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「学生の、お遊び? それ、どういう意味ですかそれ」
しかし、俺の心はこわばっていく。
「これは知っておくといい。自分だけが満足する人生を、お遊びというんだよ」
ミューズ製のBGMが、俺と社長の間に生まれた溝に流れる。
「米子さん。言葉であれこれいうのは簡単です。でも、言葉じゃなくってギター弾きましょうよ。僕と一緒に、ギター弾いてくれませんか」
俺の口調は、針のように鋭くとがった。
「僕は、今この場でもいいんです」
出雲やめとけと声が飛ぶ。いいぞやれやれ、やっちまえという声が飛ぶ。
卓が飛んできて、肩をつかんできやがった。
「いくらなんでも失礼だぞ」
卓が引っ張るから、俺は後ろを向いた。
「お前、社長に泥を塗るつもりか? 向こうは会社の経営者だぞ。お前が勝つに決まってるじゃないか」と卓は声を絞って言う。
「言葉よりもギターの方が速い。言ってもわからない人にだって、聞けばわかるんだから」と俺は答えた。
「そんなことしてどうする? お前の腕見せつけて、社長に恥をかかせて、そんなことで満足してどうするつもりだ」と卓は言う。
「そんなことのためにギター弾いてるんじゃない」
幹事長。就活の一環としてここで割って入るのは不公平だと思います、と一年生の一人から声があがる。
「何だと」卓が珍しくむきになった。
周りがざわつき出す。
俺と社長が両方とも、引っ張られ引き離される。そこにいる人は、俺の側、社長の側と二分されて集まる。互いに罵声を浴びせはじめる。これは収まりがつかなくなる。