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ちょっと長いかもです。
大森「はぁ゙…、本当に僕ってば…っ」
がなり混じりのため息をつきながら、欲張りな自分に嫌気が差す。
大森「…会う分には問題ないけど、さぁ…」
りょうちゃんに「好き」という恋愛感情を抱いている時点で、浮気のギリギリのラインに入り込んでいる。
数分、どうしようかどうしようか悩んでいるうちに、インターホンが鳴る。
大森「あ…。」
りょうちゃんだ。来てしまった、後戻り出来ない。追い出すわけにもいかない。こんな寒い夜中にわざわざ来てくれたんだ。
重い足取りでインターホンの前まで行き、通話ボタンを押す。
大森「…り、りょうちゃん。」
藤澤「りょうちゃんですよー。元貴、開けて。」
間抜けででも何処か心配している様な声色だった。僕が、僕が会いたいなんて言ったから。きっと、りょうちゃんのことだから、何か重大なことを抱え込んでいるとでも思っているのだろう。こんなに優しい人、僕にはもったいない。こんな、欲張り人間に。
大森「ぁ…、あぁ、ごめん、今すぐ開ける。」
玄関前の扉の鍵を外す。
藤澤「あ〜。暖かい。外めっちゃ寒かったんだよねー。」
申し訳なかった。こんなただ、会いたいという理由だけで連れ出してしまって。他に、これという理由はないのに。
大森「ご、ごめん。会いたいなんて、言って。」
そういうと、りょうちゃんはしまった、という表情を浮かべ、眉毛を少し下げながら
藤澤「な、なんで謝るの。僕は、平気だから。」
そんなりょうちゃんの温かい言葉に胸の奥がジーンと熱くなる。
大森「…りょうちゃん、」
りょうちゃんは表情を変えて真剣な顔で僕を見つめた。
藤澤「…なに、?」
大森「…優しい。りょうちゃんって。」
りょうちゃんは一瞬黙りこんだ後、フッと柔らかい笑みを漏らした。
藤澤「なにそれ。優しいって。」
大森「だって、夜中に会いたいなんて、迷惑なのに…、」
口ごもるとりょうちゃんは首を左右に振った。
藤澤「迷惑なんかじゃないよ、大事な”メンバー”なんだから。」
大森「…、」
メンバー。そうだ、ただのメンバー、なに期待してたんだ。…僕には若井が居る、りょうちゃんには他にもっと、もっと…いい人が。…いい人が。
大森「あは…、そう、だよね。ありがとう、りょうちゃん。なんか、安心、した。」
平然を取り繕う。りょうちゃんにこれ以上変な心配をかけないように。
藤澤「ふふ。それならよかった。」
大森「ご、ごめん。忙しかったのに、も、もう帰っても、大丈夫…だから。 」
追い出す様な口調になってしまった。…でも、このままりょうちゃんといると、おかしくなりそうでたまらなかった。
藤澤「ぁ…。ううん、全然、大丈夫なら安心した。また何かあったら、遠慮しないで相談してよ。…若井との事でも。」
りょうちゃんは少しからかうような声色だった。
大森「ちょ、りょうちゃん。からかわないでよ、」
藤澤「てへへ、じゃあ、もう終電ヤバいから、帰るね。本当に、溜め込みすぎないでよ。」
大森「わ、わかってるって。もう、平気だから。」
藤澤「じゃあ、また。」
大森「…うん、また。」
玄関の扉の閉まる音がする。りょうちゃんが帰った。その現状を伝えているかのようだった。部屋が静寂に包まれる。りょうちゃんに早く会いたい、その「また。」がいつになるかわからない。早く会いたい。僕は、我に返る。
大森「っ…、ばか、だな。」
若井のことなんか、どうでもよくなっていったのは、いつ頃からだっただろうか。
続く。