【改稿版6】 ◇winwinじゃない (最終話)
「元気そうでよかったわ。じゃあ、行くね。
あたしは可愛い年下の夫とこれまたかわゆい息子が車の中で待ってるから、
せからしくて申し訳ないけどこれで……」
「うん。忙しいのに無理して時間作ってもらってありがとう。
君のことがずっと気になってたから、幸せそうでよかったよ」
「そう? ありがと、心配してもらってて。じゃあね、さよなら」
「ああ、支払いはこちらで済ますから急いで行ってあげて」
「サンキュー」
最高に幸せそうで……幸せを享受している真帆は、足取りも軽やかに
店から出て行った。
彼女の後姿、その背中にはぎゅっと幸せが詰まって見えた。
真帆、winwinなんかじゃない。
君の必死の主張を軽んじて、俺は君の主張に一切耳を貸さなかった。
母の言葉ばかりを鵜呑みにして、プロポーズした時の約束も破り、君の味方を
することなく、長男の嫁としての振る舞いに固執して押し付け、3:1で君を
責め続けた挙句、君の尊厳を踏みにじった。
あの時の俺は、愚かだった。
今になってようやく気づいた。
結婚が失敗した原因は君じゃない。
2人目の嫁との生活で、つくづく分かったことがある。
自分の結婚相手に問題があるのではなくて、息子の嫁にやさしくできない自分の両親、
特に母親に多大な問題があるってこと。
そして、その親から距離を取れなかった、俺自身だ。
けれど、今更だ。
それでも今の妻の味方をするという気にもなれず “もうどうにでもなれっ”
そんな諦めを胸に、宏は重い足取りで自宅へと帰っていくのだった。
―――― お ――――― わ ―――――り ――――――
☘ 最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この作品は2025.4.28 夜になんとなく閃き、なんだかんだと
少し書き直してできた作品になります。
姑と揉めるってアルアルですよね。 ΣΣ( ̄◇ ̄;)!ひぃ~*