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朝 9:00

おかしいゾ、どうして息抜きの為に街に降りただけで今日一日書類をしないといけないんだ!ちゃんと外交

する国のリストアップもしたし(怒られてから)、軍費の計算もしたんだゾ(提出期限はとっくの九日前)!だから遊びに行ったのに、たかだか三時間くらいしか遊べなかったじゃないか。

そんなことをぶちぶち思っているとつい、言葉になっていたのだろうか。隣で泣きべそをかいていた鬱が俺を見て顔を青くした。人の顔を見ておいて、そんな顔をするのはどうなんだ、と言おうとしたとき、彼の目が俺の少し奥を見ていたことに気づく。いやな予感がした。一瞬にして脂汗が浮かぶ。後ろを振り向けないで居ると、唐突に頭をガシッと捕まれぐりんとそちらを向かされる。

「グルさーん、そーゆーのはできて普通やし、なんなら期限までに出して当たり前なんや。それなのにあんたは…」

そう言ったきりトン氏は黙ってしまった。真っ赤な薔薇を思わせる紅い瞳は、何処か悲しそうな、少し諦めたようなそんな感情を浮かばせていた。

取り敢えず二時間頑張ろう、その後は久々にトン氏とお茶をして、サボ……まったり過ごす。

そう決めた俺は、最初の方は至って真面目にこなした。鬱も何かを感じ取ったのだろうか、グスグス言いながら書類を進める。ところがその集中が続いたのは本当に最初だけだった。三十分たつと目がせわしなく動き始め、十分経つとそわそわし出す。鬱は開始二十分からダメだったから、俺はまだ持った方だろう。無いに等しいやる気をかき集めて書類に向かうがダメだった。

逃げよう、そう決めた。トン氏には申し訳ないがもう耐えられない。

「トン氏、濃いめのお茶を持って来てくれないか。」

だてに監視していなかったトン氏は、集中が切れたのが分かったのだろう、渋々ながらも、お茶を取りに行った。トン氏がキッチンへ続く道にある曲がり角を曲がったことを確認した俺は鬱に声をかけた。

「鬱、一緒に逃げるゾ。総統命令だ。」

そう言うと、一度パチクリと瞬きをした後、へらり、と笑って着いてきた。一刻も早く逃げるために全速力で廊下を走り抜ける。驚いたことに鬱は難なく着いてくるのだ。これには驚いた。

門番に「街へ偵察へ行く。護衛は鬱が居るので充分だ。」と、言うと門番は何処か困ったように言う。

「それが…幹部であるトントン様とロボロ様からグルッペンと大先生は絶対に外に出してはいけない、と言われましたので…心苦しいのですがお通しすることはできません。」

ショックだゾ…総統の俺ではなくトン氏とロボロの言いつけを守るのか…

しょっくで何も考えられなくなった時に「グルッペンさーん」と声がかかった。振り返らずとも分かる。ガチギレトン氏だ。鬱はそろー、と逃げようとしたが「何処に行くんですかねえ」と漏れなく捕まった。

「グルッペン、俺が引きずらんでも着いてこれるな?」と、にこやかな笑みで言うが目は笑っていない。人形のように首をコクコクと動かす。問答無用で鬱を引きずって行くトン氏は門番に「いつもありがとなあ」と、いって総統室へと戻る。その後を静かについて行きながら、どう言い訳をしようか、と必死に考える。


怒られたのは俺の方が長かった。鬱は”グルッペンが総統命令だと言ったから”と言う理由で余り怒られていなかった。俺はよくも騙してくれただの、俺の信頼を返して欲しいだの、職権乱用するなだの、沢山怒られた。椅子に座って聞いていたため、途中からうとうとしているとそれをまた咎められ、今度は床に正座させられる。そんなこんなで怒られていると、ノックがして、ゾムが入ってきた。何でも報告書を出しに来たらしい、俺たちの有様を見て、少し驚いていた。ゾムの午前中のノルマはこれで終わりらしい。これから遊びに行くのだろうか。

そんなことをぼんやりと考えながら、俺はトン氏に向き直った。



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あとがき

誤字脱字等ありましたら教えていただけると幸いです。

コメント、アドバイス、リクエストなど、お待ちしています。

次はロボロ視点で書くつもりです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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コメント

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グルちゃん,....w

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