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桜が咲き、温かいお日様が顔を出す。
去年の寒さが嘘のように、ポカポカと穏やかな風が右から左へ抜けてゆく。
そんな中、私、青原遥は、真新しいリュックをかけた机に突っ伏していた。
「部活、どうしよ…」
周りはもう、その話で持ち切りだ。
仮入部はどこに行くのか、そんな話で盛り上がっているクラスメイトを横目に、またため息が出る。
三年間、どこに所属し、どこで時間を過ごすか。これに自分の交友関係までもがかかっているのだ。
私はもう、小学校の頃のような思いをしたくない。だからこそ、慎重に選ばなければいけない。
そんなこんなで私が頭を抱えていると、上から声がした。
「何言ってんの。遥は運動神経がいいんだし、勧誘たくさん来るでしょ!」
私の唯一の親友と言ってもいいくらい仲が良い友達の畑中優里。
私は運動神経がいいほうだと自負しているが、
優里はお世辞にも良い方とは言えないため、少し拗ねている。
毒舌で、思ったことを直球に言ってくる優里だけど、気を遣わないで話せるし、意外に友だち思いで優しい。
「優里~、だって…」
「まぁ、遥の気持ちは分かるけどね。」
小学校からの付き合いの優里は、私のことをよく理解してくれる。
小学校の時、私はバスケットボールのクラブに所属していた。
私は負けず嫌いで、より高みを目指していたけれど、周りはそうではなかったみたい。
私が練習している横で、話し声と共に聞こえる笑い声。
プレイ中、私からのパスはだれも受け取らないし、誰も回してくれない。
悪口も、無視も、避けられているのも、全部わかっていた。
でも、バスケが好きで、またクラブのみんなと楽しくプレーができると信じていた。
だけど、、、
クラブのメンバーに階段から落とされた。
幸いにも大した怪我はしなかったけど、私は二度と走れなくなった。
私は、走ることにトラウマを持ったんだ。
一応クラブのみんなとは、二年間の思い出があって、
最後の年である六年生から起きたことだし、
少ししたら、終わると思っていた。
それまでは、直接的な被害もなかったから。
ちゃんと戻れると信じていた。
だけどもう、そんな淡い期待は踏みつぶされ、ぐしゃぐしゃになった。
そんな過去がある以上、簡単に部活を決めることもできない。
私にとってバスケがすべてだったから。
それ以外私には、何もないから。
…今の私は、空っぽだ
「ただいま〜。」
家に帰り、バタンと扉を閉める。
リビングでは、二つ違いの兄がのんびりとくつろいでいた。
「ただいま、お兄ちゃん」
青原大樹。眼鏡をかけいて、THE理系な兄。
優柔不断だけど優しく、頼れるし、尊敬している。
「おかえり、遥。そろそろ、仮入部の時期だね」
私が悩みに悩む、最悪の期間をここまで簡単に私の前で言うのは、
空気が読めないというか。何というか。
「せっかくだし、陸上部見に来れば?」
「…..、え」
走れない私に、兄はそんなことを言った。
考えてみれば、これが私の運命を大きく曲げた時だったのかも…..しれない
「自由に見学していってね!」
兄からの誘いもあり、陸上部の仮入部に来た。
といっても、優里はいないし、お兄ちゃんはひたすら個人練習。
私はのんびり、近くを歩き回ることに。
「なんで端っこに砂場が?」
私はしゃがみ込み、じっと砂場を眺める。
走り幅跳びの土は別のところにあるし…
「どうしたの~」
後ろからいきなり声が聞こえ、ぐるりと振り返る。
「あれ、青原と似てるね」
兄のことを知っているってことは、先輩かな。
「青原大樹の妹、青原遥です」
明らかに明るい系の人だし、お兄ちゃんとは正反対だけど…
「俺は相原祐大。青原と同級生!!」
あまりに大きな声で、耳がキンキンする
「ここは、何をする場所なんですか?」
砂場みたいなところで、相原先輩は野球ボールより、2周り、いや4、5回りくらい大きな灰色の球体を持っている
「砲丸だよ〜!」
元気に先輩が話し出す。
「砲丸…ですか」
陸上競技は、お兄ちゃんもやっているから、少しは知っていると思っていたけど…
砲丸は、初めて聞いたな。