テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
どんべぇ
#ちょんまげ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この話は二次創作です。腐向け、nmmn、hnnm等、苦手な方は閲覧しないようお願いします。何かありましたら非公開とさせていただきますので、ご了承下さい。
ぴょこぴょこストーカー
くだらないことでケンカした。
くだらないことだとは分かっている。しかし、ちょんまげも謝ることはなく、ターボーも同じだった。
一日目は、会社でもお互いにそっけない態度を取った。
二日目は、ほとんど目も合わさなかった。
三日目になると、明らかにターボーの機嫌が悪くなってきた。辺りに怒鳴り散らすような真似はしないが、言葉に棘が混ざり始め、作り笑いをしても目が笑っていないのがよく分かる。
ちょんまげはというと、奇妙な行動を始めた。ターボーを見かけると、ちょこちょこと後ろをついて歩く。一定距離は保ったまま、何も言わずに。そして、ふいに自分のスペースに戻っていく。
秘書は笑いを噛み殺したままターボーに付き添い、見かけた社員達は黙って肩をすくめる。
──さっさと仲直りすればいいのに。
社員一同の心の叫びは、なかなか二人には届かない。
四日目、少しずつちょんまげのストーカーのような行動が長くなってきた。おそらく、ターボーも気付いているはずだ。
五日目、ターボーの後ろをちょんまげは歩く。ぴょこぴょこと結んだ前髪を揺らしながら。ターボーは素知らぬ顔をして秘書に指示を出す。秘書は一礼し、ちょんまげの方に歩いてくる。
すれ違いざまに、笑われた気がした。
ターボーはそのまま歩いていく。ちょんまげはその後をついていく。
角を曲がった時、手を引かれた。
「わっ」
そのまま、広い胸に収まる。
「釣れた釣れた」
ターボーはそう言って、ちょんまげの顎を上げた。強制的にターボーを見ることになり、ちょんまげはせめてもと視線をずらす。
「……羽立、こっち見ろ」
「それ、社長命令?」
「ああ」
仕方なく、ちょんまげはターボーと視線を合わせた。どちらもまだ謝らないという意志を感じる、強い視線。
「何か言いたいことが、あるんじゃねえの?」
ターボーの質問に、ちょんまげはグッと唇を噛み締める。しかし、ターボーは視線を緩めない。社長として、会社で立場が上なのはターボーだ。
「……言いたいことが、あるわけじゃない、です」
ちょんまげの返答に、ターボーは首を傾げる。じっと見上げるちょんまげの視線は、同じく強いままで。
「ただ、社長に会いたかっただけ、で」
謝りたくない。でも、寂しい。
「でも、社長の迷惑だった、から、もうしません。すみませんでした」
つっかえつっかえそう言ったちょんまげは、そのままスペースに戻ろうと身を捩る。しかし、ターボーの手はちょんまげを捕まえたまま。
「社長、」
「もう社長命令終わり。ちゃんと呼んで」
ターボーの白旗宣言に、ちょんまげはようやく力を抜いた。
「ターボー……僕」
「悪かった」
「僕も、ごめんなさい」
誰もいない廊下の片隅で、ようやく社長と社員から恋人に戻る。
「キス、していいか?」
「僕も、したい」
誰に見られるか分からないのに。そう思いながらも合わさった唇は徐々に深くなり、ちょんまげの手はターボーにしがみつく。
時間にして数分、体感は何十分。ようやく唇が離れた時には、瞳にはお互いしか映っていない。
「今夜、うちに来てくれるか?」
ターボーの誘いに、ちょんまげは頷く。
「ストーカー、面白かったか?」
「う……ストーカーのつもり、なかったんだけど」
ここ三日、ちょこちょこと自分の後ろをついてきていた姿を思い出してターボーは笑う。
「雛鳥みたいで可愛かった」
「……釣りしてたくせに」
僕は鳥でも魚でもないよ、と口を尖らせるちょんまげを、ターボーはぎゅっと抱き締める。
「はいはい、ちょんまげは俺の可愛い恋人、だろ?」
「もう……」
秘書の密やかな心遣いで無人の廊下で、二人は名残惜し気に抱き合っていた。
「ちなみにさ、もう俺に黙って森に会うの、やめてくんね?」
「なんも後ろめたいことしてないし! ターボーだって、キャバクラとか行くくせに……」
「あれは仕事!」
「僕は、ただ懐かしい話してただけだけど?」
「……蒸し返すの、やめとこか」
「……うん、また会えなくなるの、寂しいし」