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プリントには「U-18海外遠征招集」の文字と海外遠征の日程、英語で書かれた遠征先の日程が描かれていた。そこに描かれていたのは「France」の文字。幡山の憧れの選手であるアレックス・シュナイダーがプレーする場所だ。サッカー強豪国でのプレーに幡山は胸を高まらせる。
プリントを受け取った三人は、その日のうちに解散となった。
部室を出ると、空はすっかり暗くなっていた。
街灯の下で、幡山は紙を握りしめたまま立ち尽くしていた。
「……俺たちだけ、か」
無意識に漏れた言葉に、ヴォルフォンが反応する。
「なんで独裁者も選ばれてるんだよ。」
淡々とした声だった。
「今日の試合で、“通用しない”って証明されたのはチームだ。
俺は、見切られてない。」
その言い方に、幡山は苛立つ。
「言い方ってもんがあるだろ」
「事実だ」
ヴォルフォンは振り返らない。
永川が二人の間に割って入る。
「……でもさ、向こうに行ったら、
俺たちの中で競争になるんだろ?」
その言葉で、空気が変わった。
海外遠征。
U-18代表。
そこには全国、いや世界中から選ばれた同世代のトップが集まる。
「仲良しごっこじゃないってことか」
幡山は、口の端を歪めた。
「誰が俺に立ち塞がってきても俺が頂点を取るだけだ。お前らふたりはその瞬間を膝まづいて眺めとけ。」
ヴォルフォンが答える。
その夜、幡山はほとんど眠れなかった。
天井を見つめながら、何度も試合の場面が蘇る。
パスを要求しても来なかった瞬間。
無理に撃って、止められたシュート。
黒鷹川のFWが、平然とゴールを決めた姿。
――俺は、本当に通用するのか?
胸の奥に、初めて不安が芽生える。
数日後。
空港に集まったU-18代表候補たちは、想像以上だった。
私立黒鷹川学園の柳もそこにはいた。
体格、スピード、目つき。
全員が「自分が一番だ」と言わんばかりの雰囲気をまとっている。
幡山は焦りが表に出る。
「……多すぎだろ、エース候補」
永川は緊張で肩が上がりっぱなしだった。
「俺、ここでやれるかな……」
その瞬間、後ろから声が飛んできた。
「やれるかどうかじゃない。 やるかどうかだろ。俺は今からお前を超えるためにサッカーをする。覚悟しろ独裁者。」
「上等だよ。旧エースストライカー。 」
幡山は、思わず言い返した。
この場所では、
チームメイトは同時にライバルだ。
飛行機に乗り込む直前、
田山監督から一本のメッセージが届く。
「3人の可能性は僕が保証します。頑張ってください。 」
田山監督から労いのメッセージが届いていた。
幡山はスマホを閉じ、前を向いた。
敗北の続きにあるのは、
逃げ場のない競争。
だが――
それでも、胸は高鳴っていた。
世界は広い。
___そして、まだ俺は終わっていない。