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    今日も張り切って参ろうと神殿内部の…いわゆるパルテナさまのお部屋にボク、ピットは行こうとした。

    が……。


「おはようございます!パルテナさ……ま?あれ?」


    ノックはした。音を立てず静かに入りもした……のに、中には誰もいない、静寂だけが断ち切っていた。


「朝から留守、なのかな。」

「それにしては珍しいようなそうでも無いような…」

「どちらにしろ、なにか重要なことがあって出かけたに違いない。…って思ってはいるけど、」

「心配だな……」

「おっと、いけない!朝ご飯の支度をしないと!」

「(パルテナさまの分…一応作っておこうかな。もし帰ってきたとなれば、迷惑かけられないし。)」


    そして、朝食を自分で作り終えたピットは椅子に座って「いただきます!」と言う直前にドアが開く音がしてそちらを見てみると、見覚えのある姿が__。


「あ、パルテナさま…!」

「…………」

「……? 」

「お料理、できてるんで冷めないうちに早く食べま…」

「__ぼう。」

「ハイ……?」

    パルテナがさぞかし、なにか発言したかのように思い、ピットがふと顔を上げ、キョトンとした表情で見つめる。

「…嫌いです。」

「嫌い?嫌いって……何が。」

「あなた…ピット…あなたのことです。」

    その予想外の言葉を受けたピットは信用しきれまいと驚愕した表情で全力で彼女の言ってることを拒む。なぜいきなりそんなことを……。

「いつもいつもブラピの事ばかり話しかけて……ッ」

「私のことは後回しですか。それもいいことでしょう。ですが…」

「ま、待ってくださいよ!!」

「なにかの勘違いしてませんか!?

たしかにボクは最近、ブラピのことで脳内再生してますけど、」

「ちゃんとパルテナさまのことも思って───」

「………………」

「…………。」

    もういいです、とパルテナのその一言で終わらせるかのようにその場で立ち、ピットの前から立ち去っていく。その光景を見過ごせないピットは彼女を引き止めようと手を伸ばすが、その手は届かず__。

    パルテナさま……。

    食卓にはせっかく、ピットの手作りである朝食が置かれていた。

    これはいわゆる、嫉妬案件だということを。

    以降、ピットは何度もパルテナの捜索を心がけ、心当たりのある場所を探し尽くした…が、既にお手上げだった。

    これでは、パルテナ軍が崩壊していく。女神一人、存在してくれないと成り立てない。それを一番よくわかっているのはピット…彼のみ。

    その後、イカロスにもパルテナの行方を尋ねてみたが、ここには来てないと首を振られ。


「ッ、はぁ…はぁ…」

「ッ……一体どこまで行ってしまったんだ。パルテナさま…」

「ボクが……ボクがもっとしっかりパルテナさまのこと…」


    本当は…“本当はこんなにも愛している”


    のに。


「…………!」


    気づけばもうすぐ、夜が来る頃。

    けれど、パルテナさまが見つかるまでボクは諦めない、一つの希望を抱いてもう一度突っ走る。走って、走って、走りかけて。

    いつだって家族みたいな存在だった…ボクにとってパルテナさまは…!


    と、思っていた。

    ようやく、発見された。

    その後ろ姿…大人気の。

    あぁ…間違いない…あの方だ…。


「パルテナさまぁあああああああ…!!!! 」

「…!ピッ……と?」

    息を切らしながら私の方に駆け寄ってくる一人の天使。

    ピット。なぜあなたが……。

    私は……私はこんなにもあなたのこと…

    嫉妬以上……なのに。

「…………今更、なんの用です。」

「……め、ゴメンナサイ!!」

「…!?」

    パルテナが驚いた顔でボクを見た。

「ブラピとは…これから話さないようにします。」

    ちが……

「あんなことやこんなこと…」

「これからは、パルテナさまだけを見ます。それで…言い難いことではありますが、嫉妬……してたのですか?」

「……!」

「あの言葉を聞いて感じました。

女神であろうお方が…ボクに“嫉妬”をしていた、と。」

「ッ……それは。」

「それは──ピット、あなたが!!」

    あなたが――その直前に抱きしめられた。

    天使であるピットに。頭をさすられ、「大丈夫ですよ」と穏やかな声で。しかも私の耳元で囁かれた。気づけば、ピットに対し赤面状態に。

「ピ、、っと。」

「ちが……違いますッ!!」

「私……私は……ッ」

「わかってますよ……だから今は……」

    涙が止まらない、いや、止まって欲しくない。このまま、大人しくピットに抱かれたいという気持ちが私の心にあった。

    目を閉じながら優しく背中を撫でられるこの感覚、なんだか久しぶり。

    自身の体をピットに預け、落ち着くまでこうしていようと嫉妬という形から解放される感覚を私は味わう。

    やはり、私のかわいい天使は

    あなたしかいない。

    ピット__。

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