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深夜、大森元貴は家のドアを開けると、暗闇の中にひっそりと立つ人物がいた。足音を立てずに近づいてきたのは、若井滉斗だった。
「元貴。」
その声に元貴は振り返り、若井の顔を見た。普段よりも少し冷徹な眼差しを向けられているが、それでも若井の目にはいつもと違う感情が込められているのがわかる。
「若井、どうしたんだ?」元貴は心の中で不安を感じながらも、若井の目を見つめる。
若井は黙って近づき、元貴の手を掴んだ。強く、けれども決して無理にではなく、確実に自分のものにするような力で。元貴は一瞬戸惑い、振りほどこうとしたが、若井の手は抜けることなく、彼の手首をしっかりと掴んだままだった。
「お前、最近…俺を避けてるだろ?」若井の声は低く、抑えきれない感情が滲んでいる。「他の誰かと過ごすことが増えて、俺が何も言えないままで…すごく怖かった。」
元貴はその言葉に一瞬驚き、そして少しだけ心が揺れた。確かに、若井のことを考える時間が減っていた。それを感じていたのは、彼も同じだったのだ。
「若井、俺が避けてるわけじゃない。ただ、少し距離を置いて…」元貴はその理由を説明しようとするが、若井はそれを許さなかった。
「距離? そんなものいらない。お前がどこに行こうと、俺はお前のことが離れたくないんだ。」若井は一歩元貴に迫り、その手首を再び固定した。「お前は俺をどう思ってるんだ? 俺を好きだって言ってくれ。」
元貴はその問いに胸が痛くなった。若井の強引さ、そして真剣さに、心が乱される。若井の手首を掴む力は少しも緩まらず、その体温を感じる度に、元貴の気持ちが揺れ動くのを感じた。
「若井…俺だって、お前のことが…好きだ。」元貴はその言葉を吐き出すように言った。息が詰まるほどの緊張感の中で、若井の目が輝き、元貴に引き寄せられるように近づいてきた。
「なら、もう一歩も離れないでくれ。」若井はゆっくりと元貴の顔に手を添え、唇を近づける。その瞬間、元貴は抵抗することなく、若井に引き寄せられた。若井の熱を感じるたびに、元貴の心が徐々に溶けていくのを感じた。
元貴は若井の手を軽く掴み、息を呑みながらその唇を迎え入れる。そのキスは激しく、決して離れようとしない強さを持っていた。若井は元貴の手首をしっかりと固定し、まるで自分のものだと主張するかのようにそのキスを深めていった。
元貴はその強さに少し抵抗しながらも、心の中でその情熱に応えようとしている自分がいた。若井が求めるように、完全に自分を預けることができなかったけれど、同時にその強い愛情に惹かれていく自分がいた。
「俺はお前を手に入れたいんだ。」若井は元貴の耳元で囁き、その言葉が元貴の胸を激しく打つ。彼の言葉に、元貴は強く心を打たれながらも、若井の手首を解こうとすることなく、ただその瞬間を受け入れた。
「若井…お願い、もう少しだけ…」元貴は息を呑んで、滉斗に身を委ねる。その言葉を聞いた若井は、元貴の手首を少しだけ解放し、彼を優しく抱き寄せた。
「俺もお前を愛してる。」若井は静かに言い、元貴をしっかりと抱きしめる。二人の間には、もはや言葉では表せないほどの強い絆が結ばれていた。