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江戸時代。まだ日本が静かに、しかし確かに激動の時代へ向かいつつあったころ。
その裏で、人知れず繰り広げられた一族同士の戦いがあった。
霧島家。
古来より異能を受け継ぐ一族。闇に生き、獣を操るその力は、幕府さえ恐れるほどだった。
霧島家は“力”によって権勢を誇っていたが、支配欲へと変わっていった。豪族を従え、幕府さえ無視する独立勢力と化していた。
吉田家。
異能は持たぬ。しかし、知恵と戦略、そして時代を読む鋭い目があった。
マルコ・ポーロの血を引く一族と噂され、交易と情報に精通し、世界の流れさえ見通していた。
武力はなくとも、知略と交渉、そして金で動く影の力を持っていた。
両家の確執は、やがて戦火となった。
「霧島家は、この国を支配するつもりだ」
重臣たちは、恐れを抱いていた。霧島家の異能は強大で、反抗すれば無事では済まない。そこで、幕府は吉田家に助けを求めた。
吉田家当主・吉田宗明は静かに頷き、こう言った。
「力に対抗するのは、力ではない。智慧だ」
そして、吉田家は“霧島家滅亡計画”を発動する。
—
計画は緻密だった。
まず、霧島家の家臣たちに金と権力をちらつかせ、内部から切り崩した。
次に、霧島家が異能に頼ることに慢心している隙を突き、情報網を駆使して動きを封じた。
最後に、霧島家が他の豪族たちを支配するために持っていた“恐怖”という武器を奪った。
決定打となったのは、吉田家が雇った“ある剣士”だった。
その名は猫街 一刀斎。
異能を持たずとも、一振りの剣でどんな異能使いも斬り伏せると言われた伝説の剣士。
「異能?そんなもん、斬ればいいだけだろうが」
その言葉通り、一刀斎は霧島家の守護を務める“異能使い”たちを次々と斬り捨てた。
霧島家の誇る最強の使い手たちでさえ、一刀斎の剣に抗うことはできなかった。
—
そして、ついに霧島家本家の城に火が放たれる。
燃え盛る炎の中、霧島家当主・霧島信は最後まで抗おうとした。しかし、吉田家の策はすでに追い詰め、逃げ場はなかった。
「吉田……この恨み、必ず……!」
そう叫びながら、霧島家は滅びた。
しかし、炎の中から一人の赤ん坊が救い出されていた。
—
それから数百年。
霧島家は滅んだはずだった。だが、ひそかに生き延びたその血は、長い時間をかけて復讐の炎を育て続けた。
そして今、霧島家最後の末裔は、吉田家の前に立ちはだかっている。