テラーノベル
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激甘。
パキってるときの表現はない。
もちろんほのぼのハッピーエンド。
もう、これ、OD呼びしていいの??
「ねぇ、あにき。薬、やった?」
今日の晩ごはんは何にする? とでも聞くような、あまりにも何気ない、日常の延長線上の声音。
なのにその言葉は、俺の思考を鮮やかに焼き焦がした。
心臓が跳ね、それに抗うように全身の血が引いていく。
俺の意志とは裏腹に、肩が、ビクッと激しく跳ねてしまった。
「…なんで」
できる限り、声が震えないようにそう聞き返す。
「んー? だって、瞳孔、開きっぱなしやもん」
「っ……」
不意打ちの言葉に、俺の息が完全に止まる。
バレた。
「まろの、勝ちやな」
くしゃっと嬉しそうに、けれどどこか隠しきれない愛おしさを滲ませて笑うまろ。
その悪戯っぽい顔を見ていると、自然と頬が膨らむ。
「…開いてねぇし」
実際は、やった。少し前にパキったから、心当たりがありすぎて否定しきれない。
「ふーん? じゃあ、ちゃんと確認してみる?」
そう言ってソファから軽やかに立ち上がると、まろは意地悪な笑みを浮かべてスマホのライトを俺の顔に近づけた。
「普通な、光当てたら黒目キュッて縮むんやで? でも、あにきのはそのまま開いたままやん。ほら、隠しても無駄やで」
ドヤ顔で言い切るその顔は、まるで宝物を見つけた子供みたいに誇らしげだ。
だけど、ここで「負けました」と素直に認めるのは、なんだか少し悔しい。
「……なんも、してへんよ」
「嘘はあかんで、あにき。そういう時の声、ちょっと裏返ってるもん」
目を細めて、ふふっと笑う。それはまろの癖で、これ以上嘘を重ねたら、怒られるというより……呆れられてしまう。
俺は少し拗ねたように話題をすり替えた。
「…じゃあさ。もし、本当に薬やってたら、お前どうすんねん」
ほんの少しの沈黙。
探るような問いかけに、まろは困ったように眉を下げた。
「もちろん。……やめてって言うよ。あにきがそんな危ないことして、ボロボロになるん、見るの嫌やもん」
優しく微笑む。けれど、その瞳の奥には、絶対に譲れない強い熱が宿っていた。
「じゃあさ、もし俺がやめられへんかったら?」
意地悪な、試すような問いを重ねてみる。
IQの高い彼のことだ。
専門の病院を調べるとか、薬を取り上げるとか、論理的で正しい解決策を提示してくるんだと思っていた。
「んー…」
少しだけ真剣な顔で考え込むまろ。
「とりあえず…ぎゅって、抱きしめるかな」
予想の斜め上を行くその答えに、俺は思わず拍子抜けする。
「……は? 抱きしめるって、それだけなん?」
「うん。
だって、頭ごなしに怒っても意味ないやん?
あにきが自分を追い詰めてそういうことしちゃう理由、ちゃんと聞きたいしな。
…それに、俺がこうして温もりであにきをいっぱいにしたら、少しはそんなもの要らんって思ってくれるかもしれへんやん?」
その言葉は、ずるい。
胸の奥がキュッと締め付けられて、甘い痛みが広がる。
「…流石、文系やな」
照れ隠しにぼそっと呟くと、まろは
「えへへ、褒められた」
なんて言って柔らかく笑った。
「ん」
負けた、と思った。もう、何も隠せない。
俺は両手を広げて、無言で彼を促した。
「…なんや、甘えんぼさんやなあ」
一瞬驚いたように目を丸くした彼だったが、すぐに愛おしそうに目を細め、力強く俺の身体を引き寄せる。
ギューッと、骨が軋むほどの強い抱擁。
けれど、そこには拒絶も冷たさもなくて、ただただ溢れんばかりの熱と愛があった。
ベッドの中みたいに、ふわっと甘い匂いがして、ものすごくあたたかい。
そのまままろは、俺を軽々と持ち上げて自分の膝の上へと乗せた。
あぐらをかいた彼の足の上で、俺はすっぽりと包み込まれるように膝を抱え、彼にしがみついている。
「あにき、相変わらず体温高すぎやろ…。溶けそうになるわ」
頭のてっぺんから足の先まで、彼の大きな腕と優しい体温に閉じ込められている。
鼓動と鼓動が重なって、どちらのものかすら分からなくなる。
「…なあ、まろ」
「ん?」
「…もう、やらんから」
おそらく耳まで赤くなっているだろうが、顔をまろの胸に押しつけながら小さな声でそう呟くと、まろは愛おしそうに俺の髪を優しく梳いた。
「うん、知ってる。
…ほら、今日もこうして俺が独り占めしてるんやから、よそ見しんといてな、悠佑」
意地悪で、優しくて、どうしようもなく甘いその声に包まれながら、先ほどよりも強く彼の胸に顔をうずめた。
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うるは㌠
63
油 淋 鶏 _ .
897
りおな@桃(現実)は休めッ!!
530