テラーノベル
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「世界都市さんは忙しい」
※世界都市擬人化創作
“深夜の葛藤”
ご無沙汰ですみなさん
開始早々すみません。誰か助けてください
目の前にはパソコン、横には山積みの仕事
現在の時刻、午後9時半ー…
そしてお隣の山積みの仕事の期限は明日
もう状況はわかったはずです助けてください
仕事が終わりません
仕事場からさほど遠くないここの宿泊所で現在絶望の真っ最中
視線の先の画面にはビッシリとプレゼンの文字が並べられている
昨日寝てしまった自分を殴りに行きたい。それか、蹴りでも入れたい
なんでもいいから今はこの…仕事という怪物と戦わなきゃいけない
だいたい無茶ですよ…
休みは1週間なのに、1ヶ月かかるような課題を出すなんて、
社畜の成れの果て…。
他のみんなは終わってるのかな
仕事の山に埋もれたスマホを取り出して、アプリを開く
同じ宿泊所に泊まってるんだから別に直接行けばいいのだけれど、それだとどうも時間の無駄になりそう
いや、スマホいじってる時点で時間は十分無駄にしてるんだけど
安否確認でもあるし…
自分の中で適当な理由をつけながら宛先を決め、メッセージを入力した
“起きてますか?”
一応ミュート機能で送る
音ならないし、既読つくまでは仕事に戻ろう
スマホからパソコンに視界を移動させる
“ピコン”
まじですか。返信は思ったより早くきた
起きてる
終わってない?…そんなことないよね。
だって宛先相手はニューヨーク
凄く仕事早いし効率いいし…僕とは大違い。
“仕事終わんねぇの?”
う”っ…
ロック画面に表示された文字が心にささる
さすが…というかまぁ、このタイミングならそう考えるのが普通
……なんか、ここで”はい”って返したくない。
せめて3分の2は終わらせた状態で”はい”って言いたい。
なぜかそう思い、キーボードから指を離さないでいると
“ピコン”
2件目のメッセージ
あはは。冷やかしかなにかかな…とはいえさすがに2通も無視はまずい。こっちから会話始めたし
スマホを手に取って確認する
“手伝ってやろうか?”
え
い、いいの?え?ごめんなさい。疑ってすみません
心強すぎる
手伝ってもらえるなら是非ともお願いします
“ありがとうございます”
そう打つとすぐ既読がついた
一人ならきっと朝までかかってたはずだけど
二人ならもしかしたら日付変わる前に終わるかも…しれない
きっと終わる!
“コンコン”
部屋のノックオンがした
扉にかけよって押す。ぎぎ…っと音を立てながら開いた
「よっ東京」
自分より数十センチ高い顔を見上げる
半袖の暗めのTシャツといつも付けてるネックレス…サングラスはつけてなかった
いつもよりラフな私服。
顔がいいからなんでも似合うんだけど
サングラスどうしたんだろ
「…サングラスどうしたんですか」
思わず口に出してしまった
ニューヨークはサングラスをかけてる位置の髪をかき分けてから
「無くした」
とだけ一言。
え?無くした?
探さなくていいのかな…
「探さなくて…」
「んなことより仕事だろー
さっさと終わらせんぞ。あとどのくらいあんだよ」
部屋に向かって背中を押された
そうだ仕事やらなきゃ…あと…どのくらいだったっけ…
「多分…半分…くらい」
「半分なぁー…」
椅子に座ってから資料をどのくらい分けるか考える
この時間から残りの半分っていうのも申し訳なさすぎるし
ニューヨークが座した椅子の背に肘をかけて前のめりにのぞいてくる
「あとちょっとじゃねーか」
これが?あとちょっと?えぇ…
本人は全く真面目な顔で言ってる
「ヨークさんと僕じゃ容量が違うんです」
口を尖らせてると横から重みが加わった
「はいはい。んな怒んなよなー」
含み笑いをしながら言ってくる
プライベートだと表情を緩めることが多いヨークさん
仕事場だと変わらずだけど
“コンコン”
…あれ。また誰か来た
ニューヨークに視線を投げかけても、彼からも不思議そうな目で返された
呼んだわけじゃなさそう
“コンコン…コンコンッ…コンコンコン”
「太鼓の達人?」
「ふっ…」
笑われた
これだけノックするのは…
パリさんor上海さん…プラスワンで寝不足ソウルさんの誰か
“ガチャ”
あ、パリさんか上海さんだ
勝手に開けるのパリさんか上海さんだ
「やっほ〜来ちゃった」
予想的中。
「どうも」
「何しに来たんだよ」
「えー…水買いに行ったらニューヨークが廊下歩いてるの見てー…もしかしらって」
「え怖お前」
「え酷」
パリさんも明日仕事なのにいいのかな
ていうかちょっと嫌な予感がする
「何してんの〜こんな夜中に…」
「仕事終わらなくて、ニューヨークさんが手伝ってくれてたんです」
「あー……」
しばらくパソコンを見つめたパリはニコッと笑顔に戻った
「そっか!じゃ!ファイト!」
「おい待て」
手を振って帰ろうとするパリをニューヨークが呼び止めた
「せっかくお越しくださったのに、なんのおもてなしもなしとは申し訳ねーしなー?」
ヨークさん、この前教えた日本語の丁寧な言葉使い、もうマスターしてる
やっぱり覚えがいいんだ
「えー…お兄さんはー…明日も早いし〜……」
パリはもう逃げ腰だった
「手伝うよな?」
珍しくニューヨークは笑顔だった
なんていうんだろ…あの、ロンドンさんに似てる
こういうところは。
でも怒られるから言わないでおこ
「えーっと…」
「手伝うよな?」
「………はい。」
渋々パリは承知した
なんか…巻き込んじゃった
「ごめんなさいパリさん」
「いいのよ…別に……断ったらそっちのほうが色々めんどそうだし…」
今度お礼に美味しいお店でも紹介しよ
「お、おわっ…た……」
パリが机に突っ伏した
時間は11時59分
多分作業し始めてから2時間弱
「ほんと、ありがとうございました」
お礼をして背もたれに寄りかかった瞬間、
急に体が重くなった
大丈夫。長時間同じ姿勢をとると良くあること、
「そこで寝んなよトーキョー。必要なら手ぇ貸してやるから」
ニューヨークは全然余裕そうだった
この人の体力どうなってるんだろ…
「大丈夫です、よくあるので」
「よくあったら困るだろ」
「え!?ちょっとお兄さんは!?」
「は?知らねぇよ。とっとと帰れ」
「ひっっど」
「あ、何か飲み物入れます」
何かひとつでもお礼をと立ち上がる
小さい冷蔵庫を開けると中は空っぽだった
あー…無かった
今日の昼にスピード名古屋さんとたこ焼きさんが来たんだった
どうしよう
あ、そうだ
冷蔵庫の扉を閉めてから鞄を漁る
ニューヨークとパリは不思議そうにこっちを見ていた
鞄の中で手の甲が探してた物に当たる
取り出してからはっとする
何やってるんだろ僕。
寝不足だからか上手く頭が回ってないんだろうな…
一旦取り出したものをまた戻そうとした、が腕を掴まれた
「あ」
パリは興味津々だった
しまった…。
「なぁにそれ」
「えっと…ロンドンさんから結構昔もらったもので」
「あ”?」
いつの間にか後ろに立っていたニューヨークから声が上がる
やばい。ヨークさんの前でロンドンさんの話はNGだった
「まぁまぁ…」
仲裁してくれたパリに感謝した
「あ、ジェンガ
懐かし〜子供の頃よくやったんだよねー」
そういえばなんでこれ持ってきてたんだっけ
「なんでこれ持ってきてたんだろ」
「呪われてんじゃね?」
「はっ…だから最近仕事が多い…の、?」
「こら!」
パリからおでこをつつかれた
「で、やる?」
「……」
「夜11時にジェンガするガキがどこにいんだよ」
「ここー」
別にどっちでもいいんだけど……
頭がフワフワしてる。昨日ヤニ吸いすぎた
なんで今くるの…
「よし!やろ〜
せっかく集まってるんだしー」
ニューヨークは嫌そうだったけどパリが半ば強引に誘ったことで謎のジェンガ大会が始まった
なんでこうなったんだろ…
“ガシャンッ”
「あ」
「はい!東京ちゃんアウトー」
気づいたらそこそこ熱中してしまっていた
「案外難しいです…」
「もうひと勝負ー?」
「します」
「寝なくて平気なのかよ」
ニューヨークが呆れたように言った
「5時間で足ります」
「お前の体力どうなってんだよ」
それは人のこと言えない気がする
「じゃ、もうひと勝負ー」
一方扉の前では上海が葛藤していた
「はぁ…東京に借りてた電子辞書返さないとあるな…でも…こんな時間…いや、うーん…返さないと明日困る…よなぁ、、」
今は午前12時過ぎだし
変えそうにもめんど……んん”
迷惑かなーと…
もしかしたらもう…寝てたり…?
扉に耳をつけて中の様子を探る
なんか…聞こえる?
“まっ…そこ…”
なんある?東京、?
“えー…こことかは?”
…パリ?一緒にいる?こんな深夜に?
なんで…
“なら…ここが…”
ニューヨークも…いるあるな
何やってるあるかあいつら。こんな時間…密室で………
待った。密室で深夜。部屋からのこの声…
い、いやいやまさかそんな…わけ………
もう一度耳をつけてよく聞き取ろうとする
“こことか?”
“あ…そこ…ずるいですよ、”
……はぁ…
よし。部屋戻るか。
オマケ
午前1時
東京「ま、また負けました」
パリ「弱いなぁ東京ちゃん〜」
東京「…あとひと勝負だけ」
NY「……俺何のためにきたんだか。あ、サングラス探さねぇと…」
コメント
2件
仲良いな!ヤニ吸った反動ですかwwwジェンガ弱いの可愛いな!上海さん珍しく空気読んで?ますね!