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「月の君?何をされているのですか?」
「少し散歩に行っていただけですよ。どうされたのです?」
現帝の妃の1人、中級妃が頬染めながら近ずいてきた。従者であり護衛でもある馬閃は今厠に行っていた頃だった。その頃合を見たのだろう。従者はさっきから我慢の限界を迎えそうな顔をしていたので気を配ってしょうがなく行かせてやった。自分の事など気にするなと、漸く行けたと歓喜の顔をした護衛は不安ながらも厠へ向かった。優しすぎるのも良くないと先日麻美に言われた。少しは引き締めようと気をつけた。
「いえ、少し見て欲しいものがあって….」
こちらですと中級妃は案内する。はて、見て欲しいものとは何なのだろう。きょろきょろと探すが特に目に入る違和感はない。
「一体何を_____」
ドンッ
いきなりの刹那に押された感覚を捉えられたのはもう遅い時だった。中級妃は自分の大きな体躯を押し倒し跨ってきた。これまでに武官や妃たちなどに厭らしいことをされて躱して来たのだがこれは油断した。
「…..一体何の戯れだと言うのです?ご冗談はよして下さい。こちらは妻がいる身分ですよ。行き過ぎ次第で主上に報告致しますからね。」
「戯れ?ご冗談だと思いますか?こっちは本気ですよ」
そう言い終わると顔を近ずけ唇を自分のそれと重ねられた。舌が侵入させられようとするが何とか阻止する。唇閉め攻防する。自分の妻もこんな感情で受け入れているのだろうか。
苦い
苦い
とても苦くて耐えられない。堪えきれず興奮していた中級妃を押し返した。
ドサッ
中級妃が倒れた隙を狙いただひたすらになって逃げた。自分の住まう宮に戻ると侍女である水蓮の声さえ無視してただ只管に妻の私室に向かった