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頭が重い、鼻水辛い、喉痛い…。久しぶりに風邪を引いて、私はスマホを片手にベットの上に倒れていた。学校も休み、熱も出てきて完全にダウン状態。病院でもらった薬を飲み、私は布団の中に潜り込む。
あぁ、今はお昼休みの時間か…。
友達には「大丈夫!?」と心配する連絡が来ていたが、返信する気になれないほど身体が参っていた。
ちなみに、私の恋人でもある凪誠士郎にはこのことを伝えていない。凪くんはスマホゲームをよくしているけれどLINEを見るのはかなり遅いし、何事にもめんどくさそうにしているから、自分から風邪を引いたと言うのは少し気が引けた。
連絡したとしても「お大事に」の一言だけで塩対応なんだろうなぁと天井を眺めながらぼんやりと思う。クラス一緒だから休んでいることも後で知られるかもしれないけど。
そんな事を考えていたら、さっき飲んだ薬の副作用の影響でだんだんと眠くなってきた。私は眠気の波に呑まれるがまま、ゆっくりと目を閉じる。眠りにつく前、スマホのLINEの通知音が2つ鳴ったような気がしたが、私は気にも留めなかった。
*
どれくらい寝ただろうか。目を開けると日が沈んで少し暗くなった部屋の天井が視界に入る。まだ起きたばかりで、ぼーっとしていると
「あ、起きた。大丈夫?」
聞き慣れた声がすぐ側で聞こえた。声のする方へ振り向けば、ふわふわしたライトグレーの髪、整った顔立ち、いつも見る眠そうな表情。
「な、凪くん…!?えっ嘘でしょ何でここに…!?」
「家行くって連絡したじゃん。てかなんで風邪引いたって言ってくれなかったの。」
スマホを確認すると、確かにLINEに「風邪?学校終わったら家行く。」のメッセージといつも凪くんが使ってる謎の変なスタンプが入っていた。寝る前のあの通知音は凪くんからだったのか。
「信じられない…あのめんどくさがりの凪くんがお見舞いだなんて…」
「何、俺がお見舞い来ちゃ悪いわけ。」
いつもの眠そうな顔で唇をキュッと結び、少し拗ねたような表情を見せる凪くん。
「ごめんごめん、まさか来てくれると思ってなかったからびっくりしちゃって。嬉しかった、ありがと。」
「ならいいけど…。体調どう?」
「薬が効いてきたからちょっとマシだよ。」
「そっか。早く風邪治してね。」
凪くんは私の頭を撫で、顔をこちらにを近づけてくる。
「あっあんまり近づいたらだめだよ!風邪移しちゃうかもしれないし」
「その時は〇〇が俺の事看病してよ。」
「看病してもらう前提ですか」
「何か問題ある?」
「無いです…」
そんなやりとりをして、凪くんは私のおでこにひとつ、優しいキスを落とす。
「〇〇はさ、もっと俺に好かれてる自覚、持った方がいいよ。」