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演舞は十五時に終わり、十九時からは祭の時のように多数の露店が出るということだった。帰り道で、蓮はアキナに誘われて参加を決め、二人は一度解散した。
「悲しいけれどしばしの別れだ。私には大事な準備があるんだよ」路上での別れ際、大げさな調子のアキナは妙に自信満々な笑顔だった。
その後、二人は、きっかり十九時に円山公園の入り口で再会した。アキナは浴衣姿だった。
「予想通りの好反応だね! 良かった良かった。だいぶ苦労したけど、頑張って着たかいがあったってもんだね」
幸せそうに呟くアキナは、見せびらかすように片足を軸にくるりと一回転してからウインクを決めた。絶句する蓮は、満足げに微笑むアキナの身体を眺める。
アキナの浴衣は、白地に淡い桃色と紫色の大輪の花が描かれたものだった。一般的な紺色、白色を用いたものより鮮やかであり、優しげで健康的なアキナが身に纏うと、なんともあたりが華やぐのだった。
「そうかそうか、私はそんなに魅力的か。そうだろう、そうだろう。しかしだ。蓮くん。いつまでも見とれてる場合じゃないぞ! 今宵の宴は現在進行形でガンガン進んでるんだ! ぼけっとしてると乗り遅れちゃうぞー」
芝居がかった調子のアキナは、左手で蓮の右手をぎゅっと握った。掌に伝わる柔らかで暖かい感触に蓮はどぎまぎするも、アキナに従いて早足で歩き始めた。