pnサンの体調不良です。嘔吐表情あります。
同棲設定、捏造強めです。今回大分ゲロゲロしてます。
名前を借りているだけで本人様とは全く関係がないので理解してお読みください。
各自で自衛お願いします。
没気味なんで期待しないでください。
息苦しさを覚え、閉じていた目を開ける。
外からの息苦しさではない、内側の身体の気管を押さえられたような圧迫感。布団を掴む手に力が籠る。
「はぁっはぁっ」
荒い呼吸を繰り返す。落ち着かせようとすればするほど呼吸が速くなっていく。
「大丈夫。ゆっくり息して」
後ろから優しい声が聞こえた。彼の、らっだぁの温かい手の感触が背中から下へと伝っていく。
彼の背中を撫でる速さと共に呼吸を繰り返すと、だんだんといつも通りの呼吸に戻っていった。
「っ、ありがとう」
「寝てるときもすごいうなされてたけど大丈夫か?」
「え…?うん大丈夫」
本当のところは大丈夫ではない。助けてほしいと思うほど苦しいわけではないが、いつもと自分の身体の様子が違うような気がした。
もう少し寝てるから、とらっだぁに言いベッドに潜り込む。過呼吸気味になった時から薄々気づいていたが頭痛がする。風邪でも引いたのだろうか。
「朝飯できたら呼ぶからなー」
「うん…ありがとう…」
ドアを閉める音が聞こえると同時に、どっと疲れが押し寄せる。身体が熱い。額に手を当てるといつもより体温が上がっているような気がする。
らっだぁに呼ばれるまで安静にしておこうと思い、目を瞑る。
瞼の裏、無数の虫のような粒が視界全体に広がる。熱が出た時の症状だった。
「ぺいんとー朝飯できたぞー」
数十分ほどベッドで静かにしていると、下から声が聞こえた。結局寝ることなんてできなかった。体調が更に悪化しているような気もする。
「んう”ぅ…」
呻き声をあげながら身体を起こす。それだけのことでも息が上がった。今日は配信も撮影もできないだろうなぁ、なんて呑気なことを考える。
覚束ない足取りでリビングへ向かう。テーブルの上には美味しそうなホットケーキと牛乳が並べられていた。
「おはよぉ、らだぁ…」
「ぺんちゃん!?顔真っ赤だけど大丈夫!?」
俺と目が合うや否や驚きと心配が混ざった表情でこちらに駆けつけてきた。
「んぅ?だいじょぶだよぉ」
にへっと笑って誤魔化したが、まぁバレているであろう。
「絶対大丈夫じゃないだろ。ほら、座って」
そう言うと半ば無理矢理椅子に座らされ、額に手を当てられる。
「あっつ、絶対熱あるだろこれ…」
そう呟くとひょいっと身体を持ち上げられた。いわゆる姫抱きの状態だ。
「うわっ!ちょ、らっだぁ大丈夫だってぇ」
「せっかくリビング来てもらったけど、また寝てもらいます」
軽々と持ち上げられたかと思うと、そのまま寝室に向かって歩き出すので熱とは別に顔が真っ赤に染まる。
ベッドに優しく降ろされるとちょっと待っててと言われ、そのまま寝室から出ていってしまった。
数秒後、ドタドタと騒がしい音を立て息を切らしながら帰ってきた。その手には、冷却ジェルシートとスポーツドリンク、そして体温計が握られていた。
「一回、身体触るよ?」
「ぅん…」
いつも何も言わずに触ってくるくせに、と内心愚痴をこぼしながらも身体を委ねる。
「やっぱり熱いな…。体温計入れるぞ」
「ん、ありがと」
しばらくすると、ピピピッと体温測定が終わった音がした。彼が脇から体温計を抜き取る。
「えぇ、まじか…」
苦虫を噛み潰したような彼の表情に思わず体温計を覗き込む。
「わぁ…、やばいねこれ…」
まるで他人事のように呟く。そこには38.7と表示されていた。思った以上の体温の上昇に自分も驚く。
「ひぇっ…!?」
急に額に冷たさを感じ、情けない声を出す。彼が貼ってくれた冷却ジェルシートで、上がっていた体温が急激に冷めていくような気がした。実際そんな万能なものではないのだが。
「これ、定期的に飲んどけよ。少しでも苦しくなったらすぐ電話しろ」
「ん、ありがとう」
スポーツドリンクを俺に渡した彼は、ドアノブに手を掛ける。
しかし、なぜかいつもより人恋しさを感じ思わず声を掛ける。
「ま、まってらっだ、まだ…ここにいてほしい…」
感情のコントロールできず、涙目になってしまう。これじゃあらっだぁが俺のことを泣かせてるみたいじゃないか。
彼だって時間は限られているのだ。仕事もきっとある。ここまで看病してくれたのになぜ呼び止めてしまうんだと、自分が嫌になる。
「んー、じゃあちょっとだけね?」
こういう時に文句ひとつ言わずに付き添ってくれる彼が大好きだ。風邪だって移してしまうかもしれないのに。
寝る前に彼から貰ったスポーツドリンクを3口ほど飲む。空腹感は全くなかったが、脱水状態になってはらっだぁにも迷惑を掛けてしまうので無理矢理口の含んだ。
らっだぁの長く骨張った指が頬を撫でる。それだけで安心して目を瞑ることができた。
相変わらず瞼の裏には無数の虫のような粒が飛び交っている。体調も優れない、むしろ悪化する一方だ。しかし、今だけはなにも考えずに眠れるような気がした。
彼の手の温かさを感じながら睡魔に身体を預けた。
ふと目が覚める。その原因は分かっていた。
気持ち悪い。
吐き気が押し寄せる波のように迫ってくる。意識が朦朧とした。視界がぼやけて見える。
トイレに行かなければと思い、ベッドを降りようとする。だが身体に思うように力が入らない。
ガタッと音を立て、床にへたり込む。その振動で更に吐き気が増す。
「ぅぐっ、っうぅ、ぁぐっ、っ」
えずくのが止まらず、口元を押さえる。らっだぁに連絡しようとしたが、机の上に置いてあるスマホまで自分が行けるとは思えなかった。
「ら”っ、っだぁ”っ、ぅ”っ、たすっ、けでっ」
聞こえているのか分からない声で叫ぶ。苦しさとパニックが入り交じり、感情がぐちゃぐちゃになる。
今は動けそうになかったため、その場でじっと吐き気が収まるのを待つ。
しかし、喉元までせり上がった吐き気は治まるどころか酷くなっていった。
「はぅ”っ…、ぁぐっ、っづぅ…」
手から肘へと湧き水のように流れる唾液が伝い、ぽたぽたと床へ垂れる。
このままだと本当にここで吐いてしまう。恐怖が呼吸を乱す。朝のあの時よりも呼吸の速度が速まる。
「ぺいんと!大丈夫か!?」
勢いよくドアを開ける音がした。
背後から声が聞こえたかと思うと、今のこの状況を察したかのように急いで駆け寄り背中を撫でられる。撫でられると更に吐き気が増し、何度もえずく。
「あう”ぅっ、せな”かっ、ぃや”ぁっ、っう”ぅ、はい”ぢゃうから”っ…」
「大丈夫だよぺいんと。早く苦しいのなくしちゃお?ほら、俺の服掴んで」
優しい声でそう俺に言う。そして、口元の手をどけ、彼の首の後ろへ回される。身体に力が入らずされるがままになってしまう。丁度、彼の肩に顔を埋めるかたちになっていた。
「大丈夫、吐いちゃっていいよ」
「ぁぐぅっ、なでっ、ない”でぇっ」
本当にもう限界だ。ここで、ましてや彼の服の上に吐くことはしたくなかった。シワが寄るほどに服を掴む。
「ぁう”ぅっ…」
ぐうっと胃が縮む音がした。とたん、下から上へと熱いものが込み上げる。
「うう”ぅえ”ぇっ、ぁうぐぅぅ…」
ボタボタと口から胃の中のものが溢れ、彼の洋服を汚していく。
その彼はというと、嫌な顔ひとつせずむしろ心配した顔で背中を撫で続けている。
「俺のことは気にしなくていいから、いっぱい息吸って?」
「っふぅ”ぅ、っあ”ぅ…ひゅっ、う”っ」
開いた口から唾液や吐瀉物が流れ出る。苦しい。息ができなくなり激しく咳き込む。苦しさで涙が出てくる。
その間、彼はずっと大丈夫大丈夫と小さい子を宥めるように声を掛けてくれていた。
しかし、いつまで経っても胃の気持ち悪さは治まらず、恐怖が身体を、呼吸を支配する。小刻みに震える身体を誤魔化すように再び手に力を込める。
だが力が抜けた左手が彼の腕を滑るように落下する。そのとき彼の腕には鳥肌が立っていた。
当たり前だ。いくら同棲して愛し合っていたとしても人の吐瀉物を自身に浴びて身体が拒絶しないわけがないだろう。顔に出さない彼は本当にすごいと思う。
視界がぼやけ、意識が飛びそうになる。ここで気を失ったらとてつもない迷惑を掛けてしまう、そう思うことでどうにか意識を繋げられていた。
「あ”ぐっ、う”うぇぁ”…っ」
再度、胃からものが逆流する。口の中に苦く酸っぱい味が広がる。荒い呼吸を繰り返す。少しでも多く酸素を肺に取り入れないと死んでしまうんじゃないかと思えた。
だが、しばらくすると胃の不快感が治まってくる。呼吸を整えようとした。
「んぅ”っ…」
次の瞬間に視界が暗転し、何が起こったのか分からないまま意識を手放した。
鳥のさえずりと暖かな太陽の光を感じ、目が覚める。
急いで上体を起こすとそこは先ほどまで自分が眠っていた寝室だと分かる。
自分の隣には、腕を枕にしてスースーと寝息を立てているらっだぁの姿があった。
辺りを見回すと汚れてしまったカーペットは片付けられ、いつもと変わらない清潔な寝室の状態に戻っていた。
自分を見ると、汚れひとつない洋服を着ており身体のベタつきや不快感がなくなっている。
多少、頭痛と喉の痛みがあるがきっと元気に配信ができる状態まで復活している。
本当に申し訳ないことをした。今日一日迷惑しか掛けていない。自分の不甲斐なさに腹が立つ。
艶のある青みがかった髪を撫でる。手のひらから感じる彼の体温に心が温まる。
「んん…、ぺんちゃんおきたぁ?」
寝ぼけ眼を擦り、ぽやぽやとした顔でこちらを見てくる。数秒見つめ合った後、急に目を見開く。
「えっ!?もう大丈夫なのかぺいんと!」
ついさっきまで寝ぼけていたのに急にはっきりとした口調でそう言ってくるから驚く。
「うん、もう大丈夫だよ…。あの、本当に、ごめん…。いっぱい、迷惑掛けちゃってごめん、なさい」
「もう!ほんとによかったぁー!」
「へ…?」
言いながら抱きついてくるので思わず変な声が出る。
「まじで心配したんだからな!」
「ぅん、ごめん…」
「そんな謝るな。お前が元気になっただけで俺は嬉しいから」
そう言い、わしゃわしゃとまるで犬を撫でるかのように俺の髪を撫でる。
今にも泣きそうだった自分の顔に少しずつ笑顔が戻っていく。
「ごめ…あ、ありがとう」
そう、人は謝るよりも感謝してくれる方が何倍も嬉しいのだ。
ニヒヒと笑い彼に抱きつく。この瞬間だけは頭痛も苦しさも忘れ、ただただ幸せだという感情が二人を包み込んだ。
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