深夜の街。ネオンがぼんやりと光る裏通りに、軽快な足音が響く。
「♪はーい、ターゲットさーん、かくれんぼは終わりですよー?」
ピンクのカーディガンをひらひらさせながら、花咲萌は歌うように歩いていた。
白髪はふわりと揺れ、ピンクのインナーを結った髪が跳ねる。制服は着崩し、袖は長め。うさぎのヘアピンが光っていた。
しかし、その手には大きいハンマーがあった。
場違いだった。150センチほどの小柄な少女が、彼女の体ほどもあるハンマーを軽々と引きずっている。
金属音がアスファルトに響くたび、背筋をぞくりとさせる何かがあった。
「…どこですかぁ?」
甘い声が響く。だけど、その目は笑っていなかった。
—
突然、路地裏から男が飛び出した。銃を構え、狙いを定める。
「動くな、小娘っ…!」
「うん、動かないよ?」
ニコリと笑った瞬間、ハンマーが“変形”した。
カチャッ。持ち手が瞬時に縦に切り替わり、槍のように突き出された。
「え?」
次の瞬間、男の銃は宙を舞い、萌の手元に転がった。
「遅いよぉ?」
男の足が震える。萌は彼に近づいた。大きなハンマーを片手で肩に乗せ、もう片方には折りたたみナイフ。カチリと刃が現れた。
「さあて、どうしよっか?アンタ、うちのお父さんを殺したやつの仲間でしょ?」
その目は、暗い底なしの湖のようだった。
「ち、違…っ!」
「嘘つきは嫌いだなぁ…でもさ、あたし、泣き声は大好きなんだよね」
—
その夜、路地裏には誰かの叫び声と、鈍い衝撃音が何度も響いた。
—
翌日。裏社会の会合場には、一人の小さな影が現れた。
黒いうさみみパーカーのフードを深く被り、耳がぴょこぴょこと揺れる。黒うさぎのヘアピンがちらりと覗く。
「よっ、みんな元気ー?今日のターゲット、誰?」
その声は明るい。だけど、誰もその場で笑わなかった。
彼女が”快楽殺人者”だということを、全員が知っていたからだ。
コメント
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今回も神ってましたぁぁぁ!!!! うっわ何かヤバいの出てきたぞおおおぉ??((( えっと、、、すみません、なんかうちのライアたんと気が合いそうですね( 君お気に入りだわ((は??? 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいぃ!!!!!!!!