ズズズ……
暗闇が波打つ。亡霊の気配が絡みつく船上で、二つの陣営が対峙していた。
バルドと主。
トアと葵。
それぞれが異質な存在でありながら、今ここに立つ理由は違う。
「ははっ、これが俺の想像してた『船の支配』ってやつとは、だいぶ違うな?」
トアが口笛を吹きながら言う。
「まあ、望んだ戦場ってわけじゃねぇが……面白れぇのは確かだ」
葵が剣を肩に担ぎながら、楽しげに笑う。
対する主は、静かにバルドを一瞥した。
「……食べ応えのある相手だな」
バルドは鼻を鳴らす。
「……やれやれ。目覚めたばかりなのを狙ってくるとはな。だが、覚悟しておけ。俺の亡霊の腕は、今までの俺じゃねぇ」
黒く変質した右腕がうねり、闇の波動が甲板を蝕む。
「うわ、気持ち悪っ」
トアが顔をしかめた。
「んじゃあ――」
葵は剣を回し、鋭く構える。
「潰すか」
ズバァァァン!!!
四者、同時に動いた――!
バルドの亡霊の腕が黒い刃となって振るわれる。
対する葵は、剣で弾くどころか、避けもせずに斬り込んだ。
「遅ぇ」
バルドの剣が受け止める前に、葵の剣閃が走る。
ガァン!!
しかし、その刹那――
「……!」
葵の刃が空を切った。
バルドの身体が、影と化して瞬間移動していた。
「亡霊の力を利用したか……」
葵がニヤリと笑う。
一方、主とトアの戦場も激化していた。
「おいおい、こっちも容赦ねぇな」
トアは弾丸を連射するが、主はそれを躱しながら懐に飛び込む。
バキィッ!!!
トアの腕を掴み、骨ごとへし折ろうとする主。
しかし――
「――悪いな、俺はこういうのが得意なんだよ」
トアの身体が入れ替わるように滑り、主の背後を取った。
「……ほう?」
主は無表情だったが、その目は明らかに興味を持ち始めていた。
「そろそろ、本気を出させてもらおうか?」
その瞬間、主の背中から無数の触手が飛び出した。
トアの目が見開く。
「うっわ、お前、それ反則じゃね?」
ズドォォォォン!!!!!
戦場は更に混沌を極める――。
コメント
2件
今回も神ってましたぁぁぁ!!! おおおおぉ、、、これこそまさに混沌って感じ、、(?) むむむ、、触手だと!!?厄介なことになりそうやねぇ、、 バルっちとアオたんの方も頑張れぇ!!! 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいいいいいぃ!!!!!
おぉぉぉ!?!?触手だと…!?(これはいいイラストが描けそう✨✨ってことでイラスト描いてきます!!