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オリキャラを作った人
54
#超需要ないと思うけどそれはごめん
ナナ
89
私とイチョウは小さい頃から一緒にいた。
毎年秋になると近所の木からイチョウを眺め、イチョウを拾って家に飾ったりなんかもしていた。
イチョウの花言葉は「長寿」
花言葉なんか気にしていなかったけど、初めて聞いたとき、確かに秋は健康に過ごしていた気がする。
12歳になった頃だ。最近風も涼しくなってきて、もうすぐイチョウが咲く。
学校帰り、ランドセルの蓋が空いていることに気が付かず、そのままパカパカと音を鳴らしながら家に向かった。途中転びそうにもなったが、足が進んでいたのでそのまま走ることができた。近所の木を確認してみると、まだイチョウは咲いていなかった。ただ、葉の緑の部分がだんだん橙色になっていくのを感じた。
ドアを開けると、母さんが驚いた目でこちらを見る。
「あんた、はしゃぎすぎじゃない?」
どうやらゼェゼェ吐息を切らし、大汗をかいていたらしい。全然そんなことは無いと思うけど、鏡を見たらまるで真夏に出かけたような顔をしていて不思議に思った。
そのまま宿題もせずに寝た。さすがに布団は暑かった。
翌朝、発熱して吐き気にも襲われた。昨日途中で休憩もせずに走り続けたから、ちょっと遅めの熱中症だと思う。
でも、それにしても苦しい。母さんにその旨を伝えると、病院に行くことになってしまった。
「…持って半年ですね」
目の前が真っ暗になった。
まさかそんなに重症だとは思わなかった。
治すことはとても難しいらしく、レアな難病らしい。急な余命宣告をされて目眩がした。入院して、一応点滴を打ってもらえるのこと。
幸運なことに、病院の窓から見える景色はイチョウの木に包まれていた。
…「長寿」
今だけは、その言葉を信じたい。
あれから、ほぼ毎日友達や親戚にお見舞いの品をくれる。果物、本、ぬいぐるみなど。
最初はどうせ死ぬのにって思ってたけど、今ではとても嬉しい。そろそろ入院してから3ヶ月が経過しようとしていた、窓に見えるのは真っ白な景色だった。次の秋が来たときには、もう私はいない。
私が本を読むときに使用していたイチョウのしおりを、母さんからくれた。何気にそのしおりが1番嬉しかった。もう捨てられてたかと思ったからね。今日も本を見ながらイチョウのしおりを使う、この毎日が楽しかった。
とうとう来てしまった、4月の春。
少し息苦しくなってきた。もう体も脆い。家族は、ずっと私のそばに居てくれた。そして母さんから「最後のお見舞い品」を貰った。辺り1面のイチョウに、小さい頃の私の写真。思わず泣き崩れてしまった。もう見れないと思っていたイチョウ達。とても華やかで、とても美しかった。窓を見ると、とても晴天日和だった。物語の終わりを感じられた。
半年が過ぎ、秋に移り変わった。
空を飛べられるようになった私は、真っ先に近所のイチョウの木を見た。綺麗だった。夕陽の光に照らされる、イチョウの木は。
コメント
1件
うわ……これは心にくるなあ。 「持って半年」って余命宣告から始まる話だと思ってたら、イチョウのしおりやお見舞い品のエピソードがぎゅっと温かくて。最後、空を飛べるようになった“私”が見たイチョウの描写が透明で美しくて、涙が出そうになったよ。“透明な私”ってタイトルと、現実と非現実の間を揺れる視点がすごく合ってるね。