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つづき
弦月side
思えば、たぶん出会った頃からずっと好きだったんだと思う。
でも、いわゆる一目惚れなんかじゃなくて
この人とだったらずっとどこまでもいける!みたいな…
そう、”運命”。直感でこの人だっ!ってなった。
まって、これを一目惚れっていうのかも。
え、じゃあ一目惚れか〜…ま、僕には関係ないんだけどー
だってもうこの気持ちは叶わないんだし_______。
『ねぇー弦月ー、また長尾遅れるってさ』
[え、またぁ??]
[なんか最近多いね、景くん遅れるの]
『……、そうだな』
[こぉーら、こんなんでへこたれてたってしょうがないでしょ!]
[それに今に始まったことじゃないしさ?景くんはモテちゃうの!]
『ぅん……、わかってるよ…そんなこと、』
ずるいなぁ〜晴くんは。
僕にはそう思うことすら、叶わないのに
[さ、ほらいくよ!もたもたして屋上とられてたら晴くんに奢ってもらおうかな〜!]
『は”ぁっ!?絶対やだよ!俺が先に行くし!!』
[あ、はやいよ晴くーん!あはは、もう行っちゃった…]
どのクラスも授業が終わったのだろう。
雑談やお昼ご飯の誘いなどで賑わっている。
ふと遠くを見ると生徒の間を上手く掻き分けて早足で屋上へ向かう晴くんの姿が見えた。
[じゃあ僕はゆっくり行っちゃおー]
きっと場所取りは大丈夫だろう、と安心しながら窓の外を見つめる。
今日はうんと晴れていて学校の敷地も街の様子も見渡せた。
だから、見えちゃった______
[あ、あれって…、]
[景、くん……と女の子、だ。告白かな、]
あんなに綺麗な紫色の長い髪はそういない。
この学校の中だったら尚更…、景くんであることは間違いないんだろうと分かる。
[晴くんには…黙ってた方がいいよね、]
言わなくてもなんとなく分かっているんだろうけど。
言って悲しませるより知らない方が何倍も楽だろう。
“晴くんは、繊細だから。”
長く待たせるのも悪いなと思い少し早足で屋上に向かった。
その数分後にようやく景くんが来た。
『どうせ呼び出されたんだろ…』
ぽつりと呟いた晴くんの一言を僕は聞き逃さなかった。
[え、また告白ー!?]
気づいた時にはもう口から言葉が出ていた。
あぁ〜あ、傷つけるつもり、なかったのに…
きっと長尾ははぐらかすし、それを見て晴くんは気づいてしまう。
ねぇ、そんな辛い思いするんだったら、僕に_________
[なんで晴くんって、モテないんだろうね〜]
ほんとは、晴くんが気づいてないだけで結構モテてるんだけど。
でも、晴くんは知らなくていい。
僕が近くでいつでも支えてあげるから。
『弦月と2人で仲良くやっとくんで』
[景くんが彼女つくるんだったら、僕も晴くんと遊ぼうかな〜]
もし本当にそうなれたら、どれだけ幸せなんだろう。
でもきっとそれは、”親友”として、になるんだろうけど。
「俺彼女作る気ねぇーもん!」
「だから俺のお弦ですぅー!」
ねぇ、晴くん長尾は恋愛に興味がないんだって。
それならさ、
誰よりも愛してる僕と、一緒にいた方がい、________
[っ、]
そんなに悲しそうな顔しないでよ、
すっきり晴れた空と同じ色をした晴くんの瞳が少しの涙によって濡れていた。
[僕は、どっちのものでもありませーん]
晴くんを悲しませてまで一緒にいたい訳じゃない。
それに、少し形は違うけど、僕は景くんも大好きなんだ。
2人に幸せでいて欲しい。
親友で、最高の同期。
まだその関係は変わらないんだから。
『いつ終わるかなぁ…』
終わらないで。
終わらせないで、
届いてるよ。
きっと、景くんにも届くから。
笑顔の晴くんがいい。
ずっと笑顔でいてよ。
この恋が叶わないなら、
せめて、晴くんは幸せでいて。
1人で願うことしか出来ない僕の姿は、きっと彼らの瞳には写っていない。
今日も空は僕ら3人を照らすようにきらきらと輝いている______
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弦月を可愛がったり取り合ったりする年長組が好きです。
ずっとそのままでいてくれ、、、
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