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#🐙🌟
駅
570
🐙🌟さんが敵幹部に監禁されてます。
(拷問、無理矢理レイプなど、さまざまなハードな表現があります)
今回も作者が腐っているのでそう見えるかもしれません。感情は重いし距離は近いです。
なんでもいい方向けです
目が覚めると、そこは知らない天井。
薄暗くて、寒くて、今自分がどんな状況下に置かれているのか思い出す。
ちいさく、ちいさく息を吐く。
小さな呼吸音ですら、この静かな部屋には大きすぎるほど、反響する。
ひとり。ひとりぼっち。
…この感覚に、すこし懐かしさを感じる。
Dyticaに出会う前。俺が記憶喪失になった日。
病院で目覚めて、医者から記憶喪失だと告げられて。
家族も友達もいない。俺を知ってるひとは誰ひとりいなくて。
…誰も、迎えになんて来てくれなかった。
家もわからない。窓から見える街並みも。見慣れなくて。
自分の年齢だって、誕生日だって知らない。教えてくれるひとはいない。
退院して、ぼんやりと街を歩いていた。
流れる時間がひどくゆっくりに感じられて。
あまりにも酷い顔をしていたんだろう。駄菓子屋さんのおばあさんにチューペットをもらった。開け方がわからなくて公園にいた子供にわたした。おばあさんは苦い顔をしていた。その頃の俺はなんにも知らなかったから、気にしないでいた。今思えば最低で申し訳ないな。
疲れて、ベンチに座って。そこらへんの花壇にいるアリを見ていた。
俺は、どこに行けばいいんだろう。
街行く親子に、高校生。
考えれば考えるほど傷付くから、もう考えるのはやめた。
そしたら、急にKOZAKA-Cがやってきて、あの子供を襲った。
子供の怯えきった顔を見た瞬間、自分と重なった。
この子には、怖い思いなんかさせたくないなと思った。
だるかったはずの体が急に熱くなって、足が動き出した。
思えばKOZAKA-Cなんて初めて見る生き物だったから、どうすればいいかわからなくて、とりあえず殴った。
でも効かない。バリアを使ってきた。
さすがに焦った。助けたい気持ちが揺らぐ。正直自信がなかった。
躊躇している間に、KOZAKA-Cが子供を爪で引っ掻いた。子供の悲鳴がこだまする。
ぶわっと体が熱くなって、そこからは覚えていない。なにかふよふよと浮いているメンダコのような生き物と、目が合った。
気がつけばKOZAKA-Cはいなくなっていて、ぼろぼろになった公園の遊具が見えた。
足になにか当たった気がして、下を見る。
子供だった。無事だったんだ、となぜか客観的に思えた。俺は疲れきっていた。
ここで子供の様子がおかしいことに気付く。
さっきよりも怯えきった顔で俺を見ていた。
どうして。KOZAKA-Cはもういなくなったじゃないか。
そう言おうとした瞬間、子供は「おかあさん!!たすけて!!!」と大慌てで逃げていった。
お母さんいるんだ。あたりまえか。
…すこし羨ましいな、と思って立ち上がる。
まわりを見ると、人の、目。目。目。
おかしいと思った。
化け物を見るような目。なんで。どうして。
俺は、化け物なんかじゃない。
全身から汗が噴き出す。俺、なんかいけないことした?
公園の隣の駄菓子屋の窓に映る自分を見る。
そこには、本当に、化け物がいた。
バキバキに割れた顔に、宇宙が覗いている。
なにより髪の毛。タコのような、なにか。
左腕には口がついている。
正直KOZAKA-Cよりも化け物だった。
石を投げられる。「化け物!!」と叫ばれる。
俺は逃げ出す。
なんだこれ。なんだこれ。なんだこれ。
頭がパニックになって、路地裏へ逃げる。
はあ、はあ、と。ひとりぼっちの路地裏に、荒い呼吸音が響いた。
すると目の前に影が落ちた。
上を見る。そこにはさっきのメンダコのような生き物。さっきと同じように ふよふよと浮いていて、吸い込まれるような感覚がした。
ソイツは俺に体を擦り付けてきた。
ひんやりしていて気持ちがよかった。
気がつけば体が治っていて、ドッと疲労感が襲ってきた。
行く場所がない。どこにも。
俺はここで死ぬしかないの?
誰もいない、友達も家族も。
なんで、おれだけ。
『なあ、君。』
バッと顔を上げる。
スーツを着た男が薄ら笑いで立っていた。
『名前は?』
…名前。
医者はなんて言っていたっけ。
……あぁ。
🐙🌟「ほしるべ、です 」
『星導くんかあ。さっきの見てたよ』
🐙🌟「………。」
…目が合わせられない。
怖い。あんな姿、見られて。
『君、帰る場所はあるのかい?』
🐙🌟「………。」
返事をすべきなんだろうけど、する気力がなかった。
今はただただ疲れていて、こんな現実を受け入れたくなかった。
『…なさそうだね。ちょっと提案があるんだ』
男が俺の目の前まで歩いてきて、目線を合わせて、こう言った。
『ヒーローやってみないかい?』
🐙🌟「…ヒー、ロー?」
どうやら、さっきの子供を助ける姿勢が気に入ったらしい。しかも、かなり珍しい能力を持ち合わせているらしく、都合がよいそうだ。
でも、こんな姿、誰にも見せたくない。
『もしかして、能力が開花するのははじめてだったかな?まだびっくりしているな』
『でも大丈夫。ヒーローになれば仲間がいる。西のヒーローはね、化け物たくさんいるから。君はまだヒーローじゃないから民間人に驚かれただけだよ。きみは、ひとりじゃない。』
『あと、お給料もかなりいいよ~?笑』
その言葉で、ヒーローになることを決めた。
すこしでも馴染めるように。
人助けたいし。お腹空いたし、 ちょうど生活も困っていたし。ちょうどいいだろう。
しばらくは本部で暮らした。
小さい部屋だったけど、メンダコ…、オトモ、と一緒にいれば、寂しさは紛れた。
適当に出かけて、美術館や水族館が気に入って、通った。
帰り道に閉店した鑑定屋さんがあって、そこにあった様々な美術品に見入っていると、管理人…大家さんから声をかけられて、鑑定士(免許なし)になった。ラッキーではある。
はじめて同期、Dyticaと顔合わせの日。
正直めちゃくちゃ緊張した。人との話し方なんて教わってないから、適当に名刺を作ってわたした。
小柳ロウに、伊波ライに、叢雲カゲツ。
第一印象について。
伊波ライ。
まず思ったのが、ライが陽キャすぎた。
ひたすらキラキラしていて眩しかった。
常識人(たぶん)だったので、コミュ障+胡散臭い俺に大困惑してて少しだけそうだよなと思った。
次にカゲツ。
最初はなんかスゴいリスみたいだなと思った。
まっったく心を開く気はなさそうで、まるでこれからも他人ですよみたいな態度だった。
俺が一番最初に仲良くなったのはカゲツだった。
最後に小柳ロウ。コイツはあんま変わらん。第一印象とかない。忘れた。バイバイ(笑)
それから色々あって今です。
俺はめちゃくちゃ絆されてしまい、いつもアイツらにボケをかまして楽しく生活しています。
お箸の持ち方もファミレスの注文の仕方もゲームのやり方も教えてくれたのは彼らです!
俺の面倒を一番見てくれたのは小柳ロウでした。 なので思考が小柳さんと似ています。
狼がいてくれるおかげで俺みたいなタコも民間人にすこしずつ受け入れられています。狼より異質だけどね。
彼らが俺を覚えてくれている限りは俺はたしかに存在しています。生きてていいんだって思います。ありがとうみんなダイスキ!言わないけど!
………そんなことを考えて、気を紛らわせる。
みんな、いつ迎えに来てくれるんだろう。俺、そろそろ寂しいよ?
とはいえ誘拐されたのが俺でよかった。
カゲツとかだったら不安になっちゃうだろうから。
ていうかライとかカゲツに怖い思いさせたくないし。
ぎゅう、と服を握って不安を紛らわせる。
オトモもいない。変身もできない。
お腹すいた。お腹すいたよ。
どうしても思い出しちゃうよ。みんなに出会う前のこと。嫌だったこと。怖かったこと。
俺、やっぱり弱いなあ。ひとりじゃなんにもできないんだ。
冷たい床の温度を感じながら、目をつむる。
お腹がすいて眠れない。
なんならこんな場所で眠れるほど俺は冷静じゃない。警戒心が強すぎて、落ち着かない。
ここに来て何日経ったんだろう。
まだ2日。たぶん
俺、忘れられてないよね。
見放されてないよね。呆れられてないよね。
また、誰も迎えに来てくれないわけないよね。
…みんな、俺のこと、好きだよね、?
ぶんぶんと首を振って考えるのをやめる。
大丈夫。ヒーローは遅れてやってくるって言うじゃん?だから、
だから、大丈夫……。
…………だいじょ、うぶ……。……、
コメント
1件
うわぁ…。過去パート、めっちゃ刺さったわ。記憶喪失で誰も迎えに来てくれなかった孤独とか、能力暴走で化け物扱いされた時の絶望とか、重すぎて泣きそうになった。でも今はDyticaっていう仲間がいて、小柳ロウが面倒見てくれたエピソードにじわっときた。それだけに監禁されてる今の状況がまじで心配…「みんな、俺のこと、好きだよね?」ってとこ、切なすぎる。絶対迎えに来てくれよ、頼む!