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ラウールが行きたいと行っていた本屋は、想像よりもずっと広く、冊数もめちゃくちゃ多そうだった。ここならラウールのお目当ての本もきっとあるだろう。
ラウールは本を選んでるところを見られたくないらしいので、別行動を取ることにした。きっと、自分の趣味を他人に知られるのが恥ずかしいタイプなんだろうなと思う。
この家だけでも色々な人がいるから、仕方がないよな、と俺はのんびり歩いた。横目で見ていた本棚の新刊コーナーに、俺と大介兄ちゃんの好きなサッカーマンガの新刊を見つけた。
手に取って、レジを探してまた売り場を彷徨いていたら、ラウールを見つけた。見るなと言われたし、あまりにも真剣な表情で本を見ているので、遠くから見守ることにした。
ラウールはしばらく考え込んでから、俺と同じサッカーマンガを手に取った。そして、そっと微笑んで呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。
🤍「蓮、喜んでくれるかな」
ラウールは、俺にプレゼントとしてマンガを買ってくれようとしているのか。サプライズの準備を見てしまったけれど、すごく嬉しくなった。
俺は持っていたマンガを棚に戻し、既に買い物を終えて本屋の外で待っていたラウールに駆け寄った。
🖤「探してたの買えた?」
🤍「うん!あのね…これ」
もそもぞとラウールが手間取りながらバッグから出したのはさっきのマンガ。
🤍「蓮がこのマンガ好きだって言ってたから、これあげる」
🖤「いいの?」
🤍「うん!もらって。僕からの気持ちだから」
🖤「ありがとう!!俺からも、これ」
🤍「え…!?僕に?」
🖤「もちろん!プレゼント交換」
俺がラウールに手渡したのは、ラウールの部屋にあったブランドのファッション雑誌。表紙を飾っているのは、ラウールが憧れてると言っていたモデル。
気に入ってくれるといいな、と思って迷いながらも購入していたんだ。
🤍「ありがとう!めちゃめちゃ嬉しい!!」
満面の笑顔で予想以上に喜ぶラウールに、俺は安堵した。
ラウールの兄になれて良かったと、心の底から笑えた。
次回は番外編です!そちらも読んでくれると嬉しいです。