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「やべっ、遅刻だ遅刻ぅ!?」
おれの名前は真田信幸。生前は信濃松代藩の初代藩主で、92歳まで生きた大名です。今日は弟の信繁の入学式なんですが。
おれはどちらかと言えば遅刻しないタイプの人間、いや、霊なんですが、昨日友達の石田三成が夜中に電話をかけてきて、
「夜中怖いから通話しよー 」
と、言われたんです。
おれは渋々、三成の電話に付き添ったのですが、通話が終わったのが午前三時。おれが毎日起きる時間は午前六時。いや、三時間しか寝れないじゃないですか。三成は寝る時間が少なくても大丈夫ですが、おれは最低五時間寝ないと頭がスッキリしないし、というか起きれないんです。
結局起きたのは八時半。ホームルームが始まるのが九時。だけど、学校にいなければならない時間が八時五十分。実質二十分しか時間がないんです。
いや、弟が居るから弟に起こしてもらえばいいんじゃと思うじゃないですか。それも叶わず、おれは今寮で住んでいますが、弟はまだ寮に住んでいないのです。
幸い、寮なので学校には近いのですが、それでも学校まで歩くと十分。
いやそれ本当に寮?と思うかもしれないけど、マジ。少しでも運動しとけ!という神様の優しさ(?)で少し遠いのだ。いやふざけんな。体育だけでいいだろ。
そんな愚痴を言っても仕方ない。とりあえず、朝御飯は抜いて制服に着替えることに。
何で急いでるときに限って制服着るのにもたつくんだろうか。誰かこれの論文を書いてほしい。
残り十分。行ける、走れば─
忘れてた。そういえば、部屋と玄関がとてつもなく遠いことを。そこを歩くと八分かかることを。
は、走れば三分で着く。まだだ。まだ大丈夫。
「っ、セーフ!!」
猛ダッシュで残り三十秒ぐらいに着いた。次からは三成との連絡は午後九時までにしよう。
それにしても、中学一年生の教室は当たり前ですが、とても静か。静かじゃなかったらある意味怖いか。
「あ、信幸くん!遅かったじゃないか!」
話しかけてきた、眼鏡を掛けている、いかにも優等生みたいな人の名前は石田三成。三成とは生前の関係もあるから仲良いのです。
「いやぁ、寝坊しちゃってね~」
と、おれは察してもらうように不機嫌な声を出した。
「へー、珍しいね!ま、そんな日もあるさ!」
(そんな日もあるさ…?)
おれは三成の言葉に声をあげそうになったが、丁度ホームルームのチャイムがなった。
「あー、なっちゃった、じゃ、自分の席に座ってくるねー」
「あ、うん、 次は夜中に電話しないでねー 」
おれはさらっと三成に愚痴を溢し、荷物をまとめてロッカーにいれたのだった。