テラーノベル
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君は昔から、何も変わらなかった。
同じ時間に同じ席に座って、同じ顔で笑って、
同じ声で「おはよう」って言う。
制服が変わっても、周りの人が変わっても、
君だけはずっと…
昨日の続きみたいにそこにいた。
私は少しずつ変わっていった。
考え方も、好きなものも、
「このままじゃいられない」って焦りも。
だから、
君のそばにいると安心した。
世界がぐちゃぐちゃでも、
君を見ると「大丈夫」って思えた。
——変わらない君が、好きだった。
でも、ある日気づいた。
君は変わらなかったんじゃなくて、
変わる場所に、もういなかったんだって。
私は前に進んでいて、
君はあの日のまま、そこに残っていた。
それがいつの間にか、
じゃなくて…
に近ずいていた。
君は笑って言った。
違うよ。
変わらなかったのは、君のほうだよ。
最後に見た君は、
相変わらず同じ場所で、同じ表情をしていた。
私は振り返らなかった。
振り返ったら、
“*変わらない君*”を……
置いていけなくなりそうだったから。
今でも思う。
もし君が少しでも変わってくれていたら、
もし私が変わらずにいられたら。
——それでもきっと、
変わらない君が好きだった気持ちだけは、
何も変わらなかった。
あの日から、時間が進まなくなった。
同じ朝、同じ光、同じ教室。
同じ席に座る君が、毎日同じように笑っていた。
最初は気づかなかった。
昨日と今日の違いなんて、どうでもよかったから。
君は少しずつ変わっていった。
髪型も、話す内容も、
笑う理由も。
それでも僕は、
「君は君だ」って思い続けた。
だって、変わらない僕の世界にいる君は、
いつも同じ距離で、同じ声で、
僕の名前を呼んでくれたから。
——それだけで、十分だった。
君が前を向くたび、
僕は少しずつ置いていかれた。
でも怖くて、
追いかけることも、止めることもできなかった。
だって、
動いたらこの時間が壊れてしまいそうだったから。
あの言葉は、
君に向けたものじゃなかった。
変われなかった僕が、
変わっていく君を見て、
自分に言い聞かせるための言葉だった。
最後の日、
君は振り返らなかった。
それでよかったんだと思う。
振り返られたら、
僕はきっと、
この止まった時間から出られなくなっていた。
今も僕は、あの日のままここにいる。
進めないまま、
でも後悔もできないまま。
それでも確かなことがひとつある。
あの日、
時間が止まった僕は——
*きっと、 君に恋をしていたんだ。*
君がいなくなったあとも、
僕の世界は何も変わらなかった。
同じ朝、同じ光、同じ教室。
同じ席に座って、
君がいたはずの場所を見る。
最初は、
「今日は来ないだけ」だと思っていた。
でも、何日経っても、
君は来なかった。
それでも時間は進まなかった。
進まないから、
“君が来ない理由”だけが増えていった。
——ああ、そうか。
時間が止まったんじゃない。
止めたのは、僕だった。
君が変わっていくのを、
前に進こうとするのを、
本当はずっと分かっていた。
分かっていたから、 怖かった。
君がいなくなる未来が。
だから僕は、
変わらない君だけを残して、
それ以外を閉じ込めた。
君がいた頃の笑顔
君がくれた声
君が僕を呼んだ時間
全部、ここに縛りつけた。
君は言ってたね。
「このままじゃいられない」って。
あの時、
引き止めることもできた。
一緒に変わることもできた。
でも僕は選んだ。
***君が“変わらない世界”を守ることを。
だから戻れなかった。
君が戻らなかったんじゃない。
戻れなかったのは、僕のほうだ。
君が最後に振り返らなかったのは、
きっと正解だった。
振り返っていたら、
君もここに縛られていた。
止まった時間の中で、
変わらない僕と一緒に。
今も、
君がいない席はそのままだ。
でも不思議と、
寂しさだけは増えていく。
止まっているのに、
感情だけが進んでしまう。
それが、
僕に残された罰なんだと思う。
君は前に進んだ。
僕は、残った。
そしてようやく分かった。
変わらない君が好きだったんじゃない。
変わっていく君を、
受け止められなかった僕が、
時間に置いていかれただけだった。
あの日、
時間が止まった僕はきっと君に恋をしていた。
そしてその恋は、
君を未来へ行かせるために、
ここに残ることを選んだ。
——それだけの話だ。
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