コメント
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こんなイイ作品がアッタナンテ信じられないくらい最高!感謝致します!
【主からの感謝】
前作の末尾にて、勢いとノリで「続きは♡100以上」と言いましたが、まさかのそれが♡1000以上という
10倍以上になって返ってきて驚きました。わざわざ私の駄作に♡を押して下さりありがとうございます!
俺は、とても機嫌が良かった。
誰の物かも分からない返り血が頬についていて生臭かったけれど、そんなのも軽く凌駕するほどに。
「タケミっち!」
扉を開けて愛しい人の名前を呼ぶ。
部屋の中は真っ暗で、ベッドの中が少し膨らんでるのが微かに見えた。
「寝てたの?タケミっち」
部屋の電気を点けて、俺はベッドに歩み寄った。
そっと毛布をめくると、そこにはぼんやりと虚空を見つめるタケミっちがいた。
大きな青い瞳は、ゆらゆらと光が危なげに揺れていて、口はだらしなく少し開いていた。
「………ぅあ…。ま、んじろぅ……、?」
「うん、そうだよ。ただいま、タケミっち」
「…お、かえ、り」
俺は、優しくタケミっちの身体を抱き上げた。
椅子に座らせて落ちないようにする。
「タケミっち、お薬の時間だよ」
ビクリ、とタケミっちの身体が大きく揺れる。
「……ぁ、あ…!…ぅあ゛……ッ!」
ぼろぼろと涙を流して、タケミっちは俺を見る。
「はい、これね」
俺は口移しで薬を飲ませてやった。
ちゃんとタケミっちが飲み込んだのを見て、頭を撫でてやる。
「ん。今日はちゃんと一回で飲めたね。偉い偉い」
まだ、タケミっちは泣いていた。
タケミっちは今まで何回も死線を潜り抜けてきたからか、この薬にちょっとだけ耐性があったみたいだ。
そのため、タケミっちには薬を毎日飲ませることになっている。
段々壊れてる。そう感じるのは言うまでもなかった。
最初の頃は、身体にある微かな耐性を駆使して抵抗していた。
筋力も知力も低下しているからそんなに強い抵抗じゃなかったけど。
薬を飲ませようとしても吐き出したり、俺の舌を嚙んだり。
その度に躾として殴った。
筋力が低下しているタケミっちは、赤ん坊のような悲鳴を上げるばかりで、抵抗なんてできやしなかった。
でも、今は違う。
稀に抵抗するくらいで、俺に従順な人形だ。
何処にも行かせない。
誰にも会わせない。
俺だけを愛して。
お前が俺だけを愛してくれるまで、俺は何だってするよ。
何だって買ってあげる。
世話だってしてあげる。
言うこと聞かないなら、何十回だって殴る。
でも、隠れ鬼はもうしない。
タケミっちに分かる?
俺の近くにタケミっちがいない時の孤独が。
まあ、もうできないかぁ。
食べるのも、歩くのも、トイレをするのも…。
俺がいないと────できないんだから。
可愛い可愛い俺だけのタケミっち。
隠れ鬼【完】