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「うひょおぉおおおぉおぉぉおおぉぉおぉっ!!!!」
「「「「「おめでとーっ」」」」」
「「「ちっ……」」」
引き続きビンゴ大会は続いていく。
今はちょうど2人目の人が育毛剤を当てたところだ。
「おめでとうございまーす!
これは非売品の超人気アイテムなので、是非ご自分で使ってくださいね」
……とは言うものの、2人目の人の喜びようと頭の寂しさから考えれば、きっと自分で使うだろう。
今回の賞品の中でも、恐らく一番の貴重なアイテムになるからね。
「はいっ! 早速使わせて頂きます!!」
「ちなみに皆さん、盗んだり、少し分けてもらおうとしたり、そういうのはダメですからね。
そういう方には、厳しいお仕置きが待っていますので」
こういう貴重なものが身近にあると、やっぱりいざこざが起きてしまうものだ。
ほとんどの人がテント暮らしの今、いくら気を付けても防犯なんていうのは簡単に破られてしまうだろうし。
そんな私の言葉に、ポエールさんもフォローをしてくれる。
「手元に置いておくのが怖いようでしたら、ポエール商会の拠点でもお預かりしますのでご安心ください。
それと、もし犯罪を犯す方がいらっしゃいましたら、アイナさんに代わって商会の方で処罰を下しますのでご注意ください」
「もちろん商会からが嫌だったら、私が直々にしても良いですからね。
でも、商会の方が優しいとは思いますよー」
「「「アイナさん、こわいですっ!!」」」
「はーい、平和にいきましょうね!
それじゃ引き続きビンゴを続けますよ!!」
「「「「「りょうかーいっ!!!!」」」」」
釘を刺しながらも明るい雰囲気のまま、引き続き進行をしていく。
注意はしたから、あとから『知らない』と言われても、こちらとしては何の責任も取ることはない。
もしも犯罪を犯してしまう人がいるのであれば、それこそ重い処罰をしてあげないとね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ビンゴというのは、あるときを境に一気に揃う人が出てきてしまうものだ。
まだまだ中盤に差し掛かったところではあるが、ここで一気に3人が名乗りを上げた。
「それでは3名の方、ステージの上までどうぞーっ!!」
ステージに上がってきたのはそれぞれ、中年の男性、若い男性、若い女性の3人だった。
男性2人は土木工事の職人さん、残りの女性は近くの村の娘さんのようだ。
「よーし、当ててやるぞ!」
「どうもー」
「わ、わぁ……。人がたくさん……」
「まずはおめでとうございます!
お酒とかお菓子とか、私の仲間からの賞品とか、まだまだたくさんありますからね!
それじゃ順番に、くじをお願いしまーす」
「よっしゃ、まずは俺からだな!
どれどれ……、ほいっと!!」
中年の男性は箱からくじを引くと、それを私に差し出した。
「はい?」
「あー、すまん。俺は文字が読めないんだ。代わりに読み上げてくれないかな」
……そうそう。
この辺りの識字率はそれなりに高いとは言え、やはり文字を読めない人はたくさんいるのだ。
それを踏まえると、もしかしたらくじは私が読み上げていった方が良いのかもしれない。
「そうですね、ここからはアイナさんに読み上げてもらうことにしましょう。
みなさんも、それで良いですかー!?」
「「「「「はーいっ!!!!」」」」」
流れを察して、ポエールさんと会場がそれに賛同した。
「それではここからはそうさせてもらいますね。
私は今回のビンゴには参加できていないので、不正はしないのでご安心ください」
……と、軽く笑い取ったところで、差し出された紙に目を移す。
「――むむ! これは私のオススメですね!
私のメイドさん2人による、ランチ招待券です!!」
「おお!」
「「「「「えーっ! いいなーっ!!!!」」」」」
当てた男性も会場も、なかなか良い反応をしてくれる。
「せっかくなので、紹介させてもらいますね。
クラリスさん、キャスリーンさん!!」
しめさば
於田縫紀
#主人公最強
ステージの裾でこちらを見ていた二人を呼ぶと、一瞬ぎょっとした顔を見せた。
まさか呼ばれるとは思っていなかったのだろう。
主にキャスリーンさんが躊躇していたが、しばらくするとクラリスさんと一緒にステージの中央までやってきた。
「アイナ様に仕えさせて頂いております、クラリスと申します」
「同じく、キャスリーンと申します」
「はい! すでに会った方もいらっしゃると思いますが、私の大切なメイドさんです!
他にも3人いますが、彼女たちには悪戯をしないように。もし、したら――」
「「「「「お仕置きですかーっ!!!?」」」」」
「その通りでーす!!
で、お料理やその他全般、かなりの腕前を持つ二人なので、ランチは楽しみにしていてください。
……あ、できれば明日のお昼でお願いしたいんですけど」
「分かった。棟梁、大丈夫だよなーっ!?」
男性がステージの下に向かって語り掛けると、すぐに返事が返ってきた。
「おう! 明日はゆっくりしてきやがれーっ!!」
「……というわけだから、明日にお邪魔させてもらうよ!」
「では場所はあとでお知らせしますね。
棟梁さんも、ご快諾ありがとうございました!」
「おーっ!」
「――はい、それでは次の方! くじをお願いします!」
「よし、俺もアイナさんの仲間のやつを引くぞーっ!!」
そう言いながら、若い男性はくじを引いて、紙を私に差し出してきた。
仲間の賞品を狙ってくれると、私としてもやっぱり嬉しいものがある。
「では読み上げますね。
えぇっと……ぶふっ!?」
「へ?」
「あ、失礼しました。
見事、的中です! 私の仲間からの賞品が当たりました!!」
「おお、やった!!」
「「「「「おめでとーっ」」」」」
本人も会場も大喜びだ。
でもでも、当たったのは――
「ジェラードさんとの『一日デート券』です! やったね、おめでとー!!」
「は?」
「「「「「おぉー……?」」」」」
若い男性と会場からは、何とも言えない声が聞こえた。
それもそのはず、『ジェラード』というのは男性の名前なのだから……。
「それではジェラードさん、ステージの上へどうぞ!!」
再びステージの裾を見ると、ジェラードが頭を抱えながらステージの中央までやってきた。
「……アイナちゃん。
あのさ、他のものに変えてあげることってできないの……?」
「えぇー。だって男女比は最初から知っていましたでしょう?
デート券を提案したのは、ジェラードさん自身じゃないですか」
「僕は当選した人が、てっきり選べるものかと思っていたんだよ……」
「「「なんだ、ハズレか……」」」
ジェラードの物言いに、会場からもそんな声が漏れ聞こえてくる。
しかし――
「……いや、大丈夫です!
アイナさん、俺はジェラードさんとデートします!!」
「おお!」
「「「「「おぉー!!!!」」」」」
デート券を当てた男性から、思い掛けない言葉が飛び出した。
何だかもう、この場のノリっていう感じがするはするんだけど。
「本当に大丈夫ですか?
アレならジェラードさんに女装でもしてもらいますか?」
「!!
そ れ だ!!」
私の提案に、その男性は食い付いてきてしまった。
それと同時に、ジェラードは愕然としていた。
「ええ!? それってどういうことなの!?」
「いやだって、せめて見た目くらいは……?
当たった人に楽しんでもらわないと、賞品とは言えないでしょう?」
「「「「「じょ、そ、う!! じょ、そ、う!!」」」」」
会場の方も、大概ノリノリである。
「ぐ、ぐむむ……。分かったよ、それでこの場が収まるなら……」
「ではそれで! ジェラードさんはこっちに引っ越してきているので、日程はいつでも大丈夫です。
ご希望の日時をポエール商会に伝えておいてくださいね!」
「はい、楽しみにしています!!
ジェラードちゃん、よろしくお願いします!!」
「ええい、こうなったら僕も、男を懸けて女装してやる!!」
「「「「「おぉーっ!!!!」」」」」
……何で女装に、男を懸けるのかな……?
まぁ場も盛り上がったし、当てた男性も満足そうだから別に良いか。
さて、残りは近くの村の娘さんだ。
本来だったらこっちにジェラードのデート券が当たっていれば――
……いやいや、今さらながら、それはそれで不安だったかもしれない。
っていうと、女装デートは一番問題のない着地点だったんじゃないかな……。
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