🦍社二次創作
戦争系
「そのコトバを俺は知らない」
最終話 思い出したそのコトバ
朝。朝日が窓から差し込み、身体を起こす。閉戦から約1年。
もうこの施設での生活は、日常になっていた。
顔の傷は、今も治らない。それでも、自分はこの傷を誇りに思っている。
目が覚めたら、近くの川の冷たい水で顔を洗って、施設の手伝いをする。
ナイフを使いこなしていたので、料理が得意だった。
毎朝掃除や子供達のご飯を作る。それが自分の役割だった。
1年経って、1通の手紙が届いた。送り主は、ドズルさん。
「Dear Qnly」
そう書かれた封筒を、丁寧に開けて中身を読む。
「おんりーへ
君のお陰で、この国で10年間続いた戦争は、閉戦した。
この事はとても偉大な事で、 君にはこれからも誇りに思っていてほしく思う。
本当に、ありがとう。これからはまた医学の道に戻るよ。君のおかげだ。ありがとう。
ドズルより」
やはり、根は優しい彼だ。丁寧に手紙をくれるなんて。
手紙を机の上に置いて、掃除をしようと部屋を出た。
掃除しようと居間に入ると、
「おんりー君、お客さんだよ。」
と少し年下の男の子が教えてくれた。
俺に?そう思いながら玄関に向かい、扉を開けた。
前方20m程先に、人が2人居た。
顔を見て、自分の強張っていた顔が綻ぶ。
「…父さん、母さん…」
「…‼︎おんりー‼︎」
走って2人の元に向かい、抱き締める。
10年ぶりに、両親の温もりを感じた。
やっと会えたんだ。嬉しくて、涙がとめどなく溢れる。
「…軍から解放されて、生活の準備も整ったんだ。一緒にこれからは生活しよう。10年間も1人にしてごめん。」
あぁ。これが、俺が欲しかった景色なんだ。
声をあげて、泣いた。
「…愛しているよ。自慢の息子、おんりー。大好きだよ。」
愛している。大好き。久しぶりに聞いたなぁ。懐かしいなぁ。
愛を、やっと思い出した。
愛は、人を幸せにするんだ。そう思った。
準備をする為に、一度今日は別れた。
荷物をまとめている時に、ナイフを見つめる。
幼い頃からナイフと共に生きたと言っても過言ではないくらい。
ゆっくりと、ナイフを小さなトランクに詰めた。
実家の机の上に、ナイフが置いてある。 今も、ナイフが陽の光を浴びてキラキラと光っていた。
あとがき出す予定
コメント
3件
完結おめでとうございます...!! 最後おんりー両親に出会えて良かったです...、!