テラーノベル
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意外とすぐに夜になった。1日が永遠に感じられる程長く思えていたのに、もう夜だった。恐怖で汗が滲み、目がぱっちりと開いてしまっている。どうしようもなく、ただただ眠ることが出来ない空間。
俺は諦めて、ふと時計を見る、24時だ。もうこんな時間か、と思いつつも、まだこんな時間か。と思うことも出来て、なんだか不思議な感覚がした。
その時だった。大きな物音と叫び声。でも、口を塞がれているのか、とても小さく、曇った声になっていて、誰の声かの判別が出来なかった。
外に出ようと、扉のノブを回す。そこで俺は気付いたのだ。扉が開かないことに。何度も叩く、何度も、ノブを振る。ビクともしない、開かない。
仕方がなかったので、ドアスコープから覗く事にした。すると、紅色の瞳と目が合った。その目はキリッとしたつり目で、ほんのりと影かかっていて、不気味だった、
コイツは…狼だ。急な震えと悪寒、足がすくんで、その瞬間に無意識にも後退りをした。その目は光っていて、こちらをまだまだ覗いていた。
グルルルッ…という喉の音。爪でドアが引っ掻かれている。ドアスコープ越しに光る赤い目は、俺を覗いて離れない。
怖い。それしか頭に浮かばなかった。部屋に置いてあったフルーツナイフを手に持ち、情けなく震える俺。
汗がダラダラで、身体中に冷気が透き通っている。指先が小刻みに震え、歯がガチガチと音を立てている。
恐怖に染った身体は、なかなか落ち着かず、救いを求める発想も無かった。
ひとしきりドアを蹴り叩き掻いた後、狼は俺の方を恨めしそうに見つめながらも、目を離し、去っていった。
俺はその場で尻もちをついた。急に身体中の力が抜け、後ろに倒れ込むので精一杯だったのだ。
命の危険を感じるとはこの事なんだなと俺は初めて認識した。
冷たい空気が、まだ当たりを通っていて、どうしようもなかった。俺はこれ以上の恐怖に駆られることを恐れ、布団に入った。
布団に入った後も震えが止まらなかった。時計のカチカチという秒針の音と、自分の心臓の音がうるさくて、どちらにせよ、なかなか眠ることが出来なかった。
ザワザワと鳴る外の木の葉の音が、やけに大きく聞こえて鬱陶しい。
俺は、精神的な負担からか、どっぷりと深い眠りに、堕ちていった。
正直な話。もう目は覚ましたくなかった。これが夢である事を、無意識ながら願ってしまった。それでもコレは現実。
次の日、起きて皆で集まったところ、ぺいんとが見るも無惨な姿で発見された。
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