前の話でも言った通り多分今回長いです
–
💭
家を少し見て回っていた時だった。
徐に見た場所にギターが置いてあった。
「え、!ギターするの?」
「するよ」
「昔バンドやろって言ってた子がいてねー。」
「聴きたい、?笑」
「聴きたいっ…」
驚いたような顔の後すぐニコっと笑いながらギターを弾いてくれた。
率直に言うととても上手だった。
「僕の曲のギター弾いてほしいな…」
思わずそう思ってしまった。
「え、?!」
あれ、声に出てた.???
「元貴の曲聴きたい、!」
目をキラキラさせながら言ってくる。
嫌だ。そもそもパソコンがないので聴けない。
「パソコンならあるよ、お願いっ!!!」
あまりにしつこかったので仕方なく若井のパソコンからログインして聴かせた。
“アウフヘーベン”
作った時のこと を考えていたら後ろから鼻をすする音が聞こえる。
振り返るとそこには涙目の若井。
「すごいよ元貴ぃ…」
なんて言いながら涙を堪えている。
こんなやつでもそう言う心はあるんだな。
「…あははっ!」
思わず笑ってしまった。
「なんで笑うのぉ、」
「あ、ごめんなさい。面白かったから.…」
「でもほんとにすごいよ、元貴… 」
人に曲を聴かせたのなんか初めてだな、
でもこれだけは断言できる。今後聴かせるとしても泣いてくれる人はいないだろうな。
なんてこともあったな。
ふとこれまでの出来事を振り返っていた。
ベッドが一つしかないから。と一緒に寝ていたり。
普通は自分を誘拐した犯人となんか寝れるわけがないだろう。それは同感だ。
だけど不思議と若井の隣は安心する、。
自分でもおかしいと思う、笑
しかし、いつまでこの生活が続くだろう。外に出たい。
でも、
学校に行けばいじめられて。僕は一般的に言えば可愛い顔立ちをしている、らしく性的暴力も時には振るわれそうになった。 家に帰ればおばさんたちの邪魔になる。誰にも必要とされない。
居心地のいい場所なんて何処にも存在しない 。
「デート、しよっか」
デート。は置いといて外に出られるのか、?
「家にずっといてもつまんないでしょ」
家では本を読んでいた。でもそれも飽きてきた頃だ。
若井は毎日2時間くらい家を空ける。時間は決まって14時。
何をしているのかは知らない。仕事かと思ったが、2時間で終わる仕事とは…
いやしかし、少し見ればわかる。多分貧乏ではない。いや逆に裕福な方だと思う。まぁキリがないので考えないことにした。
次の日、
朝早くすぐに出発した。
何処へ行くのかは聞かされてない。
まぁ別に聞く必要もないと思い身を委ねることにした。
少し眠たいな。車の揺れや窓から入る風が気持ちよく、眠たくなってくる。
そんな僕に気づいたのか
「寝てていいよ。」
優しい声。
閉じかかっていた眼を少し開け若井の方を見てみる。
うわっ、かっこいいな
率直な感想だ。
ハンドルを片手に握りながら窓際に肘を置いているのがいい雰囲気を醸し出している。
てか世間的にはこれをイケメン呼ぶんだよな。
勿体ない。これが僕の出した結論だった。
「あんま見ないで…」
そんな声が聞こえた気がしたが特に気にすることもなく僕は瞼を閉じた。
「・・・きて」
「起きて元貴。」
そう声が聞こえて眼を開ける。
「わかい…」
「ついたよ。いこ 」
さて、一体何処に着いたのか。
あれ、波の音が聞こえる。。海、?
「ごめんね。どうしても来たくて。笑」
少し冷たい風に吹かれた髪の隙間から見える若井の目。
少し寂しさを感じたのは何故だろう。
「海、綺麗。」
ザーザーと波の音が聞こえる
「綺麗だよね、最後に元貴と見ておきたかったんだ。」
「思い出の場所だから…」
最後。という言葉に引っ掛かった。
思い出という場所もなんなんだ。
僕はこの海に覚えはない。
「…っちです」
「〜〜!!?」
「いたぞっ!!!!」
人が来たのか。こんな早くから。にしても騒がしいな。
振り返ると目に見えるのは何台かのパトカー。
けいさつ…!?
「わかっ」
若井の方に顔を向けると若井は警察達の方を見ながら立っていた。
若井の手を握る。
「若井っ、逃げて」
「逃げてよ」
そう言いながら手を揺らす
「逃げてってばっ!!」
そんな僕の声も届かない。
なんで、、
警察などがもうすぐそこまで来た時
若井は手を握り返し、僕を抱きしめた。
「元貴、ごめんね。」
「若井…?」
「ごめん、ごめん」
「離れなさい!!!」
警察と、おばさんおじさんまで
呆然としていたら
おばさん達が駆け寄り僕の手を引き抱きしめる。
いつの間にかあの温もりは消え、他のものに変わっていた。
最後の手の感触まで。
ハッとしおばさん達を避けて後ろの方を見る。
警察に連れられる若井の姿。
若井…???
「若井っっ!!!!!」
「若井っ!わかいっ!!!」
暴れる僕をおばさん達が抑える
「元貴落ち着きなさい!」
若井は振り返り僕の方を見つめる。
そう思えば微笑み、すぐ前を向いてしまった。
パトカーに入れられる若井の姿。
「ひろとッッ!!!!!」
全力で叫んだ。その声は届いたかももうわからない。
僕もすぐに連れられ車に乗せられる。
もう。どうでもいい。
そこで僕は思考をシャットダウンした。
車の前で誰かが話している。
そんなことも今はどうでもいい。
ただただ悲しかった。。
前回にも書きましたが、終わりです。ここまでありがとうございました。
2600文字くらいです。よく書きました。
話では一番多いです。
随分と続いたかもです。6話かぁー。
最後。離れてしまいましたね。胸が痛くなるよぉぉ
いいねとコメント気軽にください。
コメント
1件
どうしよ泣いちゃった