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好きなことばかりをして生きていたい。好きな時に起き、好きな時に外に出て、好きな時に好きなことをして、好きな時に寝る。これを繰り返していたい。私が死ぬまでずっと。
【2018年7月17日 A.M.6:00】
「燐!!起きなさい!!」
母の声で起こされる私の名前は花宮 燐(はなみや りん)という20代のサラリーマン布団の膝元には猫がおり共に寝ていたことが分かる。
「はーい!マナごめんね、、、」
燐は布団の中からムクリと立ち上がりマナという猫を起こさないようにどかしベットを後にして会社に向かう準備をした。燐の目元にはクマと寝癖があった。きっと夜勤明けなのだろう。でも会社には行かねばならない。もし行かなかった場合上司に説教をされ、暴力をされるかもしれないからだ。
服を着替え、母に挨拶をし、朝食を食べ、カバンを持ち、靴を履いてマナと共に外に出た。
そこで恒例なのがマナに問いかけることであった。
「君はなぜ猫なんだ」とかその『存在』や『概念』のことを聞くのではなく、「マナは毎日何してるの」、「マナはなんで私をみおくってくれるの?」といった『生活』、『行動』のことを聞くこれが毎日だ。でも当たり前のようにマナは答えてくれない。それはそうだなんて言ったって猫なんだから。
私は常に猫のように生きていたいと思っている。多分ね。
「ねぇ、マナってさ親いるの?」
と今日もまたマナに問いかけるがマナは答えない。これが日常だ。
「ねぇ、マナって喋れるの?」
私がマナに聞くと目の前で歩き続けると思っていたところがピタリと止まった。
「私、話せるよ?」
「へっ、、、」
マナから聞けることは無いと思っていた口から鳴き声ではなく発することの出来ないはずの言葉が出てきた。
「私は話すことの出来る。これは幻想では無い。現実だ。」
私は自然と涙がこぼれた。今まで夢に思っていたことが、起こり得ることは無いことが今、目の前で起こったのだから。
「それはお前が出す質問の数々、全てがくだらなかったからだ。まるで我々のようになりたいように。こちらに顔を向け返ってくるはずもないのに無限に繰り返す。果てしなく終わりのない。」
「それじゃあ、さぁ。ここで全ての質問の答えを今出してよ。」
「いいだろう。答えてやる。人間と猫との生態が違うって言うことだ。生き方も全て。」
「生き方?」
「あぁ、そうだ。人は他者を愛し、長く生き、幸せを持って死ぬ。我々から人を見ていたら、そう縛られてはいない。それは人間から見ても同じことだ。どのように生活し、どうしてその行動をしているかも。質問は無限大だ。お前は全てを嫌っているように見えるだから猫になりたいのだろう。でもそれは叶わない。無理なのだ。私は猫又族の末裔だから話せ、変化ができる。でもお前は人間だ。だから全てを愛し誇りを持って生きろ。泣いたって笑ったっていいお前はお前らしく生きろ。こういうことはもう二度とない。好きなことを好きだって言えるようにそれを見つけて前に進め。」
「う、、、ん。」
私は涙を流しながら笑顔を見せマナと共に道を進んだ。宝探しに出かけるように。好きなことを好きだと言えるように。きっとこれからも前に進み続けるだろう。