TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する




何 時 だ っ て 貴 方 の 隣 は

違 う あ の コ 。


何 時 だ っ て 貴 方 の 目 線 の 先 は

違 う あ の コ 。


ま た 届 か な い の 、叶 わ な い の 。


─────────────────


私の此の想いは膨らみ初めてからどの位経ったのかな。

気が付いたら目で追って、関われば全身から熱が飛び出すように熱くなる。

目で追いかけてる人が解ってしまう。

私はそんなに可愛く無いから、見向きもされないから、明けない夜に独り嫉妬と羨ましさに浸っている。

あのコには敵わない。

私の恋は叶わない。

貴方との隣は適わない。

そんな思考が私をぐるぐると陥れてゆく。


「 あの … さ!

水無月くんに好きな人って居る … のかな? 」


先程迄御互い椅子に腰掛けて他愛の無い会話を繰り広げていた。

でも突然脳内に存在を意識してしまったから なんでも知っていそうで私は聴いた。

此の子も私の好きな人が好き。

ライバルと言える程対等じゃない事は解っている。

でもなんでも水無月くんの事を知りたいと思ってしまう。


「 いるみたいだよ。

私告白してみたんだけどね振られちゃったの。真夜ちゃんが好きだから … って。

因みに此れ内緒ね 」


告白したんだ。七香ちゃんでも振られたんだ。真夜ちゃんが好きなんだ。

4つに区切られた七香ちゃんの言葉からは沢山の情報が溢れ出していた。

脳がSOSを呼び掛ける位、私は複数の感情と闘っている。

視界に映った爪を弾く。

黙り込む私を、首を傾げて覗き込まれる。

後ろで真夜ちゃんと其の彼氏くんが言い合っている。

私の好きな人は何か頼まれている。

其の中で唯独りまた辛くなっている。


「 勿論内緒にするよー!

そっかぁ水無月くんも真夜ちゃん好きなんだね。

なんか納得しちゃうかも 」


声は七香ちゃんに聞こえる最小限で、でも笑顔と微笑いは欠かさず返答する。

‘ 納得しちゃうかも ’ なんて正直半分だけ本当。

もう半分は私であってほしいかった、なんて醜い想いを募らせる。

其れは何時しか半分を越してしまいそうで、丁度響いたチャイムで其の醜さと想いは掻き消した。


─────────────────


「 どうしたの?

荒川さん今日元気無かったりするかな、

体調悪いなら一緒に保健室行く? 」


また今日も私を其の愛しい瞳に入れる。

此の優しさが矢っ張り好きだった。

誰にでも優しくて、皆の様子を伺う為に毎日只管に話し掛ける事を頑張っている。

其れが大好きと伝えても叶わない事で辛くなってます、なんて言える勇気は皆無だ。


「 ううん、なんでも無いよっ、凄く元気!

唯悩み事と闘ってるだけなの。

気にかけてくれて有難うね 」


精いっぱいの笑顔は、表情筋を筋肉痛にさせそうだ。

でも元気らしく見えてない保険を掛けたからきっと大丈夫、心配することなんて無い。

こうしてまたカナわない気持ちを、無理矢理にでも沈めて押し付けて見えないようにしてしまう。




凄く元気、という荒川さんの貼り付けたような笑顔は不思議と僕を嫌な気分にさせた。

此の子はなんの悩みと闘っているのだろうか。

其れを知りたいと思う僕が居る。

相手には大迷惑だと解っていても。

可笑しいだろうか、でも皆は何を思っているか知りたいんだ。


「 其の悩み、

僕で良かったら聞かせてくれないかな。

荒川さんの力に成ってあげたいんだ 」


今迄は儚いと感じさせる雰囲気が有った荒川さんは、今日儚い以上の雰囲気で脆く感じた。

触れたら熔けて失くなってしまうそうな脆さがどうにも離れない。

だから此れはほんの出来心でしか無い。

其の勇気のような一歩が荒川さんを軽くするなら願ったり叶ったりでしかない。


「 んー、水無月くんに上手く話せないや。

話しても迷惑掛けちゃいそうだし、

そんな勇気無いから何時か話すね 」


‘ 何時か ’ は本当に楽な言葉だ。

何時でも無くても使えば安心させられるような性質を持っている。

其れを知っているからもっと探りたいのに、触れたら壊れる硝子を目の前にしている気分だ。

人を、僕の前にいる人を、荒川さんを知りたいと動作を見てみる。

何故か澄んだ瞳には水が溜まっていた。

そして何故か荒川さんが僕に見える。

届かない想いを持ち続けカナわないと解ってしまっているのが解る。

君は誰を何時迄も想っているの。

其の想いは誰に向けられているの。


「 もしかしてなんだけど、

僕の事気になってる? 」


閃いた独つの答え。

別に当たっていて欲しい訳じゃない。

唯、カナわない荒川さんを救ってみたく成った。

僕の鏡のような荒川さんを、僕以上にしたくなった。

僕が知りたいと想う荒川さんを見てみたいと思った。

何時もは真夜ちゃんが気になる僕も君を気になって其の姿達を魅たいと思ってしまったのは可笑しいかな。

カナわない者を救ってカナえさせてあげたいんだ。


「 じ、実は _____ 、  」


────────────────


そ う だ 、何 時 だ っ て

1 番 は 自 分 じ ゃ な い 。


目 で 追 わ れ て る の は

あ の コ な の に 、ま た 諦 め な い 。


諦 め ら れ な い 位 に 大 好 き だ っ た 。





この作品はいかがでしたか?

3,000

コメント

21

ユーザー

初コメ失礼します! 展開とか神すぎますし 雰囲気から大好きです! 良ければ絡みたいです…

ユーザー

んえ、!??え、!!はい!?( タイトルとサブタイトルで繋がってるの驚きましたよ!!?? かなわないの漢字を変えることによって意味も違くなるからそこを利用するのは天才すぎて見返してしまった、 かなわないの意味3つを使って片思いの切なさを更に表してるのは茱萸の語彙力のお陰ですね、儚さと切なさと苦しみが文面で伝わりました… はっぴーばーすでーまいしにあ!(

ユーザー

んわ切ない…!!片想いやっぱ好きっ叶わない、敵わない、適わないの所良すぎないかぁぁ、タイトルとサブタイトル繋がってるのもぐっと来た(? 水無月くんsideもあるのは嬉しい‪🫶🏻️ 糸穂ちゃんの悲しさとか硝子の表現のとことか綺麗🥲 お互い片想いの辛さを知ってるから分かったんだよね、! 2人はこの後くっつく事を期待します( お誕生日おめでとうっ🎉(執拗い

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚