アクアside
メルト)アクア〜!
アクア)んぐぅ…鳴嶋、ひっつくな
こいつ、胸がデカいからそれを押し付けないで欲しい。男に食われても知らないからな。
メルト)今週の土曜に服買いに行こ!
アクア)は?なんで俺が……
メルト)そこをなんとか!アクアじゃないとダメなんだよ!
アクア)…有馬と姫川さんとの仲が良いんだろ。俺よりその2人を誘えばいいじゃん
メルト)姫川さんはさっき誘った!かなちゃんは……今回は大丈夫!
アクア)有馬、可哀想だな……
メルト)で、行ける?
アクア)良いぞ。予定空けとく
メルト)おっ、サンキュー!
アクア)時間とかは後でL○NEで知らせてくれよ
メルト)ん、アクアこの後は仕事?
アクア)あぁ。あかねとのポスター撮影がある
メルト)あぁ…確かカップルだったよな
アクア)ビジネスだけどな
メルト)同性なの、気にしてないのか?
メルト)あっ、いや、別に同性愛に偏見を持ってるとかじゃないからな!
アクア)分かってる。その言葉、俺も最初は不安だったけど、あかねは受け入れてくれたからな
メルト)そっか……
アクア)鳴嶋?
メルト)お前ら、やっぱりお似合いだな!撮影頑張れよ!
アクア)あぁ
撮影の時、あかねにあれやこれやと質問責めされたのは言うまでもなかった。
アクア)あ、姫川さん
姫川)星野か。偶然だな
アクア)まぁ、集合場所が同じなので
姫川さんの服はいつもと雰囲気が違い、シンプルな白いワンピースを着ていて、そよ上にパステルグリーンのサーフパーカーを羽織っていた。意外と女性っぽい服持ってんだなと割と失礼なことを思った。
姫川)一緒に行くか?
アクア)…はい
東ブレの公演が終わり、姫川さんとは異母姉妹だと伝えた。姫川さんが驚き目を見開いていたのをみて、可愛いなと思ったのは今でも内緒にしている。いくら今世が女だからと言っても、立派なセクハラになると思っていたからだ。その後に姫川さんにセクハラされたけど。
姫川)新しく出た雑誌、良かった
アクア)え?
姫川)ほら、黒川と出てたやつ
アクア)…あぁ、アレですか
姫川)覚えてないのかよ
アクア)興味がないので…いや、あかねに興味がないとか、そういうんじゃなくて……
慌てて付け加えると、姫川さんはけらけらと笑い出した。上品さの欠片もねぇな。
姫川)言わなくても分かってる。そんなに申し訳なさそうな顔すんなよ
姫川さんはそう言って、頭を撫でてきた。異母姉妹だと伝えてから、やたらと俺に構うようになった。
アクア)子ども扱いしないで下さい……
たまに心配になる。姫川さんは男好きだとあかねから聞いているから、いつか無理やり連れていかれるんじゃないかと。男女の力の差は明白だ。そこは上手くやっているんだろうけど、数人には絶対に恨まれてる。特に鴨志田は要注意だ。稽古中はちゃんとしてるけど、休憩に入った途端に姫川さんの所に行く。姫川さんも拒否しないから調子に乗ってさらにおかしな方向に行ってる。有馬や鳴嶋にも目をつけてるから、演技疲れとは違った疲労が襲いかかる。俺には目をつけてないのは不幸中の幸いってところだな。
アクア)本当…変な男に連れてかれないで下さいよ
姫川)なに、心配してくれてんの?
アクア)そんなんじゃない……
姫川)うんうん。やっぱ星野は可愛いね
アクア)はぁ……
調子が狂わされる。撫でるのをやめない姫川さんをどうしようかと思いながら歩いていると、近くに見知った顔があった。
アクア)……鳴嶋?
メルト)…や、やっほ〜
なんでそんな気まづそうな顔してんだよ。俺なんかした?
アクア)ほら、来いよ
メルト)ア、アクア〜!!!!!
鳴嶋はそう『叫び』、俺の方に入ってきた。そして、抱きついた。
アクア)んぐぅ…だから抱きつくなって……
ただでさえ胸がデカいってのに…反応に困るからやめろって前にも言ったのに……
姫川)星野、鳴嶋
姫川さんは俺と鳴嶋の腕を掴み、少し焦った表情をしていた。
姫川)……逃げるぞ
俺たちの周りには、ファンらしき人で囲まれていた。
メルト)すみませんでした……
アクア)そんなに気にするなよ
なんとか逃げきれた俺たちは、近くにあった自動販売機で水を買った。
メルト)だって…姫川さんがせっかく綺麗にして来てくれたのに、走ったせいで服がボロボロになっちゃう……
姫川)おれ、は…だいじょうぶ……
未だにぜーはーと息をしている姫川さんに少し呆る。演技力はピカイチなのに、体力はないんだな。
アクア)体力がないだけで、別に落ち込んでないだろうから安心しろ
メルト)……うん
姫川さんは俺の方にじとっとした目を向けた。そんな睨むなよ。前のセクハラのお返しとして、悪戯してやるか。
アクア)それにしても姫川さんのアレ、面白かったな
メルト)『アレ』?
鳴嶋には伝わらなかったが、姫川さんには伝わったらしく、顔を歪めた。
姫川)仕方ねぇだろ。金田一がうるさいんだよ
忌々しげにそう呟く姫川さんに、俺はさらにちょっかいをかける。
アクア)可愛かったですよ、清楚系
姫川)揶揄うな
完全にいじけた姫川さんだったけど、今は水が恋しいのか、俺の飲みかけの水から目を離さない。仕方ないからそれを渡すと、お礼を言ってからごくごくと飲み始めた。俺の分もちゃんと残しとけよ。
メルト)なぁ、アクア
アクア)ん?
メルト)色々あって言い出せなかったけど……
鳴嶋は申し訳なさそうに──
メルト)お前、服ダサくね?
……してなかった。
俺の服は、フード付きの青紫のパーカーに黒のジーンズという至ってシンプルな格好だ。髪型はそのままおろしているが、ヘアオイルを使って手入れしているからボサボサではない…と思いたい。前世と比べたらかなりの進歩だろ。
姫川)確かに。いつもはもっと良い服着てんだろ
俺の分の水を飲み干した姫川さんは器用にゴミ箱にペットボトルを放り投げた。俺の分残せよ。
アクア)いつもは妹が考えてくれるんです。今日は朝から仕事みたいで、バタバタしてたので言い出せなかったって感じですね
いつまでも妹に頼るのもなんだから、今日は自分でコーディネートしたんだけど……不評らしい。自信あったから少し落ち込みそう。
姫川)妹も苦労してんだな
アクア)俺の方が苦労してます
姫川)なんの張り合いだよ
メルト)よし!じゃあ、アク…んぐっ
何の気合いを入れたか分からないが、さっきの事もあり俺は慌てて口を塞いだ。
アクア)お前は胸も声が大きいから、せめて声だけは抑えろ。無理なら、名前を変えて呼ぶとかあるだろ
背も高いから少しは譲れこのアホモデルめ。
メルト)んー!
姫川)『じゃあなんて呼べば良いんだよ!』だって
アクア)なんで通じてんの……
ドン引きした目でそう言うが、姫川さんにダメージはなかった。
姫川)俺はなんでもいい。お前が決めろ
アクア)俺はマリンで良いよ
メルト)ふんふん……
姫川)そろそろ離してやれよ
アクア)あっ、忘れてた
メルト)あー、空気が心地良い……
今日はいつもよりテンション高いな。そんなに姫川さんと来れて嬉しかったのか。
姫川)鳴嶋
メルト)はい?
姫川)モデルなら、良い店知ってるだろ?
メルト)? はい!
アクア)…嫌な予感しかしないんだけど
その場から逃げようとしたが、姫川さんにバレて腕を掴まれた。容赦ないなこの人。
メルト)最近オープンしたばかりなんすけど、結構品揃え良いんすよ!アク…マリンに似合う服も見つかるかも!
マリン呼びについ顔が歪めた。俺たちの少し後ろを歩いていた姫川さんが吹き出したのを見逃さなかった。
姫川)反応してやれよ。お前が言い出したんだろ
アクア)笑いを堪えながら言わないで下さい
嫌だなぁ……こんな可愛い服しか売ってない店に入るの嫌だなぁ……。
メルト)ほら、早く入ろっ!
アクア)っ、ちょ、力強っ!?
強く腕を捕まれて、そのままズルズルと店の中に引きずり込まれた。
メルト)まずはこれ!
一番最初に見せられたのは、森ガール風のワンピース。上は白く、フリルが多めにあしらわれている。下は淡い水色で、ビーズがプリントされている。少し可愛すぎるがセンスが良い。流石はモデルはだけあるな。
アクア)…これ、下から着るのか?
メルト)上から着ろよ!?
姫川)服が汚れるだろうが
アクア)あっはい
女子って怖い……よく忘れるけど、姫川さんも女子なんだな。
メルト)次はこれ!
Aラインが強調された青りんご色のボウタイギャザー。
メルト)んー…じゃあ、これ!
ワンピースとポンチョコートを組み合わせ、赤で統一ささたコーデ。
メルト)こっちも悪くない…これも!
黒でシンプルにまとめてられているが、さっきのボウタイギャザーと同じように、Aラインが強調されているワンピース。
ヤバい。そろそろ疲れてきた……。
アクア)助けて姫川さん
姫川)…頑張れよ
そんな憐れみの目で見ないでくれ。
無慈悲なことに、この後も数時間着せ替え人形にされた後、結局全て買うことになった。因みに姫川さんの奢りだ。居た堪れなさそうな顔をしてた。もっとそうしろ。
姫川)流石にあそこまでだとは思わなかった
アクア)思えよ
終わり
作者から読者の皆様へ
俺はファッションについては全く知識がないので、ネットで模索しながら描写しましたので、ご了承ください。
コメント
4件
まじで神すぎる 女体化はてぇてぇ
なにこれ可愛い!!!!国宝にするべき()
初コメ失礼します!!! えぇ尊いです...😢毎回物語考えるの上手くないですか...?ほんと毎回目の保養です...😭😭