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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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中学1年の夏。


私は、兄の入っていたバレーボール部の公式試合で、自身の運命を大きく変えるプレーに巡り合った。


とある1試合の、とある1本が、当時の私のバレーボールに対しての認識を大きく覆す。


はるか「お兄ちゃん〜!いけぇ〜!!」


私は額に汗を浮かべながらも声を轟かせる。


ドゴッッ‼‼‼


はるか「っ!ナイスキーッッ!!あと一点!!」  


流石はお兄ちゃん!

2つ上のお兄ちゃんはエースというやつで、今日も絶好調に実力を発揮している。


「流石は北一!千鳥山に勝つぞ!!」

「あのエースすげぇよな!?あと次のサーブのやつも!」


耳に入ってきた称賛の声に私はフフンと鼻を鳴らした。


そりゃあそうだよ!!

だってお兄ちゃんだし!


対戦相手は強豪みたいだけど、徹くんとお兄ちゃんのコンビネーションは伊達じゃない。


サーブもスパイクも、、、、大きな音で勝利の一步を主張してくれる。


私はその響く音が大好きだった。


はるか「やっぱり派手な攻撃カッコいい、、、、、!!」


最後の締めはやっぱり徹くんの強烈なジャンプサーブだ。


高鳴る鼓動を押さえつけて集中した。

対戦相手はもう消沈したように、どんよりとした空気が流れていた—–


?「—————お前ら何絶望した面してんだぁ!!」

はるか「!!」


その中で1人だけ、顔をしっかり上げて士気を高めようとしている選手がいた。


?「安心しろ!俺が絶対に捕ってやる!!!」


正直、そんな自信がどこからくるのか分からなかった、、、。

もう何回も徹くんにサービスエースを決められているのに、、。


負けるってわかってるはずなのに、、、、。

でも彼の言葉に呼応するように、相手コートの空気は軽くなっていた。


ピッ‼

はるか「いけ〜!!徹くんっ!」


華麗に宙に上がったボールに勢いよく手を当てる徹くん。


私は心の底からそれが相手コートに叩きつけられる爽快な音を期待していた。

どんなに頼りがいのある台詞もすがりたくなる存在だとしても———“関係無い”とねじ伏せる、、あの爽快を待っていた、、、。


だけど———–


トッ、、、、、


はるか「嘘、、、、、、、!?」


彼は有言実行した。

徹くんの強烈なサーブを今日一番のレシーブで綺麗に上げてみせた。


このボールをセッターがセットし千鳥山のウイングスパイカーが打つ。


そのスパイクは、お兄ちゃんを含めた2枚ブロックに跳ね返され地面に叩きつけ—–


られなかった。

はるか「、、、、、、え」


さっきあのサーブを受けたばかりなのに、いつの間にか彼はブロックのフォローに入っていて叩き落されたボールを驚異的な反射で上げたのだ。


そして会場内が今日一番盛り上がった。


全然派手なんかじゃないのに。


大きな音もしないのに。

それでも私の胸はキュッと締め付けられ、全身の血が沸騰したみたいに熱くなり息苦しさを覚えた


その後サーブミスで、結局勝利したのは北川第一だった。


勝ったお兄ちゃんと徹くん北川第一側に拍手を送りながらも

私の視線はずっと彼に釘付けだった。


岩泉「はるか、応援サンキューな」

頭をくしゃくしゃと撫でられて照れ臭い気持ちになりながらも微笑む


及川「あ、千鳥山」はるか「!!」


徹くんのその言葉に反射的に振り向いた

ミーティングを終えたあとらしき彼らは、会場をあとにすべく荷物を持って移動していた。


タタッ、、、、、


岩泉「え、、、はるか!?、、、、どこ行くんだよ」


自分でも何でこんなに必死で追いかけてるかわからない。


会って話して何を伝えるつもりなのか。


『大器晩成』と四字熟語がプリントされている彼の背中を追いかける。


体育館をでたらすぐバスに乗ってしまい伸ばした手は空気を掴むことしか出来ずにいた。


、、、、あれ?

視線を落とすと、何かが堕ちていることに気がついた。

リストバンドだった。


はるか「いっき、、、、『一騎当千』、、、、?」


黒の刺繍で縫われた四字熟語ですぐに、これはあの人のものだと確信した。


はるか「また、、、、、会えるかな、、、、」


蝉の鳴き声よりも大きく響く心臓の鼓動を抑えるように、そっと握りしめた。








〜〜〜バレー馬鹿たちとのアオハルを〜〜〜

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