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その時、翼に何かが当たった。謝る前に向こうから話しかけてきた。「わあわあ!ごめんねごめんね!いやあ〜申し訳ない!」同じくらいの年のひよこのようだ。太陽の光が当たり、相手の顔が照らされる。暑苦しく、昔の飼い主を彷彿とさせてくるその表情が癪に障る。そしてその口から言語変換装置特有の気持ち悪い音が聞こえる。
まず、同じ言葉を2回繰り返している時点で気が合わない。小さい声で謝ってすぐ行こうとすると羽を捕まれる。「ねえ君、ペットだったでしょ」妙にその言葉に苛立って振り返ってしまった。「わかるんだよね〜態度で。僕もそうなんだけどね。」そこからは一方通行で、自分の生い立ち、自分が所属しているグループのこと、そのグループに入ってほしい事をやたらと感情的に語られた。こういうやつは嫌いだ。一応要約すると、どうやらこのひよこは自分勝手にひよこという自分より下とみなした生物を改造し、好きなように使う人間が許せないらしい。だから人間を殺そう。そう言っているのだ。どうせ言うならもっと頭の悪そうなやつに言えばいいのに。心底アホなやつだ。そういうの間に合ってるんで、そう適当にあしらって翼を振り払う。もう追いかけてこないだろう。そう安堵した瞬間だった。後ろから声がした。「君が欲しい」
「君が良い。君が欲しい。君だけが救いで、君だけが希望だ。君以外は考えられないし君じゃないと嫌だ。」駄々をこねるように言ったのではない。真顔で真剣な目でそう言ったのだ。バカバカしい、バカバカしい、こんなのに付いて行くやつはバカだ。そう、頭の中では思っているのに、思っていたはずなのに「10秒以内に案内しろ」そう口が勝手に言っていた。
これが不幸の、嬉しさの、怒りの、悲しみの、楽しさの、そして幸福の始まりだった。