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「感謝しなくていいから、早くドアを開けてアニキが童貞を捧げた彼女さんを紹介しろよ。真面目なアニキのことだからただ童貞を捨てたかっただけじゃねえんだろ? その彼女さんと結婚するつもりでいるんじゃねえの? だったらあたしはアニキの彼女さんをお義姉さんと呼んだ方がいいのか?」
嫌いだけどさすが妹。僕の性格をよく理解している。
セックスした直後の生々しい部屋を見せるのは抵抗があったけど、おとなしく引き下がる妹ではない。彼女に目で合図すると、どうぞという反応だったので、鍵を開けて部屋のドアを開け放った。冬花は冬花らしくずかずかと踏み込んできたが、彼女を見たとたん目を丸くした。
「えっ、ベンキ!?」
ベンキって何のこと? 便器しか思い浮かばないがまさか違うだろう。
「冬花さん……」
彼女がつぶやくように妹の名を口にした。しかもなぜか年下相手にさん付けで。
「知り合いだったの?」
僕の問いかけに二人とも無言。先に口を開いたのは冬花の方だった。
「どういうことだよ? あたしに対する仕返しのつもりか? それならあたしに仕返ししろよ。真面目なアニキを巻き込むな!」
仕返し? 冬花が何を言ってるか分からず僕は戸惑ったけど、彼女には意図が伝わったようだ。
「仕返しじゃない。夏梅のことを本気で好きになっただけで……」
「信じられるかよ! おまえ、陸に振られたとき二番目でいいし何でもするから捨てないでって陸にすがってたよな? 実際、おまえが何でもやってたのをあたしは目の前で見てる。便器を義姉さんなんて呼べるわけねえだろ!」
「陸って葛城陸のこと? 映山紅さんが陸の元カノというのは知ってる。冬花は陸とどういう関係なの?」
「あたしは陸の今カノ。そしてその女は陸の元カノなんかじゃない。陸はその女を便器って呼んでた」