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「妹子〜!!!!」
「妹子、あそぼ!」
「なあ〜お芋〜」
……これは、完全に…
「お前、好かれてるな」
真顔でそうツッコムのは僕の同僚。
「だよね〜……!!!!」
どうしてなんだろうか、こんなすぐ文句を言って挙句の果てには殴る。
そんな僕を気に入るとか意味がわからない。
あの摂政は一体何がしたいんだ?
「凄いもんだな、妹子お前、一応国の皇子に好かれてんだぞ?どんな手使ったんだコノ」
吐け〜、と僕の肩を突く。ヤメロ。
そんな同僚の手を押しのけて、
「本当に何もしてないよ…というか、好かれた理由とか僕が知りたい」
そうだよ。なんでわざわざ僕なんだ。
意味がわからない、と頭を抱えている僕を見て、呑気そうに笑う同僚。
なんか悔しい。そもそも、僕がこんなに悩むのはアイツのせいだ。くそ、あのジャージ男め……
「妹子!!!!!!構えこの〜!!!!!」
と勢いよくタックルしてきた、オッサン。
一応、摂政。倭国の皇子。聖徳太子。
…僕は冠位五位。小野妹子。
これほどに地位の差がある僕に対し、どうしてこの人は僕に構うのだろうか?
「どいてください。というか僕は今仕事中なんですよ邪魔すんな馬鹿」
「ヒィン辛辣……、、」
ぐすん、と僕の隣で正座して泣いてるあの人。
気になって、僕は遂に本人に聞いてしまった。
「貴方は…どうして僕に構うんです?」
「え?」
「僕とアンタとじゃあ立場が違いすぎます。
何故僕に構うんです。」
ぱちり、と数回瞬きして彼は言う。
「立場が違ったら、構っちゃ駄目?」
目を細めて、ジッと僕を見詰める。
ふざけている姿ばかり見ていたせいか、いつもと雰囲気が違うその人から目が離せない。
「私は君と話したいだけだよ、だって妹子といたらなんだか気が楽なんだ。構いたいのにって、理由いるかな」
それとも、私が隣にいるのは迷惑?と少し心配そうにする。
「…そうですね、迷惑です。」
「えっ早すぎない?!!!」
ガーン、となんだか変な効果音が後ろに見えた
ほんとこの人といると不思議なことばかり起こる…
「でも、アンタがいないと変に気になるし…別に嫌じゃないです。すみません、気になっただけです。」
ほら、構ったでしょう?さっさと帰ってくださいと太子を押しのけても押しのけてもヤダと強情を貼り続ける男。
「…何が言いたいんですか。」
カレンダーを指さし、太子は言う。
「ほら!!妹子、今日は月曜日だぞ!」
「だから何なんですか。」
いつもの表情に戻り、ニコッと笑って、
「カレー曜日!妹子、カレー作って!」
「嫌ですよ…」
「ねえ〜お願い!摂政命令〜!!!」
そう言って駄々をこねて、ほっといて帰ろうとする僕の服を引っ張る。といってもこの人力無いから、体重かけても服さえ破れないんだけど。
……体重かけても?このオッサンヒョロヒョロじゃねーか!!!ちゃんと食べてるのか?!!!
ああ、もう。めんどくさいな、
これで放っておけない僕も僕で。
結局、カレーを作って、枕投げやらされて。
そんな、摂政に好かれるという普通はありえない日常を、僕は悔しいことに少し楽しいと思っていた。