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る あ .
902
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#一般人
유리
41
スタートーー❗️
――午後七時。
月影アイランドの夜は、昼間とはまったく違う顔を見せていた。
島の中央にある巨大なドームでは、蒼月フェスティバルの開幕イベントが始まっている。
建物の壁面には青白い光が流れ、海岸沿いには無数のライトが並んでいた。
「わあ……!」
美月は足を止めた。
頭上には満天の星。
そして、その中央に浮かぶ大きな月。
「きれい……」
美月はカメラを取り出した。
――カシャッ。
シャッター音が夜の空気に響く。
「いい写真、撮れた?」
蘭が笑いながら覗き込む。
「うん!」
美月が画面を見せる。
そこには、月影アイランドの夜景と、海に映った月が写っていた。
「本当にきれいね」
「あとでみんなにも見せようっと」
美月は嬉しそうにカメラをしまった。
しかし――
その表情は、すぐに真剣なものへ変わった。
ポケットの中に入れていた封筒。
『美月へ。』
昼間、謎の男性から渡されたものだった。
――今夜、月が昇ったら開けなさい。
その言葉が頭から離れない。
「……美月?」
コナンが声をかける。
「どうしたの?」
「ううん……なんでもない」
美月は少し迷った。
そして、小さな声で言う。
「ねえ、コナン君」
「ん?」
「これ……」
美月は封筒を取り出した。
「昼間、知らない人から渡されたの」
「……!」
コナンの表情が変わった。
「なんで黙ってたの?」
「ごめん。でも、『月が昇ったら開けろ』って言われて……」
「じゃあ、今がその時だな」
コナンは封筒を見る。
「開けてみよう」
「うん」
美月は慎重に封を切った。
中に入っていたのは――
一枚の古い写真。
そして、折り畳まれた紙だった。
「写真……?」
美月が取り出す。
そこに写っていたのは――
五十年前のアルカディア号。
だが、昼間見た写真とは違っていた。
「……船の後ろに何か写ってる」
コナンが写真を覗き込む。
船の背後。
暗い海の上に、ぼんやりとした青い光が浮かんでいる。
「これ……」
美月が呟く。
「昼間、私が見た光と同じ……」
「本当に?」
「うん」
コナンは写真をさらに近づけて見る。
「待てよ……」
船の甲板部分に、小さな人影が写っている。
「これ、誰かいるぞ」
「え?」
美月も覗き込む。
人影のそばには、何か四角い物体が置かれている。
その形は――
古いカメラに見えた。
「カメラ……?」
「たぶん」
コナンは紙を開く。
そこには短い文章が書かれていた。
『アルカディア号が消えた夜、最後に撮影された写真が存在する。』
美月は息を呑んだ。
さらに、その下には――
『写真には、船が消えた本当の理由が写っている。』
「……アルカディア号が消えた理由」
コナンが呟く。
そして最後の一文。
『写真を探せ。
ただし、月影の亡霊より先に。』
「月影の……亡霊?」
美月の顔が強張る。
その瞬間だった。
――パッ。
島中の照明が、一斉に消えた。
「えっ!?」
周囲から悲鳴が上がる。
会場が暗闇に包まれた。
「停電!?」
蘭が周囲を見回す。
「いや……」
コナンが空を見上げる。
「全部の照明が同時に消えてる」
ほんの数秒後。
――パッ!
照明が復旧した。
「……戻った」
人々が安堵する。
だが。
美月の手から――
写真が消えていた。
「……え?」
美月が固まる。
「写真が……ない」
「何だって!?」
コナンが周囲を見る。
足元にもない。
風で飛ばされた様子もない。
「誰かが盗ったんだ!」
コナンが走り出す。
「コナン君!」
美月も追いかける。
⸻
会場の裏手。
コナンは人影を見つけた。
黒いコート。
フードを深くかぶっている。
「待て!」
コナンが叫ぶ。
人影は振り返った。
そして――
手に持っていた写真をひらりと掲げる。
「それを返せ!」
コナンが走る。
だが、人影は素早く路地へ入っていく。
「待ちなさい!」
美月も追う。
路地を曲がる。
しかし――
そこには誰もいなかった。
「……消えた?」
美月が辺りを見る。
コナンは地面にしゃがみ込んだ。
「ここ……」
地面に落ちていたのは、小さな金属片だった。
コナンが拾い上げる。
「何だこれ?」
月明かりにかざす。
それは――
三日月と涙を組み合わせたような紋章だった。
「封筒のマークと同じ……」
美月が言う。
「ってことは、あいつが……」
「まだ近くにいるかもしれない」
コナンが周囲を見回す。
そのとき――
遠くの屋上に、人影が現れた。
月明かりを背に立つ、黒いコート。
その手には――
盗まれた写真。
「……!」
美月が気づく。
「コナン君、あそこ!」
二人が見上げる。
だが、人影は写真を掲げると――
そのまま闇の中へ消えていった。
⸻
同じ頃。
月影アイランドの別の場所。
旧アルカディア資料保管庫。
昼間は閉鎖されていた建物の中で、一人の男が資料を調べていた。
古い新聞。
航海記録。
乗客名簿。
そして――
アルカディア号の設計図。
男は一冊のファイルを開いた。
そこには、五十年前の事故について書かれている。
だが、一番最後のページだけが切り取られていた。
「……まだ足りない」
男が呟く。
「最後の写真さえ見つかれば……」
その瞬間。
背後から声がした。
「探しているのは、これか?」
「……!」
男が振り返る。
暗闇の中。
誰かが立っていた。
その手には――
青い光を放つ小さな石。
「蒼月の涙……!」
男が息を呑む。
謎の人物は静かに告げる。
「写真を探しているなら、急いだほうがいい」
「何?」
「月影の亡霊は――もう動き始めている」
その瞬間、建物の照明が消えた。
再び明かりがついたとき。
謎の人物も、青い石も消えていた。
残された男は、震える手で机を握る。
「……月影の亡霊」
そして――
資料の一番下から、一枚の古い写真が滑り落ちた。
そこには五十年前のアルカディア号。
その船の甲板に立つ、数人の乗組員。
そして写真の隅に――
現在の月影アイランドと同じ紋章が写っていた。
⸻
その頃。
美月とコナンは、海岸に戻っていた。
「写真は盗られちゃったけど……」
美月は悲しそうに海を見る。
「でも、まだ手紙はある」
「そうだな」
コナンは紙を見る。
そこには最後に、小さな文字があった。
さっきは気づかなかった一文。
『写真を失っても、記憶まで失ったわけではない。
海を見れば、答えは見つかる。』
「海を見れば……?」
美月が呟く。
その瞬間。
――ポチャン。
何かが海面に落ちた。
「……?」
二人が海を見る。
暗い水面。
波の間から――
青い光が浮かび上がった。
「……まただ」
美月が息を呑む。
青い光はゆっくりと移動する。
そして――
海面に、一瞬だけ文字が浮かび上がった。
「第七埠頭」
「第七埠頭……」
コナンが呟く。
美月はカメラを握りしめる。
「行ってみよう」
「危険かもしれないよ」
「分かってる」
美月は海を見つめる。
「でも……」
彼女の目には、決意が宿っていた。
「アルカディア号が何を残したのか、知りたい」
コナンは少しだけ笑う。
「……じゃあ、行こう」
その瞬間――
月明かりの下。
遠く離れた海上で、一隻の船の汽笛が鳴った。
――ボォォォォ……。
五十年前に消えたはずの船を思わせる、低く長い汽笛。
美月は振り返った。
「……今の音」
コナンも海を見る。
しかし、そこには船の姿はない。
ただ――
水面に一筋の青い光だけが残っていた。
まるで、
アルカディア号が「ここにいる」と告げるように。
――第2章・終――
次章予告
第3章「第七埠頭の幻影」
美月とコナンが向かった第七埠頭。
そこで二人を待っていたのは、五十年前のアルカディア号に関する封印された記録だった。
そして深夜の海に現れる、誰も乗っていないはずの一隻の船。
その船影は――
まるでアルカディア号そのものだった。
コメント
3件
ああ、すごく良かったです……!夜の月影アイランドの描写が美しくて、最初の「わあ……!」って美月ちゃんの声がそのまま自分の気持ちになりました。停電で写真が消えた瞬間は本当にどきっとしましたね。あの三日月と涙の紋章、どこかで見た気がするけど……。最後の海に浮かぶ文字「第七埠頭」、そして遠くの汽笛。次の章が待ち遠しいです。いぬ🐶さんの紡ぐミステリ、引き込まれました🌙