こちらはラテストと言うアカウントから移行した作品です。
今回は大分変更している部分もありますのでご注意下さい。
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この村には昔から守り神として鬼が住んでいると言われている。その為、数百年に一度村から1人綺麗な娘を花嫁として鬼に差し出していた。そして俺はその数百年に一度の花嫁であり、男であった。もう一度言おう、男である。昔は栄えていたこの村も今は若い娘などほとんどおらず、考えた末若くて中性的と言う条件から俺が選ばれてしまった。最初は反対したし、村からの脱走も考えたが見事に見つかり取り押さえられて半ば無理やり袴衣装を着せられる。逃げれない事が分かりやや思考を投げ出しそうになりながらも紅を塗り花嫁姿に化けて死の覚悟を持った。特に何も言及されず深い森の奥に連れていかれたと思えば「ここが鬼のトウヤ様の御屋敷だ」なんて突然言われてピシリと体が強ばる。
恐る恐る見上げた瞬間、小さな悲鳴が聞こえ村の人々は慌てて逃げていく。何らかの影が近づいてきて、それはピタリと俺の目の前で止まった。
「………あ、ぇと」
「はー、久しぶりに人が来たかと思ったらまーた花嫁ですか。君、名前何?」
何だこの鬼は、また花嫁なんて贅沢言って偉そうに。
「……ふ、不破湊」
「ふーーん。女の子にしては大分ハスキーな声なんだね…名前も」
「は?何処が女に見えるん?俺は男やぞ、ほら」
女性に見られたことに腹が立ち、男という事を証明するために袴を取って顔を上げる。少しデカイなコイツ……余計に腹立つわ。
「え??あ、ほんとだ……」
「な、だから言ったやろ。俺は花嫁に化けたただの食いもん。分かったらささっと殺すなりなんなりして..「いやちょっと待てっよ!!」
「?」
「いつ僕が殺すとか言ったんだよ!?」
「だ、だって綺麗で可愛らしい花嫁が良かったんやろ…?生憎この村にはもういないし、俺は無理やり連れこされたんから怒ってもしゃあなしかな思って、」
「いやいや、僕はそんな事一言も言ってない!」
「……じゃあなんで花嫁の嫁ぎが今もあるん」
「そ、それは……」
「それは?」
「……花嫁は……その、話し合い手ってだけで話し終わったら普通に別の村に帰らせてたし……」
「はぁ?」
「だ、か、ら!僕は別にに可愛い女の子を嫁にしたかった訳じゃなくて!ただ友達が欲しかっただけだったの!!」
……は?何言うてんのコイツ。え?つまり俺が男やから殺すとかそんなんじゃなくてただ友達が欲しかっただけ?そんな為だけに数百年間生贄捧げてた訳?
「いや、でも可愛い女の子が来ると思ってたって……」
「それ言ったのは村の人達!僕は1人じゃ退屈だから誰か連れてきてって言っただけですから!!」
何や……聞いてた話と全然違うやん。俺が死ぬ思いで嫁いできたっていうのに……コイツっ!!
「はぁ?じゃあなに、俺はお前のおともだちになるために連れてこられたって訳?」
「まぁそういう事だね」
「そんなん知らんわ!俺は帰る!」
『骨折り損のくたびれもうけ』とはこの事だ。全く、決死の意思で来たにも関わらずこんなザマとは。平和ボケにも程があるだろこのへっぽこ野郎。
花嫁としての役目が終了したのならもう用はないのだからと後ろを向いて歩き出せばグイッと首根っこを掴まれて持ち上げられた。
「逃がさないよ?さすがに」
翡翠の瞳がこちらを捉えてにこりと笑いかける。
「ちょっ、ばか降ろせや!!」
何とか必死に暴れてみたがやはり人と鬼。特段肉付きが良いとか体格がしっかりしている訳でもないのにこの男はビクともしなかった。
「じゃあ僕の家に案内しますねー」
コイツ人の話聞かんのかよ…と内心舌打ちしてこれからどうなってしまうのかと上手く働かない脳に信号を送りながら大人しく運ばれていた。
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「ん……」
目を覚ますと知らない天井が目に入る。ここは何処だろうと思い体を起こせば、目の前に広がる光景は上品な藁を使っているであろう畳と綺麗に手入れされているであろう家具たち、柔らかな印象を与える高価そうな木材に何かやらかしたかと困惑する。冷静になろうと先程の出来事を思い出せばアイツの家であることは確定であった。
__ああ、やはり捕まってしまったのか。
非現実的な事実に目眩がするも夢でないのが憎めない。信じたくはなかったがそこから背けたい訳でもなかった。
「あ、起きた?おはよう」
俺を抱えてた鬼が静かに寝室に入ってくる。
「おはよう……ってちゃうわ!お前人の話も聞かないで勝手に連れてきやがって!!」
収まりきれない怒りをこれでもかと言う程にぶつければ予想外にも狼狽える様子は微塵も無かった。
「うん、ごめん。でも君も悪いと思うよ?」
「は、はぁ?なんで?」
予想外のリアクションに拍子抜けして俺の行動に何か問題でもあっただろうかと考えていれば向こうが先に口を開く。
「あのねぇ、僕は確かに友達が欲しいって言ったよ?対応もそれなりに優しくしたし、それに「はい」とも「うん」とも言わずに投げ出されたらね…どっちが人の話聞かないのか分からないよねぇ?」
「ゔっ……」
「ほら、否定できないならさっさと諦めてよ。別に酷いことはしないから」
分かっている。その言葉が嘘では無いことなんて。昔から情を向けられていた俺だからこそ分かるのだ。その表情と声色は心から思っているなんて。
でも、だからこその疑問があった。
「……なんで俺を殺さなかったん」
「え?」
「俺は知ってるんやで、古くからの書物に鬼は反抗心の強い者を殺すって」
「そうだね。僕も何人かは殺めたよ、話し相手になって欲しいだけなのに攻撃してきたり襲われたりして一時期もう来ないでって言ったくらいはあった」
「!じゃあ何で、おれを?」
「それは………僕が君を気に入ったから。それだけ」
「は?いやさっきの態度で気に入るところあったん?」
信じられないと思いながら相手を見やる。
「い、今までこんな威勢のいい奴で男が来ることなかったし…..君なら、嫁に来て欲しいって思ったんだよ」
そう言って急に赤面して顔を背ける。驚くべき発言に突っ込むよりも笑いが勝ってしまって。笑い声が耳に届いたのか鬼がムッとした顔をしてこっちを見る。
「……何笑ってんの」
「ふふ、いや、なんかおもろくて」
「はぁ?僕は全然面白くないけど。こっちは真剣に思いを伝えてるってのに!」
「ごめんて!!俺別に嫁なっても良えよ?おま、アンタなら……」
そう言うと今度は更に顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。そんな様子を見てまた笑う。
「思えばやっと君笑ったね」
「?そうやっけ」
「うん。でもそれだけ僕に心を許してくれたんだと思うと嬉しい」
「!………なぁ」
「なに?」
「名前、なんて言うの」
「!そう言えば名乗ってなかったけ、僕は剣持刀也です。」
「ほーん。じゃあこれからよろしくなぁトウヤ」
「うん、よろしく湊さん」
こうして俺たちは世にも奇妙な夫婦になったのだった。
「そういえば湊さんは僕のところに嫁ぐ前は何をしてたんですか?」
「うーーん。俺はどっちかって言うと別の村出身だったから村からの印象はあんま良くなかったんよ、現に今ここに来れたのは良いけどあっちは厄介者が居なくなって安心って感じだったし」
「へぇ、湊さんを厄介者って?」
「ど、どしたんトウヤ!顔が笑ってるのに笑ってないって!!」
「気にしないでください。それで?僕の愛する妻を厄介者と言ったのは何処の誰ですか?」
「つ、妻か….っていや!!そんな大したことでは無かったんやから!ただの噂やし!!」
「……湊さん」
正面からの上目遣いに頑なに守っていた真実を言わざるを得なかった。
「うぐっ……まあ、だから村の人達からは良く思われてなかったって事。ただそれだけの話だったんやけど……」
「なるほどね。じゃあ僕が今ここで新しい村として生まれ変わらせてやりますよ」
そう言ってトウヤが手を広げると空中に巻物らしきものが現れ、それに何かを書きこんでいく。
「え!?な、なにしとん!?」
「何って……村を生まれ変わらせるだけだよ」
書き終わった巻物が消えると村の様子がパッと映し出される。それは前の村より活発になっていてみんな笑っていた。子供も多く、俺がいた村とは明らかに違う。
「す、すご……」
「でしょ?これでもう湊さんを厄介者なんて言わせないから」
「……ありがとうなぁ」
「!いえ、妻を守るのは夫の役目ですから」
ふふん、と誇らしげな顔を見せる彼に笑みが零れる。
「何か、妻なんて言われると慣れなくてむず痒いわぁ……」
「ふふ、可愛いね湊さん」
トウヤが顔を近づけてきて、あ、キスされる。
と目を瞑る。ちゅ、とおでこに柔らかいものが触れて直ぐに彼が離れた。
「……え?」
「ん?どうしたの?」
「いや……その、口にしてくれると思ったんやけど……」
「!……はぁーー、あんまり煽らないでくださいよ」
「え?俺なんかした?」
「……何でもないです」
「そ、そっかぁ……」
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「じゃあ、日も暮れたしご飯食べたら寝よっか」
「え?」
「ん?」
「い、一緒に寝るん……?」
「当たり前でしょ?夫婦なんだから。それとも何?僕と一緒に寝るの嫌ですか??」
「いや、その……恥ずかしいなぁって……」
「はぁーー、ほんっとに可愛い人だね。お腹空いただろうしまずはご飯食べようか?」
「うん。あ、1つ質問なんやけど」
「?」
「トウヤって好きな食べ物ある?」
「……何で食べ物?」
「いや、せっかくなんやからトウヤに美味しい料理いっぱい食べさせてあげたいなぁって」
「!!……じゃあ好きな食べ物は湊さんが作るものなら何でも好きです。でも強いて言うなら…和食かな?」
「わ、分かった!俺頑張るな!」
その満面の笑みで台所の場所聞かれ答えると直ぐに向かって行く。危なっかしい彼を見届けたあと、僕は1人頭を抱えていた。
「はぁーー、もうほんと可愛い。何?僕を殺す気なの?ズルすぎるんだよな」
そう1人呟いては寝室の電気を消し、部屋の外へ出る。彼が台所で料理を作っているその匂いだけでお腹がすくような香りが漂い笑みが溢れた。久しぶりの、人の気配。それだけで心が浮くのに妻ができるなんて。きっと他の神々に報告したら驚くだろう。そう暫くして彼がお盆を持って居室へと帰ってきた。
「おまたせ!」
「お帰りなさい……美味しそうですね」
「そうやろ?おれ結構頑張って作ったんやから!!」
そう言って胸を張ってドヤ顔をする彼を見て更に愛おしくなる。
「じゃあ食べましょうか?」
「うん!あ、その前に……」
「?」
そう言って彼が僕に近づき頬にチュッとキスをする。
「……え?」
「ん?どうしたん、顔真っ赤やで」
「いや……な、んで急に……」
「んー、さっきのお返し。かなぁ?」
「はぁ……」
なんて不敵な笑みと共に返されてため息が出る。まさかあんなことをされるなんて思っていなかったので本当に心臓に悪い。それでも何とか心を落ち着かせ手を合わせる。食事中もさっきの事が忘れられなくて彼をチラチラ見てしまうが当の本人は気にもしていないのか楽しく話しながら食事を済ませていた。
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした〜」
「湊さん、美味しかったよ料理」
「!えへへ…俺食器片付けてくるわぁ〜」
そう言って部屋をスキップでもしそうな足取りで出ていく彼が何とも微笑ましくて、ついつい目で追う度に口角が上がっていく。やがて待っている時間が退屈になり、風呂にでも入ろうと居室から離れた。今の時間なら人も少ないだろうし1人でゆっくり入れるだろうと風呂場へと入ると案の定誰もおらず、服を脱いでシャワーを浴びて湯船に浸かる。暫くするとガラッと音を立てて誰かが入ってきた。
「あれ???トウヤ??」
「み、なとさん、どうしてここに?」
「いや、皿洗いの時に水がかかっちゃて…体が冷えてたから風呂入ろうと探してたん」
「そっか。じゃあ一緒に入る?」
「え?!いやいや良いって!俺まだ…その、」
恥ずかしがり屋なのかもごもごといちゃもんつける彼に痺れを切らし、良いから入ろうと服を脱がして湯船に浸からせてから自分の体を洗う。何故かその間もずっと視線を感じるが黙っている事にした。やがて僕が洗い終わったのを見かねて湯船に浸かれと手招きしてきされる。全く、恥ずかしがり屋なのか何なのかどっちかにしてろよ。
「ふぅー……やっぱ風呂はええなぁ」と呟く彼にそうだねと答える。ふと湯船に浸かる彼の体をよく見るとまだ大人になりきれていない体つきと白い肌に何故か目が離せなくなった。
「どうしたん?そんなにジロジロ見て」
「……湊さんって、ちゃんと男の子だったんだね」
「はぁ!?また誤解か?!」
「いや、なんかあんまりにも可愛いから本当に男なのかと思って」
そう言うと顔を真っ赤にして手を顔に当てている。告白の時と立場が逆で思わず笑ってしまった。
「……とーやのえっち」
そんな声と共に湯船に浸かったまま彼の足が僕の足に絡まる。
「!みなとさ……」
「大丈夫やって、誰もおれらのことなんて見てへんし」
「……そう……だね」
「んふふ〜……なんかこうやって浸かってるだけでも気持ちいいなぁ」
そんな声と共にちゃぷちゃぷとお湯を掬って遊んでいる彼にまた目が離せなくなる。そしてそんな僕を見て彼はニヤリと笑ってくる。
「ねぇトウヤ?そんなに俺の体好き?」
「いや、そッ……ちがっ…」
「……我慢せんでええんよ?男所帯やから溜まってるやろし」
そう言って彼の細い指が僕の自身に触れる。それだけで背筋にビリビリと電流が走ったように体が反応してしまう。
「本当に湊さんは煽るのが上手いですね……」
「そうなんかな?でもトウヤのその顔が好きやわ。俺の事が欲しいって顔」
「……はぁーー、良いですよ?存分に受け止めてくださいね?」
「上等やん、やってみぃ」
その発言から暫くして2人で風呂場を後にし、寝室へと戻る。そして寝台に彼を押し倒して彼の自身に触れると既に反応していた。
「あれ?湊さん、僕の体を見て興奮しちゃったんですか?」
「う……だってトウヤがあんな事するから……」
「ふふ、かぁわい」
そう言って僕は彼に深い口付けをする。すると彼は涙を流しながら快感に耐えているようで僕の肩を掴む手が震えていた。
「ん……きもちいですか?」
「ぅ♡、あっ……うん」
「じゃあもっと気持ちよくしてあげますね」
そう言って彼の胸の突起を優しく摘んだり弾いたりして弄ぶと彼の口から甘い声が漏れる。その声が更に僕の興奮を煽り、もう止まれそうになかった。
「……湊さん本当に可愛い」
「っは、♡ぁ♡♡……とーやぁ♡……」
「なんですか?もしかしてもう欲しいの?」
「……ん♡、ほしい、とーやの……♡」
「んふふ、よく言えました。でもちゃんと慣らしてからね?湊さんが痛い思いするのは嫌だから」
「うん……ありがとぉ」そう言って彼は僕に抱きついてくる。あぁ本当にこの人はズルい人だ。この可愛さに勝てる奴なんている筈が無いのだから。
「じゃあ指入れますね」
「うんっ……あッ♡!ぁあっ!?♡♡♡」
「あれ?もうイっちゃった?」
「は、ぁ……ごめ、きもちくて……ッ♡♡」
「ふふ、謝る必要なんて無いですよ?これからもっと気持ちよくなるんだから」
そう言って僕は彼の後孔に自分の自身を宛てがいゆっくりと挿入する。その感覚に彼はビクビクと体を震わせている。それが可愛くて仕方ないのでついつい意地悪したくなる。
「湊さん分かりますか?僕のが少しずつ入っていくの」
そう耳元で囁くと中がキュッと締まるのが分かる。耳が弱いのかな、敏感でかわいい。そう思った瞬間一気に最奥まで突き上げる。すると彼の体が弓なりに反ってビクビクと痙攣していた。
「あ”ぁっ!?♡♡♡だめ、それやばいぃ♡♡♡」
「駄目じゃないでしょ?ほら、こんなに喜んでるじゃん」
そう言いながら再びギリギリまで引き抜いて最奥まで突くを繰り返してやると彼はその度に体を震わせて感じている。ダメじゃんそんな顔したら、もっと虐めたくなるんだけど、僕。
「湊さん、僕もう限界なんで出しますね?」
「うんっ♡きて……いっぱいちょうだい♡」
そう言って彼は僕の背中に手を回してきた。それが嬉しくて僕は更に強く腰を打ち付ける。
「っ、出る……」
そう言って彼の中に欲望を吐き出すと彼も同時に果てたようで腹に生暖かいものがかかるのを感じた。
「はぁ………みなとさん大丈夫?」
「うん……きもちよかったぁ♡」
そうふにゃりと笑ってくる彼にまた自身が大きくなるのを感じ、慌てて抜く。彼は物足りなさそうな顔をしてこちらを見てきたが流石にこれ以上無理はさせられないと思い我慢する事にした。
「ねぇトウヤ?もう終わりなん?」
「いや……今日は初めてしたし湊さんの体限界でしょ?だから今日はここまで」
「えぇー、俺まだしたいんやけどぉ……」
「ダメです。それに明日も早いんですから早く寝ないと」
「……じゃあ明日ならええ?」
「……まぁ、良いですよ。その代わりちゃんと起きてね」
「やったぁ!とうや〜だぁいすき♡」
そう言って抱きついてくる彼を受け止めて頭を撫でると彼は嬉しそうに笑った。きっとこの人には一生勝てないんだろうな。そう思いながらもそんな彼を愛でる手を辞めない。
藤の花のように凛として艶やかしい彼はまさに鬼嫁に相応しく輝いていた。
続く…?
コメント
2件
ハッハッハッハッ⤴︎︎︎⤴︎︎︎⤴︎︎︎好き。まーぢで美味しい。何度観ても味する。mcfwの良さがつめつめすぎ!最高!ありがとうございます😊素敵な作品を!
へ、へへへへへっ……相変わらず最高すぎ👍