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それは一つの賭けでしかなかった。

この世界において魔核のようなものをもつ魔物がいるという話は聞いたことが無い。しかし、俺の前世の記憶の中にあるゲームやラノベではよく聞く話だった。

数十メートルはある巨躯の背中に見える、不気味な光を放つ、拳大の魔石のようなもの。もしかすると、あれがヒュドラの驚異的な再生能力の源泉なのではないのか? だとすれば、それを破壊すれば……。


確かに、あの魔石のようなものがヒュドラの弱点だとすれば、これを破壊すれば勝てる可能性がある。しかし、本当にそんな簡単な話なのだろうか? この作戦には二つの問題点がある。一つは、本当にあの魔石がヒュドラの弱点なのかという点。あれが本当にヒュドラの弱点だとしたら、なぜあのように露出しているのだろうか?そしてもう一つは、たとえそれが弱点だとしても、おそらくは俺の力で破壊することは出来ないだろうという点。


それでも、今の俺にはそれに賭けるしか道は残されていなかった。

死ぬ覚悟は決めていた。しかし、ほんの僅かでも生き残る可能性が見えるのであれば、それを試さずに死ぬつもりはない。

俺はこれまでそうやって生きてきたのだから。


向きを変え、再び俺へと向けて突進してくるヒュドラ。

巨大な胴体が砂煙を巻き上げながら迫ってくる。地面を擦る音は雷鳴のような轟音を響かせ、牙を剝き出しにした三つの首が俺を狙っていた。


呼吸を整える。

チャンスは一度。

狙いがヒュドラにバレれば詰みだ。

作戦を悟られず、そして確実に仕留める。

ギリギリまで引きつけろ。そしてギリギリで躱せ。

確実に俺を捉えたと思わせろ。その隙を突け。

集中しろ。集中しろ。集中しろ――


突進してきていたヒュドラが急停止し、三つの首が大きく持ち上げられる。

獰猛な大蛇の目には、獲物を狩るという強烈な意思が宿っているのを感じる。


地面を蹴り、後方へ跳び避けると、上空から降りかかってきていたヒュドラの頭部が目の前をかすめて通り過ぎる。激突の衝撃で地面が砕け、土煙が爆発的に吹き上がる。その中から、巨大な口が牙をむき出しにして飛び出してきたが、空中で牙を刃で払い、その反動を利用して右後方へと跳躍すると、ヒュドラの首がそのまま目の前を通り抜けていった。


着地と同時にヒュドラの胴体目掛けて駆け出す。

土煙の向こうに見える巨大な影。

おそらく向こうはこちらの位置を把握出来ていないはずだ。


一気にヒュドラに飛び乗り、持ち上げた三本の首が枝分かれになっている付け根、その中央に見える赤く輝く箇所へと向かって走り出す。

大きく息を吸い込み、意識を自分の内へと深く沈みこませる。

周囲の音が消え、視界に映るものがスローモーションに見え始める。


剣を握る手の力を緩め、溜めていた息を吐きだす。


全ての力をつま先に集中し、爆発的な瞬発力をもって一気にヒュドラとの間合いを無くす。


背上にいる俺に気付いたらしいヒュドラの胎動が足下から伝わってくる。

だが――もう遅い。


剣を両手で振り上げ、踏み込みと同時に全ての力を剣に集中させる。


「ハアァァァァ!!」


そして一気に解放。


「剣技――紫電しでん三閃さんせん


スキルではなく剣技。

飽くなき鍛錬によって習得した技術。

一撃にして三閃。

雷光が如き迅さで渾身の斬り下ろしと両袈裟を一呼吸の内に放つ剣戟。

紫光を捉えることは叶わず、その太刀筋は視覚の領域を超える神速の剣。


三閃は一寸もたがうことなく核の中心を正確に捉えた。

斬ることは叶わなかったが、腕には会心の手ごたえが伝わってくる。


瞬間――核の中央から亀裂が生じたのが見えた。


そして――


全てを出し切ったかのように、俺の剣は粉々に砕け散った。



土煙の中でキラキラと舞い散る破片かけらの向こう。


ヒュドラの巨大な口が、俺に戦いの終焉を告げるかの様に姿を現した。




魔ギア・Code《Apocalypse》~欠陥品、英雄の座へと至る~

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