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1 - 第1話

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2025年08月19日

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初めて見た、雲雀の泣き顔は酷くぐちゃぐちゃな泣き方で…なぜだか酷く心がざわついて、多分イライラしていた。


それが彼を泣かせてしまった自分達へなのか、はたまた何なのか…セラフは慣れない感情に戸惑って。


包帯やらでグルグルの手で頭を撫でる奏斗と凪ちゃんを見て、自分もと無自覚にぐしゃぐしゃに泣きじゃくる雲雀に腕を伸ばした。












伸ばして、細っちい体を覆い隠すように抱きしめた。





















「…え?雲雀来てないの?」


「えぇ、奏斗からバイトにも来てない上マネさんにも休みの連絡を入れてないそうです」



日が暮れ始めた時間。気温が下がり始め、猫達も家に帰ってしまったのでランドリーへ戻れば、どこか切羽詰まったような声で電話をしているアキラ。相手はどうやら奏斗のようだ。


セラフは邪魔をしないように静かに部屋へ入り、電話が終わったアキラが告げた言葉に動揺を隠せなかった。


「そこでセラ夫、タライの家に行ってくれないか?」


「んぇ?俺は全然良いけど…」


「ではお願いします。私と奏斗は少し、話をつけるべき相手が居ますので」


サァーッと静かな怒りを顕にしている当たりどうやら”また”雲雀目当てのやつが来たのだろう。


ココ最近、めげずに何度も来る雲雀狙いの裏稼業の人間。



(何も無いと良いけど)

























「ひばりー?」


やっぱ開かないか。


何度もピンポンを押してもならない辺り家にいない可能性が高いが、最悪倒れてる可能性もある。


「…窓から」








「…不用心すぎ」


窓に回ればガラガラと開いてしまう窓にまたイラっとして、頭を振る。何にイラついているのか。


感情を落着けて靴を脱いで部屋へ入っていく。物が整頓されている訳では無いが随分と殺風景な部屋で、賑やかに乱れた防音室は想像出来ない。






!…音?



小さく聞こえる音に耳を澄ませて気配と足音を消す。何かがもがくような音?


「…っ、…はーッ…ふ」


「!!…雲雀!」


「ぁ、う?せ、ぁ…お?」


ぐったりと倒れた雲雀を抱え起こす。シャワーを浴びたのか髪は水でペタリとなり、首やらを水滴が流れる。

顔色があまり良くないし、何より目が腫れてる。


いつもの服ではなく、緩い部屋着で…


「…や、っやだ…み、なぃ…でっ」


「ひば、っ、ちょ」


ぽすん、ぽすんと手当たり次第にクッションを投げられる。いなして、かわして雲雀を落ち着かせる。


薬を入れられたのかポロポロと涙を流して息を荒らげて、頬を染めた様はなんだか誰にも見せたくなくて。


「ひば、…っ雲雀、!大丈夫だから」


いつも何かあった時自分に聞いてくれるように抱きしめてポンポンと背中を撫でる。ビクリと大袈裟に肩を揺らして、胸の中で細っちい体を捻じるけど力が入っていないから全く抵抗できてない。


「…やだっ、ゃ…こんな、っきたな、ぉれ…みせたく、なか、ったのに…っ、ひぐ…」


「ひば、」


「っ…ぅえ”っ、…ごほ、は、…っふ、」


ビクリと大きく目を見開いて両手で口を抑えるようにして蹲る。びちゃびちゃと吐た出された吐瀉物がゆっくりと床を汚していく。


薄い背中に腕をまわして服が汚れるのなんて気にせず軽く抱きしめるように背中をさする。


「…はぁ、は…げほ、っ…」


「雲雀、ひばり、大丈夫だよ」


吐き出されたが殆ど水で俺が来る前にも何度が吐いたのが分かる。


ぽたぽた、と地面に雫が落ちる。


「ぅ”…っひぐ、」




なんだろう、抱きしめてスッポリと腕の中にハマった雲雀泣かないで欲しい涙を止めたいと思うのに。落ち着いて欲しいと思うのに。


何故だかドクドクと鼓動が早まってひばりを抱きしめた腕が熱い。


















「雲雀、大丈夫?少し落ち着いた?」


「…ん…も、へーきよ!取り乱してごめんな?服汚したしかた、づけさせたし …っこんな、とこ見せて」


そう言って無理に繕った笑顔でフラリと弱々しい力でセラフを押して離れようとする雲雀。


いつもなら絶対に逸らされることない瞳が今日は一度も目が合わなくて、ずっと俯いている。


「ごめんな、ほんとへーきだから…帰って?セラお、忙しいだろ?今日せっかくのっ____」




あ、またなんだろう心の奥がモヤモヤする。


(違う…イライラする)


離したく、無い。こっち見てほしい。


「何、それ」



「ぇ…?」




「服なんてこうやって着替えれば良いだけ。


ねぇもっと俺にも言ってよ、雲雀」


「っせ、ら」


「……俺、雲雀ならどんな姿でもどんな言葉でも受け入れるよ」


ギュッと抱きしめて雲雀の肩に顔を埋めれば、控えめにぽん、と頭を撫でられる。


優しくてほんの少し冷えた細い手。



雲雀の両頬に手を滑らせる。やっとあった目はウルりと酷く潤んでいて、揺れている。


何度も口を開いて、閉じてを繰り返してそれからボロボロと大粒の雫を零して…


「ッ…っ、ひば」




「…ぉ、れ…せらお…のこと、…すきっ、」


「…ぇ、?」


「……っ、ご、めんなさ…ぃっ…すき、なって…ご、めん、な」


雲雀がセラフの手から逃れるようにまた俯く。


「…ひばり、ねぇ雲雀俺の顔みて」


「ヒ、ッ…ぅ、や…わか、ってるッグスから…わす、れていーから…っけほ」



おねがぃ、なんて酷く弱々しく乱雑に涙を拭いながら言う雲雀。

その両手首を掴んで引っ張るようにようにソファーに押しつける。隠すものが無くなったからか弱々しく暴れる雲雀。


「雲雀、ねぇ、聞いて」


「…ッ…ゃ」



雲雀の口を塞ぐように手で蓋をしてその上からちゅ、と唇を重ねる。


指でなぞれば柔らかい唇。


ちゅ、と今度は額に口付けを落とす。力の抜けた雲雀を抱え直すようにして抱きしめる。


「雲雀…こんなこと好きじゃない人にすると思う?」


「…し、しない、!」


潤んだ瞳でこちらを見つめる雲雀。自分のためにこんなふうにぐちゃぐちゃになって、ボロボロになって愛おしくて堪らない。



奏斗や凪ちゃんへのこの愛とは違う。そっか、そっかこれが凪ちゃんの言う好きなんだ。


「せ、らお」


「雲雀、俺も雲雀が好きなんだよ…だから俺と付き合ってくれる?」


「…っ!、ぅ、そ」


「嘘じゃなァい」


「…っ、」


ぼろ、っと安堵したような顔でおれ、なんてポツリと呟こうとする。

そんな雲雀を引き寄せるように抱き起こして抱きしめる。


「…ぉれ、せらおがすき」


「うん、」


俺の頬に手を伸ばして酷く蕩けた瞳を細めて、口角を緩める。


零れる涙に手を伸ばして優しく掬うように拭う。


「…せら、…セラお、だいすきっ、」


素直にそんなことを言うから何だか内側の苦くてドロっとしたものが溶けていくみたい。



(可愛い…)













「とりあえず、やっとかなんだけど…それよりひばー??お前薬ってどういう事?」


「ゃ、その…すぐ吐いたし〜、いけるかなぁ…とか思ったんよね」


そう言った雲雀に頭を抱えたアキラは、とりあえず貴方は暫くセラ夫と居てください。なんて言われる。


それに思わず素っ頓狂な声を出した雲雀。


「狙われてる自覚も危機感も無いひばはセラと居て」


「…で、も」


チラリとこちらを見た雲雀はまるで迷子みたいに瞳をうるませる。ソファーから立ち上がって向かい側に居る雲雀の前まで行く。


その手を握りしめてやれば雲雀はビクリと驚いたように声を上げる。


「俺は良いよ、どっちかと言ったら役得なくらい」


「……っ、」


「分かったらタライは大人しくしててくださいね、あと一人にもならないように」


「じゃ、セラ頼むよ…僕たちちょーっとこれから行かなきゃ行けないとこあるから」


















「雲雀、奏斗と凪ちゃんのこと心配?」


「……ん」


「大丈夫だよ、二人とも弱くないしいざとなったら俺も行けるから」


「…そ、だよな」


へにゃり、今日はずっと雲雀の無理した顔しか見てない。なんて


「せらお、わがまま…ゆっても、い?」


「うん、良いよ」


「……ぎゅー、して」


カタカタと震える腕を広げる雲雀。そこに飛び込むように、壊れ物を扱うように抱きしめ返す。


不安なのだろう、自分のせいだと思ってるのだろう。せらお、せらと小さく確認するようにつぶやく雲雀。


弱々しいその姿は嫌なはずなのに、自分を求めてくれることにほんの少し可愛いと思ってしまったのは秘密。


「雲雀、大丈夫だよ、絶対に」


「!…うん、」

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