コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「てつやー!見えたで!ちゃんとステージから見えた!一番前におってくれたやろ!?うちめっちゃ嬉しかった!!」
楽屋に入るや否や、相変わらずの勢いで飛びかかってきたあおいを、俺は絶妙のタイミングでキャッチし、頭を撫でながら優しく労った。
「お疲れ様。俺も見えてたよ。それに、お客さん達もみんな満足そうな顔で帰って行った。あおいの力だ」
俺がそう言うと、あおいは力強く首をふった。
「ううん、うちの力と違うよ。てつやとしらべちゃんとMIUさんと堀江さんとスタッフさんと、あとお客さんと。みーんなの力やでっ」
そう言ってニヘっと笑うあおいを見て、女神さまには敵わないなと俺は思った。
「なかなかやるみたいね」
そう言いながらしらべが楽屋へ戻って来た。
なんだかんだ言いつつ、ちゃんとフロアであおいの歌を聴いていたようだ。
「しらべちゃーん!!」
「こら!だからくっつくなっての!」
「でも……本当に良かったわよ。あんたの歌。バカにして悪かったわね」
「え?ばかにしてたん?うちそんなんよくわからへんからなあ。全然気にしてへんよ。なあ、てつや」
俺にふるのかよ。
「まあ、俺も気にしてねーよ。だから、まぁなんだ。あおいとは仲良くしてやってくれよ」
俺が少し照れ臭そうにそう言うと、彼女は微笑みながらこう答えた。
「わかったわ」
「えー!めっちゃ嬉しい!!ならいっぱい抱きつくー!!」
「こっ……!まあ、たまになら抱きついてもいいわよ」
「ほんま!?うちな!嬉しすぎて泣きそうー!」
あおいの頭を撫でるしらべを見ながら、なんだかんだ良いコンビだなと思った。
「あんたもよ」
「え?」
俺は驚いて彼女の方を見る。
「あんたも、なかなか良かったわよ」
「そ、そうか。なんか照れるな。しらべちゃんも……」
ーーしらべ
「しらべでいいわ」
彼女はそう訂正して、少し赤くなった顔を逸らした。
「わかった、じゃあしらべ。ライブ本当にカッコ良かったよ。今日はお疲れ様」
そう言って手を差し出すと、彼女は顔を逸らしたまま、その手を握り返してくれたのだった。
ーーバンッ
「みんなお疲れー!」
楽屋のドアが勢いよく開き、全員が一斉にそちらを見た。
そこにいたのは、このライブの主催者であるMIUさん。
そして今回の話しの中心とも言える人物。
日比谷おとねだった。