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「愛してる」

本来ならば親が子に、子が親に、愛する人に投げかける嬉しい言葉。然し私にとって「愛してる」とは赤い糸のような呪いでしか無いのだ。




三年前孤児である私はポートマフィアの長である前の森鴎外こと森さんに拾われた。私は森さんに手を引かれ黒いビルの中に連れて行かれた。

放浪していた時とは違い、温かい飯も、丁度良い硬さのベットもある。雨風を凌げる屋根も、腰掛ける椅子も、本もある。

泥水を飲み、ゴミ箱を漁る生活と比べたら其処は正に天国。夜に得たいの知れない菌を持った犬に噛まれる心配もなく心底ホッとしていた私は森さんにすっかり懐いていた。

然し、とある月明かりのない新月の晩、私は自ら地獄に落ちた。


「太宰君、君が15になる日にポートマフィアに入ってもらおうと思う。私の右腕となり、私の犬になりなさい」


此の言葉を掛けてもらった時正直嬉しかった。当たり前だ。森さんは命の恩人、その人に職まで与えてもらって恩返しをしたくないわけがない。14の少年は汚れき心で元気よく「はい」と答えた。


「然しねぇ、マフィアの世界は血と暴力。其の世界に足を踏み入れるということは死を恐れてはいけない、痛みに怯えては行けないのだよ」

「そうとなると今の太宰君は余りにも貧弱だ。これから一年の辛抱だ。頑張ってくれるかい?」


私はコクリと頷いた。私の覚悟を確認した上で森さんは私を鎖につなぎ三日三晩14の少年を痛めつけた。その時の森さんの目は一生経っても忘れられないだろう。狂気と歓喜で溢れていた。背徳感なんてちっぽけもない。明らかに楽しんでいた。


「お疲れ様」


三日も鞭で打たれ続け、殴られ続けた少年の体には無数の痛々しい後がくっきりと残っていた。森さんは私を鎖から外し椅子に座らせて食事を取らせた。その間彼は黙々と資料に何かを書き込んでいたのをよく覚えている。


「太宰君。君はすごいね。あれだけやられてやめてと云わないなんて。君には期待しているよ」

「そして私は君を愛してる」


私が人に愛してると言われたのは此の日が初めてだ。今まで愛してると言われて嬉しそうにしていた他所の子の気持ちがやっとかった。

大好きな人に認められて、肯定されて、更に大事だと云ってもらえるんだ。私の顔から笑みが一つ零れた。そして来る日も来る日も、森さんに「愛してる」と云って貰うために鞭に打たれ、拷問に耐え、毒を飲み、顔も知らないおじさんに犯され続け、とうとう私は15の誕生日を迎えた。


「太宰君、お誕生日おめでとう。君の苦痛の日々は決して無駄にならないだろう。期待しているよ」

「ところでプレゼントは何が良いかね?」


森さんは私の目の前にケーキと一緒に、現金、カード、親と書かれた紙、鞭、を並べた。

数秒考えた私は其れにまっすぐ指を指した。


「森さん僕は貴方の愛情が欲しい」


其れを聞いた森さんは口角を上げこれまでにないほどの笑顔を私に見せた。

「うん。いいよ」

すると私の服を丁寧に脱がし、静脈に注射を一本打ち込んだ。

「なあに。毒じゃない」

次に細い傷のついた指を私の肌に滑らせた。

「んッ、、、」

不意に漏らした私の婀娜っぽい声に反応し腹部に赤い後を残し、其の次は太もも、すね、足と。15の何も知らないガキには十分過ぎる程の快楽だった。我慢の限界を迎えた私は迂闊にも森さんの目を艶めかしい目線で見つめ、


「早くして」


と云ってしまった。森さんは優しく目をつむり「仰せのままに」とだけ云い私の体を引き寄せて、15を迎えたばかりの子供と享楽に地獄に落ちていった。





これが私の覚えている15までの記憶だ。此の黒いビルに足を踏み入れるたびに思い出す。


「おや。久しぶり太宰君。何用かね?」

森さんが横に金髪少女を連れてやってきた。

「お久しぶりです。今日はお呼ばれされまして。森さんこそこんな時間から外出ですか?」

「ヱリスちゃんが水族館に行きたいって云うものだからねぇ」


森さんは困った顔をした。

「ねぇ森さん久しぶりに貴方から愛情を戴きたいのですが?」

遊び半分で聞いてみた。すると森さんは優しく微笑んで「仰せのままに」と


愛してます。森さん

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