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st side
ドームの天井に6色のレーザーが走った。
数万人の歓声が波のように押し寄せる。
「いくぞstprー!」
俺の声に、rnが跳ねるみたいに笑う。
jlが煽って、rtが柔らかく手を振って、nーくんが堂々と前に出る。
そして。
その隣に立っているcl。
水色のペンライトが揺れる客席を見ながら、clはいつも通りガラついた声で言った。
「今日は最後まで楽しんでってよね」
ツン、とした言い方。
でも、誰よりも優しい目。
俺はその横顔が昔から好きだった。
幼稚園の砂場で、泥だらけになって泣きそうだった俺に、「ばーか」って笑って手を引いてくれたあの日から。
曲が始まる。
clの透き通った高音がドームを満たす。
天然水みたいな、透明な声。
俺は自然とハモる。
それが、当たり前だった。
ずっと、当たり前だった。
アンコールの最後、nーくんがマイクを持った。
「……今日は、大事な話がある」
会場がざわめく。
nーくんの声が少しだけ低くなる。
「clちゃんから、伝えたいことがある」
その瞬間、俺の胸が締め付けられる。
clは、少しだけ俯いてからマイクを強く握る。
いつものガラガラした声。
でも、震えていた。
「この度、僕、clは…」
clが、深く息を吸う。
「…stprを、脱退します。」
ドームの空気が止まった。
「理由は言えない。でも、僕はもう、stprにいることが出来ない」
なんで敬語みたいになるんだよ。
なんで目、合わせないんだよ。
rnが1歩前に出た。
「cl兄…」
clはrnを見ない。
俺はclをただ見つめる。
clも俺を見る。
その目は、覚悟を決めた目だった。
nーくんが何か言おうとした。
jlが拳を握っていた。
rtは唇を噛んでいた。
rnだけが、泣いていた。
「今日が、6人最後のライブです」
clの声が、ドームに響く。
水色のペンライトが震えている。
俺は、隣にいるはずのclとの距離が
急に何光年も離れた気がした。
手を伸ばしても、届かない。
clのロングトーンが、夜空みたいに伸びる。
その声が、
やけに泣いているように聞こえた。
俺は知らなかった。
clが、
俺たちよりもずっと前から、
1人で戦っていたことを。
そしてこの日、
stprの音はひとつ欠けた。