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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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アクアside


目が覚めると、ぐるぐると視界が回っていた。


アクア)っ……


やばい。気持ち悪い、目眩がする。吐き気は…ない。熱は…ダメだ。高かったらもっと辛くなる。


アクア)った……


誰かにぶつかった。ミヤコさんかと思い顔を上げると、そこには冷たい表情をしたルビーがいた。その冷たさに、思わず背筋がぞっとする。前のような笑顔が嘘のように、微塵も感じられなかったからだ。


ルビー)邪魔、どいてよ


アクア)わ、るい……


ルビーは俺の言葉を無視し、自分の部屋に入った。


アクア)……


ごめん、ルビー。謝れば許されることじゃないけど、思うだけなら許してくれ。


時計を見ると、鏑木さんとの約束の時間が迫っていた。


アクア)時間…行かないと……


全身で体調不良を訴えてくるのを無視し、最低限の準備をして家を出た。



アクア)っ、はぁ…いっ、たぁ……


さっきより酷くなってる。周りの人に怪訝そうに見られているのを無視し、歩き進める。鏑木さんの前では隠せるようにしないと。


ぐるぐるとする視界の中歩いていると、誰かにぶつかってしまった。


アクア)っ、すみ、ませ……!?


謝ろうとする為に顔を上げると、そこにはぞっとする程に俺と似ている奴がいた。


カミキ)こんなところで会えるこんて光栄だね。星野アクア


アクア)カミキ、ヒカル……


最悪だ。こんな形で復讐する相手に会うなんて。


カミキ)体調悪そうだね


アクア)っ、お前には関係な……


カミキ)好都合だ


アクア)……は


関係ないと言おうとしたが、不穏な発言に言葉を失う。


カミキ)君を手に入れる機会に巡り会えるとは……今日は運が良いね


アクア)や、めろ…はなせ……


カミキ)そんな弱々しい力で抵抗されても、説得力がないよ


アクア)っ、おれを、どうするつもりだ……


カミキ)それは内緒。君には、少し眠ってもらうよ



アクア)ん……


カミキ)おはよう


アクア)……


前世を含めても最悪の目覚めをした。体調も悪いし、何より目の前にはあのカミキヒカルがいる。これ以上に不快な思いをした事があっただろうか。


カミキ)早速で悪いけど、アクアに決めてもらいたい事があるんだ


カミキヒカルはそう言い、俺の掴んで持ち上げた。


アクア)ぐっ…!


痛い。元々の不調と重なり、さらに苦しくなる。涙が出そうになるのをぐっと堪えながら、相手を睨む。


カミキ)君の不調は僕が治すから良いとして、問題はその後。君は僕に殺されるか、犯されるか選んで欲しい


アクア)っ、は……!?


予想を遥か斜めを超える発言に度肝を抜かれる。


カミキ)それじゃあ、僕は食材を買いに行って来るよ


そう言って、律儀に鍵を掛けてカミキヒカルは出ていった。


そう簡単に『はいそうですか』ってなる訳ないだろ。早くここから出ないと、奴が帰って来る。


アクア)けほっ、けほっ……!


アクア)やっば……


さらに酷くなっている。これ以上酷くなったら最悪死ぬ気がする。


アクア)……


少し、少しだけ休んでも、大丈夫。


それが間違いだとは気づかずに、俺はそのまま意識を手放すように眠った。



カミキside


玄関の前で倒れているアクアを見た時はつい笑ってしまったよ。あまりにも僕の予想通りの行動をしてくれるから、つい虐めたくなる。


カミキ)玄関の前で倒れたのを見た時は驚いたよ……勝手に出ようとするなんて、酷いじゃないか


僕はアクアに聞こえるように呟き、首筋にキスをする。気づいてくれるかな。首筋へのキスは相手への執着心なんだよ。


アクア)っ、やっ……!


カミキ)ふふ、そんなに怯えなくても良いじゃないか。僕と君の仲だろう?


首筋にキスしたのと同じところに、次はキスマークをつける。


アクア)あ、あぁ……!


カミキ)泣いちゃって…可愛いね。復讐がこんな形で終わるのがそんなに嫌なんだ


アクアは可哀想なくらいにガタガタと震え、見てるこっちも苦しくなるくらいに涙が溢れている。


カミキ)そうだよね。10年以上の間、復讐心を燃やしていたんだから


アクア)っ、なん、で…?


ああは、面白い顔。僕が君の事を知らないわけないじゃないか。血の繋がった父親なんだから。


カミキ)あぁ…君は本当に、泣かせたくなる


本当に、アクアは綺麗な涙を見せてくれる。殺してしまうのは勿体ない。


カミキ)君に選択肢をあげたけど、やっぱりなしにしよう


アクア)っえ……?


少しほっとしたような表情をしているアクアに笑いかける。僕の意図に気づいたのか、さっと顔を青くした。やっぱり、君は面白い…手放せないよ。


カミキ)君をぐちゃぐちゃにしてあげる



ルビーside


アクアがいなくなってから、3ヶ月経った。私にはどうでもいい。アイドル活動に支障はないし、困ることなんかひとつも、ない……


ルビー)あんなのお兄ちゃんじゃない…お兄ちゃんじゃないってば……!


なのになんで、こんなに涙が止まらないの。


ルビー)もうわかんないよ…!


アクア)ルビー


ルビー)っ!


ルビー)ア、クア…?


アクア)ルビー、遅くなって悪い


良かった。目の前にアクアがいる…そうだよね。アクアは私を1人にしないよね。


ルビー)…別に、心配してない


でも、もう私の前からいなくならないように、これだけは言わないと。


ルビー)おかえり、アクア


アクア)ただいま


私は知らない。もうアクアに会うことはできないことを。



カミキside


カミキ)…ふふ、面白い。実の妹にも気づかれないなんてね


可哀想なアクア。今頃、泣き叫んでルビーに助けを求めてるって思うと、ぞくぞくするよ。


カミキ)盗聴器を少し改造してまで、ネックレスに仕込んだんだから、ちゃんと最後まで聞いててね


家に帰るのが、こんなに楽しみになる日が来るとは思わなかったな。


カミキ)アイ、君はこの結末をどう思うかな?


終わり

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