維持したまま、マキマに向かって歩み寄る。
「でもね、僕の『最強』は、君の『支配』なんかで揺らぐほどやわじゃないんだよ」
その言葉と同時に、領域に新たな揺らぎが生じる。五条が、この領域内でさえも術式を展開しようとしていた。
「術式順転、蒼――」
だが、マキマはそれを許さない。彼女は五条の行動を予測し、その手に掴んでいた、どこからともなく現れた黒い電話を耳に当てた。
「罪人は用意しました。準備は整っています」
電話の向こうで、遠く離れたどこかの場所で、マキマに忠誠を誓う何者かが儀式を始めた。それは、ある特定の人物を「圧殺」するための、血の契約と引き換えに発動される異能力。
「――五条悟」
マキマがその名を呼んだ瞬間、五条の頭上に、無量空処の白い空間を突き破るようにして、突如として巨大な「手」が姿を現した。それは、何十万、何百万という死者の念が凝縮されたかのような、禍々しく、巨大な肉の塊。
「これが君の『圧殺』……!?」
五条の表情に、初めて驚愕の色が浮かぶ。無限で防げるのは、五条に「近づく」ものだけ。だが、この「圧殺」は、遠隔で、概念的に、五条の「頭上」から発生した。無限は、その生成そのものを防ぐことはできない。
巨大な手が、音もなく五条を押し潰そうと降下する。五条は咄嗟に「反転術式」で身体の出力を最大にし、領域を維持したまま上空に跳躍した。しかし、その手は五条を追尾し、容赦なく押し潰そうと迫ってくる。
マキマは依然として無表情で、その光景を眺めていた。
彼女は、自分への攻撃が日本国民の死に転嫁される事実を、五条に突きつける。
「あなたに、日本国民を殺してまで、私を倒す覚悟がありますか?」
五条は巨大な手から逃れながら、マキマの言葉に目を細めた。
「……はっ。それってさ、つまり『俺を殺したかったら日本国民を皆殺しにしろ』ってことだろ? 最悪だね、君」
だが、その五条の顔には、苛立ちと同時に、どこか楽しげな笑みが浮かんでいた。
「でも、残念。僕がやろうとしてるのは、君を殺すことじゃない。『支配』の概念そのものを、この世から消し去ることなんだ」
「五条悟、あなたは私を殺せません。私が死ぬことは、日本という国家の安寧を乱すことと同義だからです」
五条の身体から、呪力が嵐のように噴き上がる。
「そろそろ時間切れだよ、支配の悪魔。今から、君がいくら『下等だ』って喚いたところで、僕の『最強』は揺るがないんだってこと、教えてあげる」
五条が、巨大な圧殺の手ごと、マキマをも巻き込むように、指を交差させた。
五条悟の指が交差する。
「虚式――『紫』」
生み出された仮想の質量が、マキマを、そして彼女を押し潰そうとしていた巨大な「手」をも飲み込んでいく。物質を消滅させるその奔流は、マキマの肉体を塵ひとつ残さず消し飛ばした。
だが。
数秒後、何事もなかったかのようにマキマが再構成される。同時に、日本のどこかで健やかに眠っていた数千人の市民が、突如として原因不明の死を遂げた。
「無駄だよ、五条悟。あなたが私を消し去るたび、あなたの守るべき人々が死んでいく」
マキマの声には、勝利への確信さえ滲んでいた。しかし、五条は笑みを消さない。
「……気づいてないの? さっきの『紫』、わざと少し外したんだよね」
「……?」
「君の契約は『受けたダメージを日本国民の事故や病気に置換する』。じゃあさ、『ダメージ』じゃなかったらどうなるんだろうね?」
五条がゆっくりと目隠しを完全に捨て去る。その六眼が、マキマの存在そのものを、原子レベルを超えた「情報の塊」として捉えた。
「領域展開――無量空処」
再び世界が白に染まる。だが、今度は情報の「流し込み」ではない。五条は、マキマに繋がる「鎖」――日本国民との契約そのものに、無限の情報を逆流させた。
「君がみんなの脳を肩代わりにするなら、そのネットワークを逆に辿らせてもらうよ。君という『支配のプログラム』を、無限の情報で上書きする」
「……っ、あ……」
マキマの瞳から光が消える。彼女の脳は、日本国民全員分の意識と、五条が流し込む無限の情報を同時に処理しきれなくなった。支配の鎖が、過負荷で一本ずつ焼き切れていく。
「君は『支配』することで世界を平和にしたいんだっけ。でも、僕の生徒たちは、誰かに支配された平和なんて望んでないんだよ」
五条がマキマの目の前に立ち、その額にそっと指を触れる。
「おやすみ。支配のお姉さん。次はもっと、自分を大切にしてくれる誰かと出会えるといいね」
五条が指を弾いた瞬間、マキマの意識は「無限」の彼方へとパージされた。肉体は残っている。しかし、そこにはもう「支配の悪魔」としての意志は存在しない。ただの、空っぽの器。
静寂が戻る。
五条はふぅ、と長く息を吐き出し、空を見上げた。
「……ったく。最強も楽じゃないね」
夕暮れの大手町に、一羽の小鳥が降り立つ。それはもう、誰の目でもなかった。
読み切りにしようとしたら3000文字越えちゃいました(・ωく)テヘペロ
読むのお疲れさまです~