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遠くの喧騒がここまで聞こえる。ここからもビルの屋上からも大勢の人間が声を上げながらここに向かっているのが見えた。
あの輝いていた青緑色の瞳は色を無くしていたドズル社 メンバーの中でも、RTAが好きで努力家だったこの人がアンチコメントに悩み始めたのは本の数ヶ月前だった。
そんな話が出る更に数ヶ月前から、アンチコメントによる活動見合せは、相次いでいた。その頃だ、 、この人に対するアンチコメントが増え始めた のは
もちろんドズル社のみんなもおんりー本人も最初は相手にしてなかった。でも「アンチコメント」というものはとても強い。言葉だけで1人の人をこんなにも追い詰めてしまうのだから。言葉と言っても文章だ。それからの勢いは凄まじいものだった。
俺たちもドズル社メンバーも「おんりーならきっと大丈夫」と思っていた。 俺たちに相談する事も出来ずあっという間におんりーの居場所は無くなった。そしてある日君は姿を消した。みんなの楽しみだった配信もせずに。ドズル社のみんなもおんりーを必死に探した。
君は屋上にいた。僕が話しかけるとびっくりしたような顔をしていた。冷たい風が頬を撫でる。
君を見つけてからもう数時間がたっていた。
青緑色の瞳はなんだか眠たそうに見えた。
生まれ変わったら、なんて夢物語のような事を話す君は嬉しくも悲しくもないそんな顔をしていた。
ボロボロとポケの頬に涙が伝う。ひ、ひ、としゃくり上げる君の背中を撫でた。
青緑色の瞳が俺に訴えかけて来る。
俺はおんりーの首に手を置いた。
これがこの人の最後の願いなら喜んで受け入れよう。
ただ手を置いただけの俺は君をじっと見ていた。
皮膚の下で微かにトク、トク、と脈打つのを感じる
もう生きたくないと思う程のことを言われて来た世界でこのまま生きていたくないだろう。
生きてよ、なんてそんな酷いことを俺は君に言えない。
クッと指先に少しだけ力を込めた。
泣いてくれ、怖がってくれ、やめろと泣き叫んでくれ。そしたら俺は君の首から手を離す。お前が少しでも長く生きられるように最善を尽くす。
首を掴まれたおまえは、俺を見たままゆっくりと瞬きをしたそしてニコリと笑った。
なんて顔するんだ。
あぁお前は本当に最後まで面倒なやつだ。おまえの顔から色が抜けてく様子を、このアスファルトの冷たさを、指先に伝わるお前の脈が泊まる瞬間を、一生抱えていけっていうんだろ。
そんな、幸せそうな顔をしないでくれ。
ゆっくりとおまえの首にかけた手に力を込めていく。
おまえの首に俺の手が沈んでいく。呼吸は酷く乱れているというのに、それに対して腕の中のおまえは本当に穏やかな顔をしていた。
唇が白くなっていく。
またな、と小さく呟いた言葉は「もう生まれてきたくない」というおまえ、君にはにはあまりにも残酷で、どうか届いてないようにと思った。
腕の中で穏やかに眠る君は笑っていた。「もううまれてきたくない」この願いが聞き入れられるのかは分からない、でももしこの子が生まれ変わるとするのならどうか人間としてではありませんように。
MENの固い手が俺の首を包んでいた。
今からがMEN何をするかがすぐにわかった。
指先まで固いMENの手でこんなことさせて悪いなと思う。
でもこんなことを言ったら怒られるかもしれないけど、俺は嬉しかった。MENの指先に力が籠るのが伝わってくる。息がしずらかった。でもこれから先アンチコメントに悩まされてた頃の方がよっぽど
苦しかった。本当は1人で死ぬはずだった。それがどうだ暖かい、大好きなMENの腕の中。俺をずっと信じてくれたMENと。俺に期待しても無駄なのに。MENの後ろに見える青い空が最後の景色。
視界はとっくに真っ暗になっていた。感覚もない。最後まで微かに残っていた聴覚がMENの最後の言葉を拾う。
もしなにかのミスで、また生まれてきてしまったら、その時はまた君にまた会いたい。こんな面倒なやつにまた会って、呆れた顔のMENを笑ってやるんだ酷いことを言うからバチが当たったのだと。
そんな夢物語のような事を思いながらぬるま湯のような心地良さの中で俺の意識は溶けていった。