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#極道
鷹槻れん

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鷹槻れん

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月詠 涼
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「ありがとな、小笹」
「ありがとう、瑠璃香」
瑠璃香がそんな二人に「うん、うん」と笑顔で返していたら、
「じゃあ」
悦子の口元が、にやりと上がった。
「私たちの話は済んだから――」
「……あ、うん。そうだ、ね……?」
「何、とぼけようとしてるの? 今度は瑠璃香の番なんだからね!」
「えっ」
てっきりこれで終わり……なつもりでいた。
なのに、悦子はしっかり覚えていたらしい。
「約束したでしょ?」
「……」
(覚えてる。覚えてるけどぉぉぉ)
「な、何の話かなぁ~?」
仁人だけが分からないらしく、瑠璃香と悦子を交互に見やっている。
「前に瑠璃香と電話した時にね」
「悦子っ」
「瑠璃香にも何かあるみたいで!」
「悦子!」
「お互いにちゃんと話そうね? って約束したの」
確かにした。
〝でも……そう言うってことは……瑠璃香も恋愛絡みだったりして?〟
〝約束ね?〟
「うー……」
あの時は、一応覚悟したつもりで……。だからこそ晴永にも同期二人に話す許可を取ったのだ。取ったのだけれど……。
「なになに? 小笹にもいい相手がいるって話?」
仁人まで身を乗り出してくる。
「えーと……」
「誰?」
「何でそんな、日下まで前のめりなの!」
「だって俺たちだけ幸せってなんか悪じゃん」
「そんな気遣いは無用だってばっ」
「瑠璃香、往生際が悪いぞ?」
悦子が楽しそうに笑う。
逃げ道がない。
瑠璃香がもじもじしているのを見ていた仁人が、ふと何でもないみたいに「……ひょっとしてなんだけど」とつぶやいて目を細めた。
「新沼社長補佐絡みだったりする?」
「……っ!」
ぎくりと肩が揺れる。
「え?」
悦子が驚いた顔をして瑠璃香を見る。
「ちょっと待って、瑠璃香。何、その反応! もしかして……図星!?」
「いや、その……」
瑠璃香がもごもごと口籠るのを見て、悦子が「だからかぁ~」と手を打った。
「ほら、仁人に告白したって私が話した日。新沼さんが藤井田の御令嬢と一緒にいるのを見て、瑠璃香、明らかに様子がおかしくなったじゃん! あれって……つまりはそういう」
「あ、あれは晴永さんじゃなくて、そっくりな弟さんだったの!」
晴永の不義理疑惑を晴らしたい一心。思わずそう言ってしまった瑠璃香に、悦子が一瞬キョトンとしてからすぐさま〝にんまり〟笑った。
「ふふふ。〝晴永さん〟だって? とうとう白状したな? 瑠璃香ぁ!」
仁人も、悦子の言葉を受けて「マジかぁ~」とつぶやいた。
「……」
これまでだったらきっと、瑠璃香は必死で否定していただろう。
晴永とのことは、誰にも話せない秘密だったから。
でも今は違う。
――二人になら話していい。
晴永が、そう言ってくれた。
瑠璃香は一度息を吸い、改めて二人を見る。
「……うん。……実は、そうなの」
二人がきらきらとした瞳で瑠璃香を見つめている。
「私、新沼晴永さんと……」
一度、言葉を切った。
口にするだけなのに、妙に緊張する。
「その、……結婚を前提にお付き合いしてるの」
数秒。
本当に数秒、完全な沈黙があって。
「キャァァァァ!」
「すげぇな、小笹ぁぁぁ!」
二人の声が見事に店内へ響き渡る。
「ちょっ、二人とも声っ!」
瑠璃香は慌てて二人の前へ両手をかざし、声を落とすよう促した。
個室だから見えないけれど、きっと壁の向こうでこの部屋に視線が集中していそうな気がした。
「だって! ねぇ、仁人」
「そうそう! この前の会見って……つまりは……小笹のためでもあったってことだろ?」
「そう考えたらなんかすごいじゃん!」
「なぁ!?」
「だから、ふたりとも声っ!」
「なぁ、小笹、いつからなんだよ!?」
「そうそう、それ気になるぅー!」
「だから声大きいってば!」
瑠璃香は顔が熱くなるのを感じながら、二人を睨んだ。
でも効果はない。
「あ、待てよ!?」
仁人が何かを思い出したように指を立てる。
「だからか!」
「何が?」
「課長の時から、新沼さん、お前のこと妙に気に掛けてたじゃん!」
「そうそう!」
今度は悦子まで声を上げた。
「ほら、卵焼き事件のときだって仁人、めっちゃ新沼さんにやりこめられてたもんね!?」
「それ。あれ、マジ怖かったけど……反省したんだよなぁ。小笹のこと、考えられてなかったって」
「うー」
あの時は、本当に晴永には助けられた。
そして、瑠璃香のために渦中のもう一人だった晴永を呼んできてくれたのはほかでもない悦子だったのだ。
「けど……あの時にはやっぱりもう愛妻弁当作ってたってことだよな!?」
「言われてみれば」
「二人ともお願い……。もうやめてぇぇぇ」
瑠璃香の懇願むなしく、目の前で同期二人による〝答え合わせ〟が次々と繰り広げられていく。
今日だけで、いくつの〝そういうことだったんだ〟が出てきただろう。
コメント
2件
最高の同期!
よかったです……!悦子が約束を覚えててちゃんと切り出すところも、仁人がサラッと核心を突くところも、めっちゃ「同期の絆」って感じがにじみ出てました。瑠璃香、最後に「結婚を前提にお付き合いしてるの」って言ったときの緊張と、その後の二人のキャーッてなる流れ、すごく胸が熱くなりました。今までコツコツ積み重ねてきた答え合わせが、こんなに温かい空気で報われるの、読んでてこっちまで嬉しくなりました。晴永さんとの関係をちゃんと話していいって思えるようになった瑠璃香の成長も感じました。また次も楽しみにしてますね。