「〜〜で、あるからして〜〜〜」
先生の話は基本聞き逃し。そんな私だが、……まぁ、勉強は平均より上だ。本当に謎なのだが、それはさておき、今日も今日とて窓から見えるグラウンドを眺めていた。私はありがたい事に窓際の席だ。
グラウンドでは、何も授業がされて居なかった。つまんないの、と、私は思いつつ、先生が重要だと何度も何度も指摘した部分をノートへ写す。
グラウンドに、先生が1人出て来た。授業の準備だろう。もうそんな時間なのかと、私は教室内の時計を見る。あと十分ほどで授業が終わる。
…と、私がただひたすらぼーっとしていると、隣から心地よさそうな寝息が聞こえた。
「……ん…」
雲に隠れていた太陽が顔を覗かせ、隣の人の顔に当たり、それが目覚まし代わりとなっている。
この人は、神崎 縁(かんざき えん)。
「〜〜であるので……神崎!」
「ふぇ!?!?!?」
居眠りしていたから、答えは分からないはずだ。…いつもなら、他の人から答えが聞こえるが、今日は聞こえない。
私は、脳内がはてなに染まりつつ、辺りを見渡した。
周りは、くすくすと笑っている。これは「だからそうなるんだぞ」の笑いか、「当てられてやーんの」の笑いか、それとも普通にいじめか……。
よく分からないが、私は彼に答えを教える事にした。
「…√3」
「え?あ、えー…√3です!」
「…正解だ、座りなさい」
彼が答えた所で、私は再び窓を見る。すると、私の肩はちょんちょん、と、突かれてしまった。
「答え、教えてくれてありがとっ!」
「……どういたしまして」
人と関わるのは苦手なのに、褒めてもらえると満更でも無い…。私って一体何なんだ…。
横目でもう一度クラス内を見る。皆は驚いた顔や、不服そうな顔をしていた。
…あ、いじめだな、これ。
つい1ヶ月前までは人気者だった彼は、何らかの失敗か何かでいじめの標的にされてしまったのかもしれない。人気者だったという事もあり、先生が決して疑う事は無かった。
モブキャラの私でさえいじめられていないのに。少し前までは、モブキャラの私をいじめないという事に対して、ありがたく思っていたが……。
このクラスのいじめが、裏切りタイプだったとは………(?)。
…私は、陰キャの癖してこう思った。
絶対いじめ、止めてやる!