テラーノベル
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前回は7000文字でしたが、今回は3000文字です。その変わり、ペースをあげれたらなと思っています。
それでは、(*˙︶˙*)ノ゙いってらっしゃい♡
こつ、こつ、こつ。
足音が聞こえる。
「……やっぱり来るよねぇ……」
「ちっ、めんどくさいやつが来たな……」
神聖ローマは、ルチアーノの足の間で眠っている。
「やぁほぉ……久しぶり」
暗闇から出てきたのは、オリバーだった。
「なんでここがわかったのさ」
「勘? あっ、もしかしたらルチアーノ君と椿君と僕の“運命の力”かもよ🫶」
「気色悪いことを言うな、貴様。俺とお前には運命などない。」
「ひっどいなぁ、もう! ツンデレめ〜❤」
「それで、どうしてここに来たんだ」
「その子、返してもらいたくてね」
「は?」
「“は?”って……なによ、おかしいこと言ってないでしょ?」
「神聖ローマは俺のだから、だめ……!」
「えっ?! 横取りはダメだよ、ルチアーノ!」
「横取りなんかじゃない! この子がそう望んでたの!!」
「ほんと……???」
「おい、何を勝手に“誰のもの”だと決めているんだ。」
「えっ、あぁ……」
「私のに決まっているだろう」
オリバーとルチアーノは、
「はぁ? 違うが」
と、息をそろえて言った。
「冗談も通じぬのか、この餓鬼共が」
そうやって揉めている時に、俺は目を覚ました。
オリバーは俺を見て、こう言った。
「君はどうなのさ!」
「えっ……お、俺は……」
ルチアーノが俺を睨みつけながら言う。
「俺だよね!」
オリバーは不機嫌そうに言い返した。
「ちょっとルチアーノ?!
そうやって圧かけるの、良くないと思うんだけど!」
その時、奥から足音が聞こえた。
足音の正体は、リルベルトだった。
俺は咄嗟に、リルベルトのもとへ駆け寄る。
リルベルトは最初こそ驚いた表情を見せたが、
椿、オリバー、ルチアーノの様子を見て、何となく察したようだった。
そして俺をマントの中へ引き寄せる。
「これは俺のだな。今、食っちまった。」
オリバーは、
「はぁ?!」
と、明らかに怒った声を上げる。
ルチアーノは不服そうに抗議した。
「おかしくない?! 神聖ローマ! その人、初対面だよね?!」
オリバーもそれに便乗する。
「そうだそうだ! 初対面なのに、それはどうかと思う!」
リルベルトは静かに言った。
「初対面の人に頼るしかない状況を作ったやつらが、何か言ってるぜ……」
黙り込んだ二人を見て、椿はくすくすと笑っていた。
ルチアーノは機嫌悪そうに言った。
「ちょっと椿、笑わないでよ!」
「ふふっ……ついな」
リルベルトはマントをめくって覗き込み、俺を見る。
「なぁ、なんで取り合いなんて始まったんだ?
お前、モテるオーラでも出してるのか? こんなチビに???」
俺はムスッとした顔で言い返した。
「チビとはなんだ!! チビとは……!」
少しそうして会話を続けていると、オリバーの様子がおかしくなり始めた。
ブツブツと何かを呟き始めたかと思うと、
今度は自分の髪の毛を抜き、それを口に入れ始めたのだ。
俺は少し戸惑い、声をかけようとした。
しかし、リルベルトに腕をつかまれて止められる。
「今のあいつに話しかけたら、ろくなことにならねぇぞ。」
ルチアーノも椿も、まるでいつものことのように、
オリバーの異変を無視していた。
しばらくすると、ぶつぶつと呟いていたオリバーは、
力が抜けたようにその場に崩れ落ちた。
次の瞬間、どこからか包丁を取り出し、
地面に向かって――カツ、カツ、と乾いた音を立てながら突き立て始める。
すると、オリバーはふらりと立ち上がり、俺の方を見た。
その目は、まるでこの世のすべてに絶望したかのような――
濁った水色の瞳だった。
リルベルトは少し焦った様子で、俺を再びマントの中に隠した。
「ここには、お前の求めるものはもういないぞ。だから……
また包丁でも地面に刺して、落ち着いてろ」
オリバーは、か細く乾いた声で言った。
「今、今、今今今今今今……隠した!
隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した隠した!!」
ルチアーノも椿も、
さすがに“いつも通り”ではいられなかったのか、
表情が引きつり、場に張りつめた緊迫した空気が流れた。
オリバーは震えながら、今にも泣き出しそうな掠れ声で叫んだ。
「ねぇ、出てきてよ……!
俺のものになって! お人形さん!!
やだ、やだ……!
俺のものになってくれなきゃ、いやぁ!!」
俺は困惑した。
急に人が変わったかのように――
狂ったように泣く彼を、
俺はどうしたら泣き止ませることができるのだろう?
今の彼に近寄る危険性は、
火を見るよりも明らかだった……。
リルベルトは静かに、
ただ宥めるのではなく、冷たく言い放った。
「いい歳した大人が、子供相手に駄々こねんなって……」
その言葉に、
オリバーの動きが――ピタリと止まった。
「は? は? は?」
オリバーは、明らかに怒っていた。
さっきよりも瞳は細くなり、目は充血している。
「お、おいリルベルト……なんで挑発するんだ……」
俺はマントの中から、そう問いかけた。
「腹が立ったからだ。」
「無計画で煽ったのか?!」
オリバーは大声で怒鳴った。
「おめぇが隠すからだろ! 厨二病野郎がぁぁぁぁ!!」
リルベルトは、それを見て楽しそうに笑う。
「おぉ、怒ってる怒ってる」
煽りと怒号が飛び交う会話を遮るように、わざとらしく椿が咳払いをした。
「もういいか。見ていられないぞ……こんな幼稚な餓鬼共の会話なんて。」
「まるで、おもちゃを取り合う幼稚園じゃないか。」
椿は続けてこう言った。
「そんなにお互いが欲しいなら、半分にでも切ってしまおう。」
椿はニヤリと、鋭い牙を見せるように笑い、こちらを見た。
俺はゾッとして、声が出なかった。
このままでは切られる……!
逃げようとしたが、リルベルトに強く腕を握られていて、振りほどけない……!
その時、ルチアーノが苛立った様子で椿を突き飛ばした。
「ふざけないで! わかって言ってるでしょ!」
椿はケラケラと笑いながら答える。
「あぁ、分かってる。からかっただけだ。」
すると、それまで黙って会話を聞いていたオリバーが口を開いた。
「俺は本気だけど……」
その一言で、空気が一瞬にして凍りつく。
ルチアーノがオリバーを睨みつけた。
そんなことなど気にも留めず、オリバーは続けた。
「たしかに、全身もらえないのは悲しいけど……まぁ、材料だし、生死は関係ないからね。」
――そうか。
彼は……
俺を、食材として見ていたんだ。
オリバーは笑いながら言った。
「俺はさ、この世のすべてのニンゲンを愛してるの!
もちろん、ニンゲン以外の動物もね?」
「表世界の俺たちも〜大好きだし〜、みーんな!大好き!」
「だから、みんなみーんな俺が近くで愛せるように!
一部にするの!」
「そうすればぁ〜一生愛せるの!」
……言っている意味が分からない。
食ってしまえば、それはもう何物でもないはずなのに。
それなのに彼は、「一部にする」と言った。
その人を食べることを、
愛することだと思っているのか?
リルベルトは大きく溜め息をつき、こう言った。
「俺は別に、こいつに興味はねぇし、欲しくもねぇ。だから勝手にしろ。」
そう言うと、リルベルトは俺をマントの中から外へ出した。
「へっ……?」
思わず声が漏れる。
オリバーは嬉しそうにリルベルトを見た。
「ほんと? この子、好きにしていいの?」
「ああ。俺は構わない」
「わーい!」
ルチアーノが焦った様子でオリバーを止める。
「待って! やめて!」
椿は――止める様子はなかった。
リルベルトは鼻で笑うと、そのままどこかへ行ってしまった。
――嘘だ……そんな。
さっきまで、あの人は俺の腕を強く握っていたのに……?
自分の腕を見ると、くっきりと手形が残っていた。
興味がないなら、
どうしてこんなになるまで掴んでいたんだ……?
ルチアーノは必死にオリバーを止めようとしていたが、止めきれない。
気がつけば――
オリバーは、俺の目の前に立っていた。
彼は、にんまりと笑いながら俺を見下ろした。
そして、俺の頭を愛おしそうに撫でた。
「あ……あぁ……」
怖くて、うまく声が出ない。
――初めて思ったんだ。
もしかしたら、
死ぬんじゃないかって。、
コメント
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ドーヴァー好きるなだよ新しい垢